イギリス紀行2006 〜英国紳士への道〜 第2回
ホテル ノボテル・ロンドン・ウエストへ
 

ヒースロー空港の地下鉄駅

1日目 2006年2月22日 (水)
ヒースロー空港で無事入国手続きを済ませた一行は、市内のホテルへと向かいます。



2.ホテル ノボテル・ロンドン・ウエストへ

 狭い通路を10分ほど歩き地下鉄の駅につく。まず切符を買わなければならない。ロンドンの地下鉄は1〜6のゾーン制となっていて、同じゾーン内で乗り降りする倍は均一料金、異なるゾーンをまたぐと運賃が上がる。各ゾーンはロンドン中心部から同心円状に広がっており、中心部がゾーン1、その周辺がゾーン2、最も外縁部にあるヒースロー空港はゾーン6である。東京に例えると山手線内がゾーン1、中野や赤羽や北千住までがゾーン2という具合だ。片道切符を買ってもよいのだが、我々はホテルに荷物を置いたのち市内中心部のスポーツバーでチャンピオンズリーグのチェルシー対バルセロナの試合を見る予定があったので、1日乗り放題のチケットを買うことにした。

 早速券売機で切符を買う。空港の駅だけあってタッチパネルの最新式の機械だ。ボタン一つで日本語の案内も出てくる。現金とカードが使えるが、現金はおつりが出たり出なかったりなのでカードで買うことにした。友人が2枚まとめて購入し、自動改札を抜けホームに降りた。

 ホームに止まっている電車はずいぶんと小さい。都営大江戸線と同じぐらいだ。イギリス人の大男にとってはかなり窮屈だろう。空港直通だけあってスーツケース置き場もあるが、荷物を抱えて向き合って座ると通路の通り抜けが困難になるほど狭い。車内で待つこと数分。座席がぼちぼちふさがるとブザーが鳴り発車した。電車は地下を数分ほど走り、やがて空港を離れると地上に顔を出した。線路の脇には同じような家並みが並んでいる。どれも石造りで、煙突が見える。それでいてどの家にも衛星放送受信用のアンテナがある。あれでみなサッカーなどを見るのだろうか。

 電車はロンドン郊外の住宅地をゆっくりと走る。こまめに駅に停まるのだが放送がない。ターミナル駅では若干放送を流すようだが、日本のように電車がゆれるからつり革につかまれとか座席はつめて利用しろとか駆け込み乗車はやめろといった類の放送は一切なかった。駅名を見て勝手に降りろということなのだろう。さすが自己責任の国だ。

 空港から約20分、途中で乗り換えの電車と接続を取ったり、信号待ちで停まったりしながら電車はのんびりと走り、いよいよホテルのあるハンマースミス駅に到着した。ハンマースミスはロンドン市内の西の外れにある乗換駅で、駅前にはオフィスやら住宅が立ち並ぶ。ホテルなども多く、高校や大学もあるらしい。東京で言えば中野のような街だ。駅にはショッピングモールが併設され、マクドナルドやサブウェイなどのファーストフード店やスターバックスのような喫茶店、本屋、CDショップ、ブーツというイギリスではメジャーなドラッグストア、それにテスコというスーパーまである。日用品の調達には困らないだろう。2階にはバスターミナルもあり、ロンドン市内の主要な場所にバスで行くこともできる。おまけに空港まで直通だし、かなり交通の便がいい所だ。

 しかし、改札前の掲示板にふと目をやるとなにやら妙なことが書いてある。25日土曜と26日の日曜は空港と市内を結ぶ地下鉄ピカデリーラインと、市内のテムズ川沿いを走る地下鉄ディストリクトライン、つまりこの駅に停まる地下鉄が一日中運休するというのだ。どうも工事をするらしいのだが、いくらロンドンの地下鉄が古いとはいえ二日間も止めるなんて日本ではありえない。これは困る。土日に地下鉄で市内に行けなくなってしまう。しかも日曜はよりによって帰国日だ。本来ならホテルから乗り換え無しで空港まで行けるはずだったのに、早速当てが外れた。これがロンドンの洗礼だろうか。しかし幸いなことにこの駅からはもう一つハンマースミス&シティラインという別の地下鉄が出ており、これに乗ればパディントン駅などには行くことができる。バスもあるしなんとかなるだろう。ヒースローへはパディントン駅から高い高いヒースローエクスプレスに乗らねばならないが、これはしょうがない。気を取り直して、ホテルを探すことにした。時刻は夕方4時、あたりは暗くなりかけており、しかも寒い。

