イギリス紀行2006 〜番外編〜
ロンドンの近郊の鉄道

イギリスの鉄道(National Rail)について、簡単にまとめてみました。
・民営化された英国国鉄
かつての英国国鉄は民営化され、線路などを管理する会社と、実際に列車の運行を行う会社に分けられた。後者はオペレーターと呼ばれ約26社もある。同じ区間でもオペレーターによって運賃が違うこともある。
・「ロンドン駅」が無い。
ロンドン駅、というものは無く、独立したターミナル駅がいくつもある。ロンドンから各方面に向かう路線は方向別に異なるターミナル駅から出発するのだ。各ターミナルを結ぶのは地下鉄やバス。山手線の無い東京都心部を思い浮かべていただきたい。。

パディントン駅

チャリングクロス駅
・特別料金のかかる列車が無い
日本のように特急、急行、各駅というわけ方はされておらず、どの列車に乗っても特別料金はかからない。もちろん列車により停車駅が異なっており、主要駅以外止まらない特急のような列車もあれば、各駅停車もある。ただし長距離の運賃は近距離、中距離より割高に設定されている。また座席は1等と2等があり、1等は割増料金が取られる。

オックスフォード駅に停車中のディーゼルカー
・切符は窓口か自動販売機で
大きい駅の窓口は当日券と前売り券で窓口が分けられている。日本と違い自動券売機の台数は少ない。しかし窓口は込み合っておりなかなか列が進まないので、当日に買うなら自動券売機の方が早い。券売機はクレジットカード専用。タッチパネル式になっている。行き先や切符の種類を選んでからカードを入れる。
・切符の種類が多い
National Railには正規運賃の切符のほか各種割引チケットがある。片道と往復切符があり、往復で買ったほうが片道あたりの金額が安くなる。また前もって切符を買うと当日買うより安くなることもある。各切符の解説はガイドブックを見ても微妙に異なっており筆者にはよく分からなかった。STANDARD
OPEN、STANDARD DAY、CHEAP DAY、SAVER、APEX、SUPER ADVANCEなどの種類があり、これ以外にも各鉄道会社独自の割引切符がある。
ここで以下の表を見てほしい。平日の午後にバーススパ駅からオックスフォード駅までの運賃をNational Rail Enquiriesというサイトで調べるとこうなる。
切符の種類 | 値段(ポンド) | 備考 | |
片道 | CHEAP DAY SINGLE | 10.40 | オフピーク時(平日朝夕以外)に適用される割引運賃。適用外の区間もある。 |
STANDARD DAY SINGLE | 17.20 | 普通に買うとこれ。 | |
STANDARD OPEN SINGLE | 37.00 | 片道の場合上との違いがよく分からない。 | |
SAVER SINGLE | 32.00 | 割引切符だが、片道で買っても意味の無い切符。 | |
往復 | CHEAP DAY RETURN | 10.50 | オフピーク時(平日朝夕以外)に適用される日帰り割引運賃。適用外の区間もある。 |
SAVER RETURN | 53.00 | オフピーク時に適用される割引運賃。復路は1ヶ月以内に乗車。 | |
STANDARD OPEN RETURN | 74.00 | 正規運賃の往復切符。 |
片道切符だけで4種類。しかも上記の表の他Firstminutefaresという割引切符もある。これは我々が旅行したときにはなかった。
どの切符を選ぶかによってかなり料金が異なるので、特に事前に往復切符を予約する場合は窓口で相談した方がいい。
英国政府観光庁のホームページ 鉄道についての解説

National Railの切符。上はオックスフォードからロンドンまでの片道切符。Cheap Day Singleの割引切符。
下はパディントン駅とヒースロー空港を結ぶヒースローエキスプレスの切符。
・指定席もある
駅の窓口で座席指定ができる。車内の席のうちカードが刺さっているものが指定席だ。
・改札はあったりなかったり
駅によって改札が無い駅とある駅がある。降りるときも切符を回収する駅としない駅がある。車内では必ず検札がある。
・発車案内板でお目当ての列車をチェック
改札付近にこれから発車する列車がずらりと表示された案内板がある。案内板には各列車の行き先、発車予定時刻、遅れの状況、停車駅、発車番線が表示されている。日本と違い発車番線が決まっておらず、しかも発車時間ぎりぎりになるまでどのホームから出発するか分からないので乗る前は案内板から目が話せない。

ヴィクトリア駅の発車案内板。発車時刻、行き先、途中停車駅が書いてある。
一番左は15分後の発車なのに発車番線が書いていない。
・遅れや運休、経路変更が多い。
筆者は幸いにして5分程度の遅れで済んだが、列車の遅れは日常茶飯、経路変更や運休も珍しくないという。旅行の際は無理のない計画を。
・ドアを手で開ける列車がある。
イギリスではいまだに自動ドアじゃない列車が走っている。降りる際はドアの窓を開け、車両の外にあるドアノブをひねってドアを開ける。なぜ200キロで走るのに窓が開くのか。なぜ中から開けられないのか。謎だ。
ドアを手で開けるタイプの列車。
参考
National Rail Enquiries
UK Railways on the Net
上記のサイトで鉄道の時刻、経路、運賃の検索ができる。