今日は山本マリーンズの最終年、2003年です。
99年以降4年連続Bクラスにもかかわらずあっさりと続投が決まった山本監督は、まず首脳陣の入れ替えを行いました。醍醐猛夫二軍監督、仁科時成投手コーチ、平野謙ヘッドコーチ、本西厚博内野守備走塁コーチ、高橋眞裕外野守備コーチが解雇、高畠康真打撃コーチ、山中潔ブルペン担当コーチが自主退団。特に醍醐氏や平野謙氏らはシーズン中から監督との確執が伝えられていました。特に平野謙については、夕刊フジなどで「川北代表と平野謙がタッグを組んで、平野を後任監督として据えるべく山本監督の足を引っ張っている」などと報じられていましたから、山本監督の続投が決まった以上解雇が規定路線だったでしょう。
かくして山本監督は反対勢力の粛清に成功し、人事権まで掌握しました。ベテラン至上主義の山本独裁政権がここに誕生したのです。
2002年のドラフトでは西岡剛、浅間敬太、神田義英、鈴木貴志、金澤岳、酒井泰志、早坂圭介を獲得しましたが、舩木、原井、井上純、代田をテスト入団させ、椎木とのトレードで垣内を、酒井とのトレードで波留を獲得。シーズン中には吉田篤(32歳)を出して橋本武(38歳)を獲得するなどますますベテラン色が強まっていきました。酒井放出は理解できませんでしたね。内野の名手を出して外野の控えを取ってどうするのかと。新外国人のショートと井上純、代田、垣内は働いてくれましたが。

そして、山本監督は貧打解消の切り札獲得のため自ら動きました。一部で報道されたズレータやT・ウッズではなく、98年横浜ベイスターズ優勝の原動力となった、史上最強の優良助っ人、ロバート・ローズの獲得です。山本監督は「ローズと心中する覚悟で今季は臨む」とぶち上げたものの、35歳と高齢の上、2年間のブランクをどう埋めるのかが心配されました。果たして活躍するのかしないのか、キャンプでは連日ローズの様子が報道され、周囲もファンも多いに盛り上がったのです。

しかし、結末は予想だにしなかったものでした。
「自分の仕事ができなかったら、お金はいらない。給料を返してアメリカに帰る」と豪語していたにもかかわらず、ローズは紅白戦3試合ノーヒットが続いただけで体調不良を理由に緊急帰京、そのまま退団してしまったのです。成田空港で会見に応じたローズは「疲れもあるが、野球に対する情熱と野球に関するすべてのものがなくなった。最後の紅白戦の後に決断した。今しか自分で決断する時はなかった。もしシーズン2週間前に決断したら、チームに迷惑を掛ける」と言い残し帰国。宿舎で会見に応じた山本監督は「終わりだ!終わりだ!終わりだ!」とわめくのが精一杯でした。
まさか公式戦どころかオープン戦すら出場せずに帰国するとは思いませんでしたよ。せっかく企画された「ローズカツ弁当」もお蔵入り。前年は4月でシーズンが終了しましたが、なんと2003年のマリーンズは2月でシーズン終了です。

「ローズと心中するなら責任取って辞めろ」、こんなファンの声も聞こえる中、キャンプは続きます。若手のふがいなさに腹を立てた山本監督が「若いヤツは練習が足らん。たばこ吸って酒飲んで…。そんなんで、うまくなるわけがない」、「もっと野球のことだけを考えてほしい」、「みんな丸刈り頭にすればいいんだ」、「福浦を見ろ。あいつはいい顔しているだろ」と吠えたかと思えば、沈滞ムードを払拭すべく「負けた日こそ、飲みに行く」とポジティブ宣言。期待のルーキー西岡はまだ線が細く、サード転向の話が出るなど1軍定着は先のことに思えました。結局ローズに代わる新外国人としてホセ・フェルナンデスを獲得したものの、たいした希望も無く2003年のシーズンが始まったのです。

