イギリス紀行2006 〜英国紳士への道〜 第9回
ヴィクトリアでフィッシュ&チップスを食べる
 

フィッシュ&チップス
2日目 2006年2月23日 (木)
イギリス名物フィッシュ&チップス。はたして味は・・・


9.ヴィクトリアでフィッシュ&チップスを食べる

 足が再び棒のようになったので、グレートコート内の軽食スペースで飲み物を買い休憩する。時刻はまもなく18時半。夕食の予約は20時だからまだ余裕はある。そこで友人の発案により陶磁器で有名なウェッジウッドのお店に行くことにした。大英博物館からお店のあるオックスフォードサーカスまではバスで10分ほどだ。繁華街なので人も車も多く、若干渋滞していたが、ウエッジウッドには閉店直前の7時10分前ぐらいについた。ワンフロアの店内はそれほど広くない。それでもさすがに高そうな食器が並んでいる。有名店だけあってちゃんと日本人女性の店員がおり、日本人女性グループに向かってなにやら商品の説明をしていた。しかし一人暮らしの男二人が買うべきものは特になく、結局5分ほどで店内を後にした。時間があるのでオックスフォードサーカスのバス停まで戻り、バスでヴィクトリア駅に向かった。二階建てではなく、幕張で走っているような連接バスだった。バスは発車してからすぐに渋滞につかまった。大きな交差点を抜けるのに相当時間がかかり、ヴィクトリア駅についたころには19時40分を回っていた。

 バスを降りて、旅行会社からもらった地図を開く。フィッシュアンドチップスを食べさせてくれる店は駅から歩いて5分ほどらしい。雪は止んだが底冷えのする夜道をしばらく歩くと指定されたお店が見えてきた。ファミリーレストランのような佇まいで、高級店とは言えないだろう。普通の店だ。店内は仕事帰りのサラリーマンや家族客でにぎわっている。メニューを見るとフィッシュアンドチップスは10ポンド少々するようだ。2000円程度だからでニーズなのでちょっといいものを食べる、という感覚だろうか。とは言っても今回は店員さんに英語で注文する必要はなく、ただクーポンを渡すだけでよい。あとは料理が出てくるのを待つだけだ。前菜のスープをすすりながら待つことしばし、イギリス名物フィッシュアンドチップスが運ばれてきた。直径20センチほどの皿にタラを揚げたものが1匹丸ごと鎮座している。タラの下にはフライドポテトが山盛りで、横にはグリーンピースが山盛りになっている。なんとも大味な盛り付けだ。タラにはまったく味がないので塩コショウとビネガーソースをかけて食べる。まずくはないのだが、量が多いのと味が単調なのとでだんだん飽きてきた。とても毎日食べる気にはならない。

 満腹になりながらも何とか食べ終え、ティーバック入りのお茶を飲みながら明日の日程を考える。予定では鉄道を使ってバースとオックスフォードを回る予定だ。ガイドブックを見ながらどの建物を見てまわるか考えた。しかし、ガイドブックに載っているソールズベリ大聖堂の尖塔の写真が気になってしょうがない。もともと行く予定のなかった町ではあるが、バースからソールズベリまではそれほど遠くなさそうだ。頑張ればバースやオックスフォードも含めて3箇所全部回れそうな気もする。その話を友人に切り出してみたところ、案の定渋い顔をしている。「まず駅で値段を聞いてからな」とのこと。幸い近くにヴィクトリア駅があるので、帰りがけに窓口で聞いてみることにした。

 時間はすでに21時を過ぎているが、駅構内は旅行客やビジネス客でごった返している。窓口の列にしばらく並び、黒人の女性駅員に運賃を聞いてみた。私が例の時刻表付属の路線図を指差しながら、友人が英語で尋ねてもらった。

「ロンドンからソールズベリに行って、そのあとバースに行って、オックスフォードを経由してロンドンに戻るといくらになるの?」
「ちょっと待ってください・・・・。(端末を叩き)65ポンドですね」
「あれ?意外と安いな(と、日本語で私)」
「それは片道切符4枚分の値段なんですか?」
「そうですよ。ロンドンからソールズベリ、ソールズベリからバーススパ、バーススパからオックスフォード、オックスフォードからロンドンまでの合計運賃です」
「わかりました。ありがとう」

 最後は地図を指差すゼスチャーつきで教えてくれた。女性駅員は無愛想だったが、聞けばきちんと教えてくれる。これで運賃はわかった。65ポンドは日本円にして14,000円弱だ。距離の割にはずいぶんと安い。ただ安いと思っているのは私だけで、友人はそう思っていないようだ。確かに普通に考えれば1万4千円は高いだろう。そもそも日が落ちる前に3箇所回れるかは微妙だ。それを調べてみないことには決められない。乗継ぎを確かめてから改めて考え直すことにして、とりあえず地下鉄に乗ってホテルに戻ることにした。

 地下鉄に揺られながら時刻表をめくった。イギリスの鉄道は日本と違って主要な路線以外本数が多くない。明日利用する路線はどれも30分に1本程度の本数だ。ホテルに戻った後も色々考えてみたが、結局ソールズベリは行かないことにした。時刻表を見るとあまりうまくいかないのだ。オックスフォード着がどうしても3時を過ぎるようだし、もし列車が遅れでもしたらオックスフォードに着く前に日が暮れてしまう。友人の優先順位はまずオックスフォードということだし、自分としてもバースかオックスフォードを日程から削ってソールズベリに行きたいとまでは思わない。やはり欲張りすぎずに、一つの街をじっくり観光したほうが良いだろう。

 シャワーを浴びて、ベットに寝転んだ。テレビをつけたら偶然スペインの番組でバイアスロンをやっていた。それもスタジオ内で。ちゃんと競技用のスキーウエアを着て、テレビ局内の廊下をスキーを履いたまま往復し、スタジオ内で鉄砲を使って射撃までやっている。観客は時折笑い声を上げるが、参加者は大真面目だ。イタリアのトリノで冬季オリンピックを開催しているから、その便乗企画らしいが、非常にくだらない。最初は面白おかしく見てきたが、選手がひたすらコースを往復するだけなので次第に飽きてきた。寝坊しないためにもそろそろ寝ないといけない。明日は地下鉄でパディントン駅に行き、そこからバーススパ駅まで一直線だ。切符を買っていないので早めにでかける必要があるだろう。

オックスフォードサーカス周辺
オックスフォードサーカス周辺

フィッシュアンドチップス
フィッシュ&チップス

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