昨年の記事に気になるものがありました。

これぞ統合効果 赤字が大幅減(讀賣)

記事ではプロ野球オリックスの初年度の赤字が、当初試算した34億5000万円より大幅に少ない19億円台に収まったこと、年間観客動員はリーグ3位の約135万6000人で、入場料収入が昨年の2・8倍となったことに触れ、

「大幅な赤字減らしで、47年ぶりの球団統合は一定の成果を上げたといえる」

と、結んでいます。

確かにオリックスはマリーンズよりも観客を集め、赤字も減らしました。マリーンズの昨季観客動員数は約130万、赤字は推定27億円。それに比べれば、オリックスにとっては球団合併の成果が出ている、ということになります。かつて宮内も「(赤字の)許容範囲は10億円前後前後。我慢しても20億円だ」と話していましたから、1年目の収支は及第点といえるでしょう。それをこのような形で読まされるのは非常に複雑な気分ですが。

しかし、観客動員の増加は決してオリックス側の努力だけではないでしょう。「それぞれの球場の年間試合数が半減し、ファンの飢餓感が生まれて、1試合あたりの有料入場者が増えたのでは」という分析はファン心理を軽視した一面的なものに過ぎません。自分は昨季神戸で1試合見た他はすべてテレビ観戦ですが、2球団合併したにしてはホーム側のファンの数はさほど増えてないように見受けられました。一昨年の経緯を考えれば当たり前のことです。となると、昨季の観客増の要因はホーム側ではなく、むしろビジター側のファンの大幅な増加に支えられたのではないでしょうか。

まず一つ目はマリーンズファンの増加が挙げられます。といってもその少なからぬ部分が阪神ファンからの転向組でしょう。なんせ試合中最も歓声が上がった瞬間が阪神戦の途中経過を発表した時だったりしますから。この人たちが今季以降も定着してくれるかどうかは残念ながら未知数です。
また交流戦効果も無視できません。オリックスはホームにおいて交流戦のメリットを最も享受した球団といえます。「セリーグの試合を見たいけど、甲子園には行きたくない」というファンの受け皿となったからです。今季甲子園は全席指定化の上、阪神ファン占拠可能なビジター応援席を新設するとのことですから、このような需要は今季以降も期待できるでしょう。ビジターの集客力は昨季と同程度を維持できるのではないかと思われます。

今季のオリックスはどうなるのでしょう。オリックスをよく知る人に尋ねると、口をそろえて「監督が不安だ」と言います。昨季のオリックスは仰木さんだからまとめられた、という部分が大きいでしょうし、仰木さんが監督だから応援しよう、と決めたファンもいるでしょう。監督が代わることによるプラス要因はあまりないと思われます。
それに加えて、清原、中村紀の加入です。噂ではローズも狙っているとか。清原はまだ分かるんですよ。活躍するかどうかは未知数ですが、少なくとも客寄せパンダ、むしろマスコミ寄せパンダにはなるでしょうから。しかしノリは少なからぬファンから拒絶反応が上がっていますし、ローズに至ってはどこを守らせるのか、と思います。ずいぶん金のかかる補強ですが、かつて契約金0円選手を入団させたこともある宮内の経営哲学からはずれているような気もしますね。それがかえって不気味です。

と、ここまで書いてきましたが、実のところマリーンズには他所様を心配する余裕などありません。なんだかんだでフロントは糞ですし、赤字は巨額ですし、観客動員も改善の余地があります。プレーオフを狙おうにもソフトバンクは強敵ですし、ハムも侮れません。オリックスだってノリや外人二人の打棒と、監督の采配如何では上位に進出してくるでしょう。ロッテの今の戦略はボビーあってのもの。ボビーに巨額の投資をしたあげく、チームが勝てず空中分解したとなれば球団の経営戦略は根本から破綻します。今後の展開如何でまたロッテ発の合併問題が発生する、ということも充分考えられるのです。マリーンズの今後もオリックスに負けず劣らず危うさを孕んでいます。ボビーと心中することを決めたのなら、その道を走りきるしかありませんね。