開幕後は相変わらずの貧打に泣きます。チーム打率も得点も本塁打も盗塁もリーグ最下位。特にチャンスでは無類の勝負弱さを発揮し拙攻を重ねました。それでも6月初旬までは大幅に負け越すことも無く、6連勝して5割復帰した6月10日の試合では山本監督が狂喜乱舞。「オレがもうわけ分からないよ」と大興奮していたものです。ですが、たかだか5割復帰程度で指揮官が浮かれていてはいけません。その後7連敗で一気に5位転落。7月には借金が10を突破。8月に入っても負けが続きついに借金は16になってしまいます。

今年もダメなのか・・・。ファンは落胆しました。しかし9月2日に山本監督の退陣が決定的となると、チームは突然勝ちだしたのです。純堀ホセという帳尻クリーンアップでなんと9月は15勝6敗1分、10月も7勝2敗。監督の解任が報じられてからは21勝8敗1分と勝ちまくり、気づけば借金も1になっていました。結局この年は68勝69敗3分の4位。最後の最後に帳尻の徒花を咲かせ、5年間で最高の成績を残してシーズンを終えました。

まだまだ続きます。

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■ 干される諸積

足もあり、守備もバッティングもまあまあ、少なくともこの頃既に出がらし状態だった波留よりもよっぽど期待できる選手だったにもかかわらず、諸積は干されていました。2003年は46試合しか出ていません。おそらく起用法を巡って首脳陣批判したり、勝つ気の無い球団に意見するといった行動が煙たがれたのでしょう。プロ野球選手会が2003年に行った「ライバル宣言」という企画では、「監督、コーチ、球団には絶対負けたくない!!」と球団への敵意を隠していません。また、同じく球団を批判した吉田篤は橋本武とのトレードで阪神に放出されました。


■ 里崎、おばあちゃんに捧げる涙の決勝打

5/4の福岡ドームのダイエー戦は里崎にとってターニングポイントとなる試合でした。前日に祖母の死を知らされた里崎は葬式には出ず、福岡に残ることを決意しました。「祖母のために・・・」。期する思いを胸に秘め、ひたすらベンチで出番を待つ里崎。試合は延長戦に突入します。延長11回表。マリーンズは1アウト2塁のチャンスを迎えました。「自分にチャンスをくれ!試合に出してくれ」。祈る里崎。しかし、無情山本監督は代打に井上純の名を告げました。もう出番は無いのか・・・。里崎が諦めかけた瞬間でした。なんと、ピッチャーが右の山田秋親から左の渡辺正和に代わったのです。そして、再び山本監督が代打の代打を告げました。井上純に代わり、今季まだヒットがない里崎が、ついにチャンスを得たのです。
「これはおばあちゃんがくれたチャンス」、里崎は燃えました。渡辺の2球目をフルスイングすると、打球は左中間を真っ二つ。2塁ランナーがホームインしプロ初の決勝タイムリーとなりました。試合後のヒーローインタビューでは、「ばあちゃんが打たせてくれた。お葬式も出れないけど、いい供養になって良かった。僕が頑張ってる姿を見たら、ばあちゃんも天国で喜んでくれると思う」と号泣した里崎。この日以降里崎は1軍に定着し、打率.319をマーク。マリーンズの正捕手、そして球界を代表する捕手としての一歩を踏み出したのでした。

■ コバヒロ酷使を批判するファンにエカ激怒

2003年の山本采配は勝っている試合ではシコースキーやコバヒロを突っ込む硬直した投手起用が批判されました。昨日も今日もコバヒロ。当然コバヒロの酷使を心配する声が上がります。
5月31日のホークス戦は15残塁1得点で清水直行を見殺し。チャンスで打てない打線に対し高代ヘッドコーチは「闘争心がない。特に堀と初芝。どんな気持ちで打席に入っているのか聞いてみたい」と吐き捨てました。試合後にはファンからの「小林宏を使い過ぎ。壊れちゃう」とのヤジに山本監督が激昂。立ち止まって「2日休んでるんだ。バカヤロー!」と大人気なく怒りをあらわにする一幕がありました。
確かにこの頃のコバヒロは疲労から精彩を欠きましたが、シーズン途中に先発に回ってからはエース級の働きで規定投球回に到達。ようやく飛躍の時を迎えようとしていました。

