イギリス紀行2006 〜英国紳士への道〜 第17回
オックスフォード観光その1 トリニティカレッジ・セントエドモンドホール
 

ベイリオルカレッジ

3日目 2006年2月24日 (金)
いよいよオックスフォード観光の始まりです。


17.オックスフォード観光その1 トリニティカレッジ・セントエドモンドホール

 オックスフォード駅の駅舎は比較的新しく、日本の地方の乗換駅のような雰囲気だ。列車を降りて跨線橋を渡り、自動改札に切符を投入して駅舎に入った。中には待合スペースとファーストフードの食べ物売り場があるくらいであまり広い駅ではない。改札の前には背広姿の男数人が英語で何か書かれたボードをもってうろうろしていた。客引きではなさそうだし、何か大学がらみで会合でもあるのだろうか。今の時刻は14時前。日が沈むまでの4時間弱の間にできるだけ多くの場所を見て周りたい。我々は早足で若者で溢れる駅を構内を抜け、町の中心部に向け歩き出した。

 駅からの道をしばらく歩き、オックスフォード運河という細い川を渡るといよいよ町の中心部だ。平日の午後は行きかう人が多い。やはり若者が目立つ。白人、黒人、東洋人、世界中から優秀な学生が集まっているのだろう。皆頭がよさそうに思える。プラシーボ効果という言葉がある。彼らと同じ空気を吸い、彼らが勉強するカレッジに立てば我々の頭だって良くなるのかもしれない。

オックスフォードは街中にカレッジがひしめいており、それぞれのカレッジで学生と講師が寝食をともにして研究に勤しんでいる。すべてのカレッジを見学できるわけではなく、観光客に公開していないカレッジもある。また公開されてる時間は各カレッジごとにバラバラで統一されていない。全体的に受付時間は短めで、中には平日の午後2時間だけ開放、という厳しい条件のカレッジもある。とにかくカレッジの数が多いし、ガイドブックを読んでも見所がよく分からない。そこで開いているカレッジのうち、できるだけ大きくて古そうなカレッジを選んで見て回ることにした。

 ロンドンへ向け15分ごとにバスが出るというバスターミナルを通り過ぎ、大きな劇場を通り過ぎるといよいよ大学の建物が見えてきた。雅子妃が留学されていたというベイリオル・カレッジだ。1ポンド払えば中に入ることができる。といっても校舎の中をくまなく歩けるわけではなく、建物に囲まれた中庭までしか入れない。中では学生が勉学に励んでいるのだから当然だろう。隣のトリニティカレッジも入場料1.5ポンドで中庭などが見学可能だ。

 次はニューカレッジを目指す。ニューと名乗りながら1379年創設と長い歴史を誇っている。ガイドブックの地図を見ただけでは入口が分からないので、建物に面している細い道に入ってみた。すると目の前の道の上に橋がかかっている。ハートフォード・カレッジとニュー・カレッジの建物を結ぶこの橋は溜息の橋と呼ばれ、1914年にベネチアにある橋を模して作られたそうだ。非常にかわいらしい橋で、観光客が写真を撮っている。しかし橋をくぐって細い道を進んでも入口が見つからない。曲がり角でようやっと見つけた古い扉はぴったりと閉じられていた。実はニューカレッジは夏と冬で入口が異なっており、夏ならば我々が通った細い道にある入口でいいのだが、冬場は一本北側にある別の道から入らなければならないのだ。そのとき気付いていれば引き返しただろうが、入口がないなら別にいいやとニューカレッジの見学を諦め、別のカレッジを見学することにした。

 細い角を曲がってしばらく歩くと小さなカレッジがあった。ガイドブックを見ても名前が書かれていない。扉は開いており、中に入れそうだ。しばらく立ち止まって中の様子をうかがっていると、やせて背の高い初老の男性が自転車に乗って颯爽と現れた。我々を見ると、「ユー キャン ホニャララ」と話しかけてくる。何度か聞きなおしたところ、どうやらここは見学できますよ、と言っているようだ。少々禿げ上がっているが、私服姿で知的な眼鏡をかけており、いかにも英国のプロフェッサーと言った趣だ。オックスフォードへ来て早々教授に声をかけられるとは我々の偏差値も上り調子である。気付かぬうちに頭が良くなっているのかもしれない。我々は教授に礼を述べて中に入った。このカレッジの名前はセントエドモンドホールといい見学料は無料。中に入るとこじんまりとした中庭を古い石造りの校舎が取り囲んでいた。中央に井戸らしきものがある。まさか学生が水浴びを楽しんでいたわけではないだろうが、緑の芝生と石造りの井戸のコントラストが美しい。しばらくの間ぼーっと中庭を眺めていたら、まだオックスフォードでお互いの記念写真を撮っていないことに気がついた。

「せっかくだから記念写真撮ろうぜ。できるだけ頭の良さそうに見えるやつ」
「じゃあオックスフォードの学生っぽく本でも読んでみようか」
「洋書じゃなくてブックカバーは津田沼のBOOKS昭和堂だけどな」
「しかも中身は『地球の歩き方イギリス編』だけどな。じゃ撮るぞ」

と、こんな感じでお互い記念撮影をし、カレッジ外に出た。

オックスフォードの劇場
オックスフォードのメインストリートにあるシアター


ベイリオルカレッジ外観
皇太子妃が留学していたことで知られるベイリオルカレッジ


オックスフォードの街並み
オックスフォードの街並み


溜息の橋
溜息の橋


ニューカレッジの入口(夏用)
ニューカレッジの入口。夏はこちらから入れるが、冬は建物の反対側から入ることになっている。


ニューカレッジ裏の小道
ニューカレッジの裏の小道。


セントエドモンドホール
セントエドモンドホール

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