イギリス紀行2006 〜英国紳士への道〜 第26回
ロンドン塔観光
 

ようこそ

4日目 2006年2月25日 (土)
ロンドン塔の中はカラスがいっぱい。宝石と兵器と拷問器具が旅行客を迎えてくれます。


26.ロンドン塔観光

 タワーヒル駅で降り、階段を上り地上に出た。道路の向こうに大きな城が見えた。これがロンドン塔。塔というより要塞のようだ。案内表示にしたがって地下通路を進み、ロンドン塔への入口に着く。「ようこそ」と言う言葉が日本語、英語、ロシア語など各国語で書かれた看板が並んでいた。さすがロンドンを代表する観光スポットだ。時刻は9時30分。開館直後で観光客があまりいない。受付ではチケットを売る職員がパソコンのチェスで遊んでいた。14.5ポンドのチケットを買い受付横の建物にあるトイレに行こうとすると、建物の電気がついておらず真っ暗だ。通りかかった黒人の係員に「トイレット、オーケー?」と尋ねたところ、まだ準備が終わってないから入るなと言われた。とっくに開館しているはずなのだがダメと言われれば仕方ない。イギリスに来て何度も思ったのだが、どうもイギリスの人間は勤労意欲に欠ける。日本ほどきっちりとしていないようだ。

 城門前で手荷物のチェックを受けて中に入った。イギリス王室の宝冠などが展示されているからだろうか。他の観光施設よりも警備が厳重だ。ロンドン塔は11世紀にウイリアム征服王の手によって建設された城砦で、以来王の居城として使用されたこともあるが、どちらかと言えば監獄、処刑場として使用された期間の方が長い。エドワード5世やトマス・モアなどここで処刑された歴史的人物は数知れず。現在でも彼らの幽霊が出没するらしい。現在は宝冠や武具が多数展示された歴史博物館として多数の観光客が訪れ、世界遺産にも登録されている。広大な敷地にはいくつもの塔や建物、それと城壁など数多くの見学スポットがある。

 まずは城壁内部の外縁部から見て周った。高い城壁に囲まれた石畳の通路に面してお土産屋や13世紀後半の宮殿の様子を再現した建物などがある。近世に使われた大砲も並べられておりさながら要塞の雰囲気だ。城壁に上ると有名なタワーブリッジが良く見える。中央が跳ね橋になっているのだが、実際に開くのは1日1回も無いらしい。後で渡ってみようと思う。
 
 城壁を降り、ブラッディータワーと書かれた城門を抜け敷地の中心部に入った。血の塔とはなかなか物騒なネーミングだ。ここはその名の通り様々な歴史的人物が囚われていた塔であり、つまり処刑塔である。この一帯はタワーグリーンと呼ばれ、ブラッディータワー以外にも様々な塔の中に入ることができる。狭い螺旋階段を上がると小さな部屋があり、かつて幽閉されていた人々が壁に刻んだ紋章、落書き、メッセージなどが残っている。窓が小さいため室内は暗く、なにやら重苦しい雰囲気だ。塔の入口には衛兵やヨーマン・ウォーダーとよばれる兵士が立っている。衛兵は若者だが、ヨーマンウォーダーは恰幅の良いおっさんばっかり。聞けば衛兵が出世したのがヨーマンウォーダーだという。衛兵と違って非常ににこやかで、ロンドン塔の警備から見学ガイドまでこなす。我々が行ったときも観光客を芝生に集めてなにやら説明をしていたのだが、英語が分からないので近づくのはやめた。

 外縁部の建物と芝生に囲まれた形でそびえるのはホワイトタワー。ロンドン塔の本丸とも言うべき建物だ。周囲をカラスがうろついている。カラスはロンドン塔の象徴で、カラスがロンドン塔を去るとイギリス王室が滅ぶという言い伝えがあると言う。風切り羽が片方切られており飛ぶことはできない。ホワイトタワーの中に入ると拷問器具や大砲、鉄砲、武具、甲冑などが展示されていた。甲冑の中には徳川秀忠がジェームズ1世に贈った日本式の鎧兜もあった。ロンドン塔の変遷を解説したコーナーもありロンドン塔がどのように建設されどのように変わっていったがよく分かる。

 一通り建物の中を見学して出口から外に出ると、ホワイトタワーの向かいにも大きな建物があった。イギリス王室の財宝が多数展示されているジュエルハウスという建物だ。中に入るときらびやかな宝飾品や宝冠が数多く飾られていた。中でも有名なのは「アフリカの星」と呼ばれる世界最大のダイヤモンド。530カラットもあるらしい。じっくり眺めたいのだが、動く歩道に沿って陳列されているため立ち止まって眺めることが出来ない。しかも宝石が飾ってある一角だけ写真撮影が禁じられていた。ルパン防止のためだろう。また館内の一室には巨大スクリーンがありエリザベス女王の戴冠式の模様が映し出されていた。まるで映画のようだ。

 ジュエルハウスを出た後、ホワイトタワーの横にあるフュージリア連隊博物館にも行ってみた。入口50ペンス払い中に入る。受付のおばちゃんはテレビに見入っておりものすごく暇そうだ。ここは現代の陸軍についての博物館で様々な軍装や勲章、訓練の様子を表すビデオやパネルなどが展示されていた。実際に兵隊さんが装備する荷物を背負うことができる一角があり、予想通りとんでもなく重い。ただ建物は非常に狭く、10分もしないうちに見終わってしまった。正直入らなくても良かったかなと思う。ともあれ、これでロンドン塔の主だったところは見終わったので、テムズ川に面した城門からロンドン塔を出た。

ロンドン塔入口
ロンドン塔への入口


ロンドン塔の事務所
ロンドン塔の事務所


ロンドン塔
ロンドン塔


城門を入ったところ
城門を入ったところ

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