■ 未来を担う若手選手が次々と

里崎、コバヒロ以外にもこの年初めて規定投球回に達した渡辺俊介、自己最高の15勝を挙げエースの地位を確立した直行、フレッシュオールスターでMVPに輝いた今江、プロ初打点を記録した西岡など、2003年はバレンタイン政権を支える主力選手が飛躍のきっかけを掴んだ年でした。ただ、残念ながら渡辺正人はこの年7本塁打を放って「帳尻スラッガー」として覚醒しかけたのですが、現在は低迷してしまいましたね。

■ 初芝様が代打7打席連続安打の日本タイ記録を樹立

2003年の初芝様は主に代打の切り札として起用されました。頑張りすぎて抹消事件で出遅れたものの、シーズン終盤で帳尻四天王の底力を遺憾なく発揮。9/13から〜10/4の試合で7連続安打を放ち日本タイ記録を達成しました。しかも記録達成の7安打目を打った10/4の西武戦ではなんと代打で出てきて帆足から逆転ツーランを放つ神っぷり。初芝様今だ健在!まさに帳尻の何たるかを全マリーンズ人に見せ付けたのでした。

■ 伝説のクリーンアップ

3番井上純、4番堀幸一、5番ホセ・フェルナンデス。思い出すだけでドキドキエカエカしてきます。堀様は当初セカンドを守っていましたが、右ひじの痛みもありDHへ。これが帳尻の起爆剤となりました。8月27日の試合からはホセに替わり4番に座り、猛然と打ちまくりました。終わってみれば16年目にしてキャリアハイの22本塁打、78打点を記録。この年は全打順で打つという怪挙を達成しただけでなく、9月大帳尻の立役者となりました。
そして9月5日から福浦を差し置いて3番に座ったのが井上純。前年横浜を解雇されてテスト入団したにもかかわらず夏場以降はほぼレギュラーに定着して打ちまくりました。打率.283の6本塁打に終わっていますが、たしか9月の中ごろまでは3割打っていたような記憶があります。彼らベテラン二人と30発放ったホセの3人が伝説の帳尻クリーンアップとして、ファンの心に刻まれることになりました。なにせ他球団のクリーンアップは西武が和田、カブレラ、マクレーン。近鉄がローズ、中村、吉岡。ダイエーが井口、松中、城島。ハムが小笠原、エチェバリア、木元です。みんな怖いバッターだらけですよ。そんな中3番井上純、4番堀という冗談のようなクリーンアップで他チームを粉砕するのが痛快でしたね。9月の成績は彼らの働きで15勝6敗1分。帳尻マリーンズの真骨頂です。

■ 胴上げ阻止できず

しかし、この年の秋に最強を誇ったマリーンズもダイエーの胴上げを阻止することはできませんでした。9月30日、マジック1でマリンに乗り込んできたダイエーはマリーンズキラーの杉内を先発に立て、必勝を期します。試合は序盤3点のリードを許すも、ホセ、幸彦、サブロー、福浦のタイムリーで3回裏に一挙6点を奪い逆転、胴上げクラッシャーの底力を見せ付けます。しかし、2位の西武が負けていました。途中経過がマリンビジョンで報じられると一気にトーンダウン。不調のミンチーがエラーがらみで6回に炎上し、代わった戸部、藤田も打ち込まれ一挙7点を失います。最終回には意地を見せて4点を奪いますが及ばず13-10で敗戦し、目の前で胴上げを見せられるはめになりました。ついに崩れたM1最強神話。この屈辱をバネにいつの日か胴上げを・・・と決意を新たにした1日でした。