 駅前に出てみたものの、ホテルはどこにあるのだろうか。地図を見ても目印になりそうなものが載っておらず、きょろきょろしながら歩いているうちに駅の周りを一周してしまった。ハンマースミス駅の建物を取り囲む形で道路がロータリーになっており、駅から放射状に道路が延びているのだ。そのうちのどれに進めば良いのか、要するに方角が分からない。しばらく駅前をうろつくうちに「ノボテルはこちら」と書いた小さな看板を見つけた。持参した地図と少し違うような気もするが、迷わず行けよ!行けば分かるさ!とスーツケースを引きずって歩き出した。旅先では多少の猪木イズムが必要なのである。しばらく歩くと大きなビルを発見。どうやら間違いないようだ。結局ホテルは駅から歩いて5分かからない所にあった。ノボテルロンドンウエスト、ロンドンでは珍しい大型の三ツ星ホテルで、ビジネスホテルといった趣だ。日本ならシングル7千円台なのだろうが、普通に泊まると1万円するらしい。ロンドンの物価おそるべし。

ノボテル・ロンドン・ウエストは日本からの格安ツアーによく使われるらしく、ロビーは日本人であふれていた。しかしいくら日本人が多かろうとここはイギリスのホテル。フロントでは当然英語しか通じない。早速チェックインが第ニ関門となった。
私の名前でツアーに申し込みんだため、フロントの女性は私に向かって話し掛けてくるのだが、女性職員の話す英語の2割程度しか理解できず困惑してしまう。見かねて友人が助け舟を出してくれた。こういう時旅慣れた友人が居ると心強い。まずはバウチャーとパスポートを出せとのこと。成田空港のツアーデスクで渡されたクーポンとパスポートを見せる。次に紙を渡され、住所氏名年齢などを記入する。「住所を英語で書く時ってどうするんだっけ?」と友人に聞きながら何とか書き終える。その後ホテルに関する簡単な説明らしきものがあった後、鍵が渡され無事チェックインは完了した。荷物を運んでくれるポーターはいないらしい。ガイドブックを読むとホテルには必ずポーターがいてチップを渡さなくてはいけないと書いてあったので身構えていたのだが、少し拍子抜けした。むろんいなければいないで気は楽だ。我々の部屋は4階、エレベーターで4階に上がり、カードキーを差し込んでドアを開けた。

 部屋に入った我々は眼を疑った。男二人なのにダブルベッド!我々にそんな趣味はない。日本の旅行会社で申し込んだ際にあれほど「ホテルはツインで」と念を押したはずだ。なぜダブルベッドなのだろう。とりあえずスーツケースを引きずりながら慌ててフロントにとって返し、チェックインの際に応対したフロントの女性に部屋のダブルベットの部屋からツインへの変更をお願いしてみた。すると女性職員は慣れた様子で、
「ソファの下に簡易ベッドがしまってある。それを引き出して使ってください」
と、ベッドを引き出す身振りを交えて教えてくれた。
それならば、と部屋に戻り、ソファの下を探ったら、あった!
簡易ベッドであるが、普通のシングルベッドとして遜色ない大きさである。これで危機は回避された。面倒なので折りたたみ式のベッドの足は出さずにそのままにした。布団と変らないしこれでいい。

ヒースロー駅入口
ヒースロー空港駅の入口

ヒースロー駅に止まる地下鉄車両
ヒースロー空港駅のホーム

ピカデリーラインの車内
ピカデリーラインの車内 ずいぶん狭い

ロンドン郊外の車窓
ロンドン郊外の車窓


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