イギリス紀行2006 〜英国紳士への道〜 第8回
大英博物館であやしい土産物を発見
 

大英博物館
2日目 2006年2月23日 (木)
世界最大級の博物館、大英博物館で見たものとは・・・。


8.大英博物館であやしい土産物を発見

ハロッズにて1時間ほど見学し、次の目的地大英博物館に向かった。ナイツブリッジ駅から地下鉄ピカデリーラインで6駅目のホルボーン駅で下車。少々迷ったのち、3時半頃大英博物館に到着した。予定よりもちょっと遅くなってしまったが、見学する時間は充分にある。なぜなら毎週木・金曜に限り、通常5時半閉館のところを夜8時半まで延長して開けているからだ。とは言っても巨大な博物館の全部を見る時間はないので、近代ヨーロッパやアジア系の展示はパスし、古代エジプトやギリシャローマの展示物を中心に見ていくことにした。
 大英博物館は太っ腹で、なんと入場料は無料だ。寄付を受け付ける箱はあるが、別に寄付しなくても問題は無い。館内に入るとまず吹き抜けの大きなフロアに出た。グレートコートと呼ばれるこの壮麗で開放感溢れる空間は2000年に作られた新しいものだ。中央部には円筒形のドームがある。内部は書籍などの閲覧室になっており、何段にも積み重なる本棚が円形に取り囲んでいる様は感動すら覚える。私はまずグレートコートの入口で日本語のガイドブックを6ポンド(1300円)で購入し、ガイドブックの地図を見ながら見て周ることにした。あまりにも広大なので地図が無ければ迷ってしまうに違いない。

 まずはエジプトだ。ロゼッタストーンやファラオの像、これらは大英博物館を代表すると展示物と言えるだろう。早速グレートコートからエジプト関係の展示室に入った。エジプトのファラオの像やロゼッタストーン、ピラミッドの彫刻、壁画。教科書で見たことがあるものが並んでいる。驚くべきことにこれらの出土品や彫刻や壁画がすべて撮影可能となっているのだ。観光客が皆写真を取っている。耳を澄ませば英語以外の言葉が飛び交っている。様々な国から観光客が来ているようだ。ロゼッタストーンの周りでは韓国人の団体客が神妙にガイドの説明に聞き入っていた。団体客が移動したのを見計らい、私も持っていたカメラで撮影した。このような有名なブツを生で見られるというのは歴史好きとして大変興奮する。ただ昼からずっと歩きっぱなしだったので足が疲れてきた。しばらく休憩しようと展示フロアのベンチに腰掛ける。広くて薄暗いフロアをボーっと眺めていると、ギリシャ彫刻の前でスケッチをする初老の男性を見つけた。マイ折りたたみ椅子を持ち込んでいるところを見ると常連客なのかもしれない。入館無料の博物館ならではの楽しみだろう。しばらく足を休めたのでだいぶ気力が回復したが、疲れた体にリュックが重い。展示室の先にクロークを見つけたので1ポンド払い荷物を預ける。これで少しは身軽になった。
 1階にはエジプトの他にも古代アッシリアやギリシャ、ローマなどの展示がある。アッシリアのフロアでは広大なフロア全体に宮殿の彫刻が飾られていた。またパルテノン神殿の彫刻群も大量に展示されていた。非常に壮観なのだが、これらはギリシャとの返還問題でかなり揉めているらしい。
また彫刻の他に土器や焼き物などの展示もある。古代イタリアなどから出土したそれは、日本の焼き物には無い鮮やかなオレンジ色だ。土の色なのか、地中海の陽光を表したのか、印象に残る色だった。

 2階の目玉はなんといってもエジプトのミイラだろう。何体ものミイラが展示されている。驚いたことにミイラの中身もあった。包帯にくるまれたものだけではない。包帯すら巻いていない全裸のミイラもあるのだ。保存状態は非常によく、顔の表情も分かる。これはもはや死体だ。こういうものを展示するのはさすがにどうかと思う。文化の違いかもしれないが、この人もまさか自分の死体が数千年後に博物館で展示されることになるとは思わなかっただろう。

 2階は他にメソポタミア関連、ヨーロッパ関連、ギリシャローマの生活用品などや、貨幣などの展示がある。イランやアナトリアなどは展示室が閉鎖されており残念ながら見ることができなかった。臨時展示の日本関連のフロアも閉鎖されている。展示物を世界のどこかの博物館に貸し出しているからなのか、それとも何か別の事情があるのかは分からない。他にも展示物があるのに入れないフロアがあり、どうもすべてが見られる、というわけではなさそうだ。
 しかも、開いているフロアすべてが同じ時間まで開放されているというわけでもないらしい。私がヨーロッパの時計を展示するフロアで古い置時計を眺めていると、突然恰幅の良いおばさんの職員が現れた。おばさんはよく通る大声で、
「クローズ!クローズ!センキューベリーマッチ!クローズ!」
と叫び、フロアにいた全員を追い出しにかかった。日本と違って申し訳なさそうなそぶりがまったく見られない。やがて全員がフロアから出たのを確認すると、おばさんは展示室の扉を閉め、別のフロアに去っていった。8時半まで開いているはずなのだが、すべての展示室が対象ではないのだろうか。少なくともこのフロアが早く閉まるという表示は無かったように思う。

 地下のアフリカなどの展示も眺めて、見るべきところは一通り終えた。あとはお土産である。売店には書籍類のほか、ミイラグッズやロゼッタストーングッズなどが置いてある。ロゼッタストーンの時計や文鎮などはデザインも喜ばれそうだ。またなぜか日本の女性誌の切抜きを貼り付けたゴミ箱も売っている。「次号2月号のお知らせ」、「川原亜矢子さんのベージュカジュアル大公開」などの文字が目にしみる。天下の大英博物館がこういうものを売っていいのだろうか。著作権上の問題は無いのか。単に日本語が珍しいだけなのだろうか。それにしても妙なものを見た。

大英博物館公式サイト

大英博物館
大英博物館外観

リーディングルーム
リーディングルーム

ロゼッタストーン
ロゼッタストーン

ファラオの像
ファラオの像

展示室の様子
展示室の様子

ギリシャの彫刻
ギリシャの彫像

ミイラ達
展示されるミイラ達

ギリシャの彫刻2
ギリシャの彫刻

大英博物館のお土産屋にあった謎のゴミ箱
なぜか日本の雑誌の切抜きを貼り付けたゴミ箱が土産として売られていた。

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