■ マリーンズファンの会話

当時某掲示板で絶賛された「キャンプイン前のマリサポ」と、「9月のマリサポ」の会話という書き込みです。

「キャンプイン前のマリサポなんだけど、そっちは9月のマリサポ?」
「ああ、そうだよ」
「もちろん優勝争いなんてしてないよね」
「そりゃそうさ。今年も定位置ってところさ」
「やっぱり帳尻は凄いの?」
「例年通り、圧倒的に強いね」
「またか…。ということは、ジョニーが復活して大活躍?」
「いや、ジョニーは今年は絶望なんだ…。」
「え?じゃあローテはどうなってるの?」
「ミンチー・直行・ひろゆき・俊介・薮田ってとこかな」
「最初の二人はわかるけど、なんでひろゆきが先発なの?シコたんならともかく」
「いまやエース級の活躍だよ、ひろゆきは」
「それより晋吾はどうしたの?晋吾は?」
「どうしたんだろうねえ…」
「なんで薮田がローテに?コースケはどうしたのさ」
「さあねえ・・・」
「ま、まあいいや。打線はどうなの?ローズはやってる?」
「・・・」
「どうしたの?よく聞こえないけど」
「もうロッテにいないんだよ、ローズは」
「え?活躍できずに途中帰国ってことか。だからエカは…w」
「いや、実は…」
「ま、それは予想できたからいいよ。今のクリーンナップはどんな感じなの?」
「井上純・幸一・ホセ」
「はあ?」
「だから井上純・幸一・ホセだって」
「いくらなんでも冗談だろ?というかホセって誰よ」
「途中からきた外国人選手だよ。長距離砲」
「ああなるほど。それにしても井上純が3番?幸一が4番?どうなってるんだよ」
「いや、活躍してるんだよ井上純も幸一も…。予想外にね」
「それにしたって格ってもんがあるだろ。福浦はどうしたんだよ」
「福浦は今2番だね」
「2番って…。なんでそんな中途半端な打順なの?」
「意外に使い勝手が悪いんだよ、福浦は…。置くところがないってのが本音かな」
「一昨年の首位打者、昨年も3割打ったバッターに対するコメントとは思えないぞ」
「そうなんだけどなあ…」
「じゃあなにか、福浦は井上純以下ってこと?」
「井上純の方が現状では信頼できるんだって」
「嘘だろ…?」
「信じられないのはわかる。でもそれが事実なんだ」
「だってクリーンナップ要員は他にもいるだろ?勝負強いメイは?今年爆発するサブローは?頼みの初芝様だっているだろ?」
「・・・」
「そうか、ケガだろ?メイもサブローも初芝もケガで浦和行きで仕方なく幸一を4番にせざるを得ないんだろ?」
「いや、ケガじゃないよ」
「…え?」
「メイは外国人枠の関係で浦和。サブローは6番打ってる。初芝は代打の切り札的存在だな」
「そんなバカな…」
「幸一が4番を打っているのも実力だよ」
「実力って…。サカイさんがいないから幸一をセカンドで使うのはわかるよ。でも4番はないんじゃないか?」
「幸一は現時点で福浦より上の成績を残してるんだ。しかも勝負強い。4番にふさわしい存在だ」
「…あんた、エカだろ」

■ マリーンズファンによる魂の叫び

某掲示板に誰かが書き込んだ長渕剛、『Captain of the ship』の替え歌です。
山本政権末期の閉塞感、ふがいないチームに対する怒り、それでもなおマリーンズファンであろうとする男の悲痛な叫び。数あるロッテ関連の替え歌でも最高傑作だと思います。

ズルズルと凡退しチャンスを潰す試合を ファンは憎んでばかりいた
ボコられても突っ伏したまんま ただ腕を突き上げ応援してきた
佐藤が低めスライダーを引っかけ 6-4-3のゲッツーがきれいに決まったとき
我慢ならねぇ たったひとつのファンの怒りが激烈な情熱に変わる

善人ヅラしたどこかの無能な監督の戯言など叩きつぶしてやれ
眉をひそめられ“マリサポうるさい”と罵られても 
“熱い応援カコイイ”と持ち上げられるよりよっぽどましだ
ガタガタ理屈などあとからついて来やがれ! 
球場は“無間”という名の戦場さ
「広岡出てこい!辞めろ!」とひと頃誰もがコールしていたように

