東芝

まずはこの地図を見てください。


姫路よりもさらに西、兵庫県揖保郡太子町付近の地図でございます。
この地図をよく見てください。真ん中に大きな東芝の工場がありますね。
次に東芝工場の下に書いてある地名を見てください。何て書いてありますか?

そう!

初  芝  町


これは凄い!凄すぎる!
初芝に東芝があるんですよ。つまり東芝が初芝にあるんです。
至高のファンタジスタと日本有数の大企業との絶妙なコラボレーション。まさに聖地と言って良いでしょう。
ああ日本にこんな素晴らしい場所があったなんて!これはぜひ行かねばなるまい!
というわけで、7月28日金曜日。神戸のスカイマークスタジアムに行くついでに初芝町まで巡礼してきました。

網干駅
姫路駅から鈍行で二つ目の網干駅。ここからバスに乗って初芝町を目指します。本数は非常に少なく、2時間に1本しかありません。実は姫路駅からも初芝町へのバスが1時間に1本程度出ているのですが、これだと時間がかかりすぎるのです。

バスが来た
待つこと10分。目当てのバスがやってきました。私を含めて2,3人の客を乗せ、いよいよ聖地初芝町に向け出発です。
夏の晴れた昼下がり。バスは初芝に向けてのんびり走り出しました。2、3分ほど走ったあたりでしょうか。突然空が掻き曇り、にわか雨が降ってきたのです。この日の予報は晴れ、雨など降るはずがありません。それなのに大粒の雨がフロントガラスを叩きつけています。これから初芝町内を歩き回って初芝という初芝を拝まなければいけないのになんと言うことでしょう。傘を持たずに来た私は車内で途方にくれました。

バスはそんな私をよそに踏切を渡り、県道を北上していきます。すると驚いたことに、つい数分前まではバケツをひっくり返したように降っていた雨がピタリと止み、再び晴れ間がのぞいてきたのです。

「禊」

とっさに思い浮かんだ文字がそれでした。
時間にして5分に満たないあのにわか雨は、聖地に向かう私を洗い清めるため、天が降らしたものではないでしょうか。
やはり初芝神は至高にして偉大です。神の威光を目の当たりにした私は思わず襟をただし、そして小銭の準備を始めました。


鵤到着
網干駅から約10分。目的の停留所に到着です。「鵤」と書いて「いかるが」と読みます。ここから初芝町まで800メートルほどありますが、帰りのバスまで45分しかないので早足で歩き始めました。

東芝1

一本道をてくてく歩いていくと、見えてきましたよ東芝の太子工場が。

東芝2
東芝の太子工場は一九六六年よりテレビ用の大型ブラウン管を製造していましたが価格競争のあおりを受け一昨年に生産中止。一時期は工場の閉鎖も噂されていたようです。ところが昨年夏、表面電界ディスプレイ(SED)という次世代大型テレビの量産工場として、この太子工場が指名されたのです。東芝とキャノンが組んで開発したSEDは画質が良好の上消費電力が少ないという利点があり、液晶、プラズマに続く薄型大画面テレビ技術として注目されています。時代の流れに抗えず表舞台から姿を消したはずの工場が最新鋭の技術を手に復活する。まさに初芝様の華麗な復活を予見するようなエピソードであります。

社宅
工場の向かいには東芝の社宅があります。

グラウンド
で、初芝はどこなんですか初芝は?

初芝自治会
来た来た来たーーーー!!

初芝社宅内では駐車禁止
皆さん!初芝社宅内での駐車は禁止ですよ。

駐車禁止です
いやーようやく発見しました。これが見たかったんです。

周辺1
もっと無いかとあたりを歩いてみましたが・・・。

周辺2
住宅地が広がるばかりでお店は無し。マンションの名前も「○○鵤」とかそんなのばっかりでした。
このあたりの正式な地名は「鵤」で、初芝という地名は昔のものらしいですね。だから古くからある東芝の社宅を除けばあまり痕跡が残っていないようです。

ところで、「鵤(いかるが)」という地名を見て、誰か思い出しませんか?
そう、聖徳太子です。

斑鳩寺への案内
聖徳太子が建立した法隆寺は奈良県の斑鳩(いかるが)にありますが、読み方が同じなのは決して偶然じゃありません。ここ兵庫の地にも聖徳太子ゆかりの「斑鳩寺」があるんです。

ここ兵庫県の鵤はもともと606年に推古天皇が聖徳太子に与えた土地で、法隆寺の荘園として発展しました。斑鳩寺も聖徳太子が建立したと伝えられ、平安時代以降法隆寺の別院として長く栄えたようです。しかし1542年、戦国時代に山名氏、赤松氏の騒乱に巻き込まれて全焼。その後昌仙法師らの手により再建されてからは、天台宗の寺院として再び栄えたということです。

仁王門
仁王門。寺の規模に比べれば大きな門です。

講堂
もっとゆっくり見たかったのですが、バスの時間が迫っていたので正面の講堂だけ見て引き返しました。

バス通り
バス通りに出ました。アスファルトの照り返しがきつく、まさに溶けるような暑さです。



と、言うわけで3つ目の聖地を巡礼してまいりました。
残念ながら初芝の証は多くありませんが、初芝様と東芝、さらには聖徳太子との偉大なつながりが発見できました。

初芝様といえば「和をもって帳尻となす」から始まる「帳尻十七条憲法」を起草したことで知られていますね。
また、昨年にはホークスの大道の元に使者の澤井を派遣し、「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す、恙なきや、云云」と書かれた書状を送っています。これを読んだ大道はたいそう怒り、プレーオフの3戦目にて渾身のピッチャーゴロを打ちました。するとコバスコはこれをファーストに悪送球し、結果プロ野球史上に残る逆転負けを喫してしまいました。実は当時ロッテの内部で「東の○○、西の○○」という言葉が忌み嫌われており、そのため初芝様は別の書き方をしただけでした。しかし大道がその文言の意味を取り違えてしまったのです。事態に気付いた初芝様は第五戦でゴッドパワーを発動。神の内野安打を放ち、見事ホークスを下しリーグ制覇を成し遂げたのでした。

初芝様と聖徳太子をつなぐエピソードはほかにもありますが、今日はこの辺でやめておきます。
播磨の国の聖地、兵庫県揖保郡太子町鵤。あなたも巡礼してみてはいかがでしょうか。


・聖地へのアクセス

JR姫路駅より神姫バス「38系統 龍野行」または「39系統 龍野行」に乗車し、「鵤」にて下車。約40分
JR網干駅より神姫バス「龍野行」もしくは「山崎行」に乗車し、「鵤」にて下車。約10分。

時刻等は神姫バスホームページを参照。


・東芝太子工場について

さらば国産ブラウン管 太子の東芝工場 (神戸新聞)
1800億円で太子町に次世代TV新工場 東芝とキヤノン (神戸新聞)


・斑鳩寺について

新西国第三十二番 斑鳩寺 (外部リンク)
斑鳩寺 法隆寺の別院として播磨の国に建てられた寺 (外部リンク)