イギリス紀行2006 〜英国紳士への道〜 第14回
バース観光その2 バース散策・ロイヤルクレッセント・パルトニー橋
 

ロイヤルクレッセント

3日目 2006年2月24日 (金)
ロイヤルクレッセント・パルトニー橋などバースの名所を散策します。



14. バース観光その2 バース散策・ロイヤルクレッセント・パルトニー橋

 ローマンバスを出てバース市内を歩く。時刻はまもなく11時。ローマンバスに入る前より人通りが増えてきた。空も明るくなり、雲が晴れて日が射してきた。それなのに雪はいまだに降ったり止んだりを繰り返している。天気雨ならぬ天気雪だ。イギリスの天気は変わりやすいと聞くが、晴れているのに雪とは不思議な感じがする。まだ昼食には早いので、ガイドブックに載っていたロイヤルクレッセントという建物を見て、それから適当に街を歩いて周ればちょうど良い時間になるだろう。

 ロイヤルクレッセントは街の北にある。我々は雨にぬれた石畳の道をゆっくりと歩いた。道の両側には18世紀の雰囲気を残す優雅で均整の取れた石造りの街並みが続く。道の両側にはアパート、小物屋、不動産屋。バースはただの観光地ではない。ちゃんと人が住んでいて、人々の生活がある。しかし古い建物だけに水周りのトラブルが起きたら大変だろうと思う。しばらく歩くと円形の広場に出た。ザ・サーカスと呼ばれるこの空間は3方からの道が集まり円形のロータリーにつながっている。中心には大きな木。そしてロータリーをきっちりと円形の建物が取り囲んでいる。それがもう、完全に円なのである。globeのCDジャケットに書いてあるあのマークの形を思い浮かべてもらえば良い。なんというか、幾何学的な美しさだ。建物の中には空調工事を行っているものもあり、その部分だけ工事用の幕やクレーンが取り付いていたが、それが風景を害しているとは思わない。むしろ死んだ美しさではなく今を生きる美しさを強く感じた。

 目指すロイヤルクレッセントはザ・サーカスを抜けた先にあった。大きな広場に面して、きっちり三日月状の建物が建っている。見事なまでに大きな半円だ。1770年ごろに建てられたこの美しい建築物はバース観光の目玉の一つでもある。驚いたことに現在でもホテルや集合住宅として使われており、ちゃんと人が住んでいる。一番端の1号室だけは博物館として一般に開放され、18世紀の生活を知ることができる。

 それにしても広々とした広場だ。ここでキャッチボールをしたらさぞや気分がいいことだろう。雨が降った後でなければ寝転がって建物を眺めたいところだが、地面がぬかるんでいるので立ち尽くしながら建物を眺める。しばらくすると白人の老夫婦がこちらへ歩いてきた。建物をバックに写真を撮っているようだ。我々も建物をバックにお互いの写真を撮り、建物に近くに寄ってみた。ガイドブックによると建物の一室が博物館になっているらしいのだが、人の気配はないし、それらしい雰囲気も無い。ドアの周りを注意深く探していたら小さな看板をようやく見つけた。それを見るとどうやら見学可能なようだ。ただし入場料として4ポンド取られるらしい。800円だ。無料なら入っても良いが、800円払ってまで見なくても良いような気がする。老夫婦もどうやら同じ結論に達したようで、建物を離れ、来た道を引き返していった。我々もしばらく建物の周りを歩いたのち、駅に向かって戻ることにした。

 まだ時間があるので行きとは違う道を歩き、街の中心部に向かい引き返す。アセンブリールームと呼ばれるかつての社交場の脇を抜け、バース寺院の尖塔が見える坂をゆっくり下っていく。しばらくするとエイヴォン川を渡る道に出た。エイヴォン川にはパルトニー橋という石造りの橋がある。ただの橋ではなく、橋の両側に石造りの建物が並んでいるのだ。ガイドブックに載っている写真が非常に美しかったのでぜひひと目見たかった。そこで地図を見てパルトニー橋へ続く道を見つけ、ひたすら川に向って歩いたのだが、行けども行けども橋がない。石造りのお店が並ぶばかりだ。しばらく歩いてふと振り返り、後ろの風景を見ているうちに、どうやらすでに川を渡ってしまったことに気がついた。道を間違えたかと地図を見たら今いる場所はパルトニー橋のかかっている道で間違いない。どうやらいつの間にかパルトニー橋を渡ってしまったらしい。来た道を引き返すとアンティークのお店やお土産屋が並ぶ一角に川岸まで降りる細い階段があった。先ほど何気なく通り過ぎたこの一角がパルトニー橋だったらしい。驚いたようなだまされたような複雑な気分で階段を降り、川辺から橋を見上げる。遠くに見える尖塔と溶け合って非常に美しい。いつまでも眺めていたい景色だが、先ほどから降り出した雪がまた強くなってきた。列車の時間もあるので再び駅に向かって歩き出す。地図を見たところ川沿いを歩けば駅につながる道にぶつかるはずだ。

 しばらく歩くと競技場のようなものが見えてきた。開いたままの入場門からクラブハウスや観客席が見える。どうやらラグビーの競技場らしい。それほど立派なものではなく、観客席にほとんど屋根が無い。柏レイソルの日立台競技場に毛の生えた程度だ。チケットオフィスをのぞくと対戦カードが掲示されており、チケットが売られている。掲示を見るとBATH RUGBYとLLANNELLI SCARLETSの試合がカーディフのMillennium Stadiumにて3月4日土曜日にあるようだ。チケットは下段の席が18ポンド。約3600円。上段の席が28ポンド。約5600円。チェルシー戦のチケットは下段の席の定価が48ポンドだからずいぶんと安い。イギリス人にとってはサッカーよりラグビーのほうが身近な娯楽なのだろうか。見たい気もするが、残念ながら今日は試合が無い。そのままスタジアムを素通りし、駅に向かう橋の袂から階段を上がってバーススパ駅に戻った。

ローマンバス近くの繁華街
ローマンバス近くの繁華街


ザ・サーカス
ザ・サーカス。幾何学的な美しさに圧倒される。


ロイヤルクレッセント1
ロイヤルクレッセント


ロイヤルクレッセント2
ロイヤルクレッセントの近くによって見た。


ラグビー場
エイヴォン川に面したラグビー場。


パルトニー橋
パルトニー橋

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