Captain of the ship Oh! 明日からお前が舵を取れ!
Captain of the ship Oh! 応援する意味を探しに行こう!
ヨーソロー 進路は5位へ ヨーソロー オリが不調でいる間に
ヨーソロー 確かな1勝を ヨーソロー ミンチーで取りに行く

こんな理不尽な采配で 勝利はいつも寸前で逃してばかりいた
だけど応援ヲタが幅を利かせてた時代は もうすでに遠い昔の戯言さ
だから応援もやめろ! TV観戦も実況もやめろ! ついでにファンもやめてしまえ!
根こそぎやめたらあの監督の乗ったバスへ 生卵をお前の右腕で投げつけろ!!

ああ この潔さよ 明日からお前がCaptain of the ship
いいか! 現実から目を逸らすな お前がしっかり舵を取れ!!
抗議の横断幕を高く上げ 立ちはだかるMVP掻き分け突き進んで行け!
たとえシミスポに打ち砕かれても ベンチ上から喉潰れるまで罵声を浴びせろ!

Captain of the ship Oh! こんな萎えたチームだから
Captain of the ship Oh! 応援したくなる材料が欲しい
ヨーソロー 進路は抗議へ ヨーソロー 山本が暴走する前に
ヨーソロー 意義ある行動を ヨーソロー ただ続けて帰って来ればいい

いつだってロートルの確変は たった一夜にしてすべてがひっくり返るものだ
たとえ敵失でまぐれで得点しても 敵はすかさず攻略法を編み出してくる
左でもなく右でもなく左でもなく右でもなく ただ一人の投手に賭け続けろ
馬鹿馬鹿しい左右病に惑わされることなく ただただコバヒロやシコに任せればいい

あらゆる落胆をあすかちゃんのビールで紛らし 高鳴る鼓動で血液が噴き出してきた
ファンの怒りが更迭への扉を叩くとき フロントよ! お前はチームの体質改善を約束しろ!
そうさ 明日からお前がCaptain of the ship 
お前らには山本をクビにできる権限がある
遥かなる勝率5割の向こう ロッテは今 寒風吹きすさぶ暗黒時代の真っ只中

Captain of the ship Oh! 能書きなどハナから聞き流してやれ
Captain of the ship Oh! 吠えるファンの力を改革へと変えろ
ヨーソロー 進路は更迭へ ヨーソロー 客が5000人を切る前に
ヨーソロー 確かな若返りを ヨーソロー 年寄りを追い出す
ヨーソロー 進路は更迭へ ヨーソロー 喜多が浦和でクサる前に
ヨーソロー こんなヌルい体質に ヨーソロー 噛みつく力か欲しい

もっとファウルで粘ってくれ! もっと狙い球を絞ってくれ!
怖がらず ためらわず 腐らず ひるまず 自分を信じて自分を愛して
決して逃げるな 逃げるな お前が打て お前が打て お前が塁に出ろ
死んでるのか 生きてるのか そんな腐った目でベンチを見るのをやめろ
打ってくれ!走ってくれ!滑り込んでくれ! お前の凡打はチームの士気に影響してる
初芝だ! 初芝だ! たかだか俺もお前も初芝だ!
決して奢るな! 決して高ぶるな! 決して自惚れるな!
一歩ずつ一歩ずつ2割5分への道を
初芝がどうするかだ! 初芝がどう動くかだ! 
初芝がどうするかだ! 初芝がどう動くかだ!

右に流し打つのは誰だ? バントするのは誰だ? 走るのは誰だ?
そう サブローだ! サブローが塁に出ろ!
お前が行け! お前が走れ! お前が行くから道になる!
前へ 前へ 前へ 前へ ただただひたすら前へ突き進めばいい
わかるか! わかるか! お前が決めろ! お前がしっかり走者を送れ!

堀をなめるな! 幸一をなめるな! 
もっと深くもっと深く もっと深く愛してやれ!
信じてやれと他人をなじる前に 信じきれる自分を愛してやれ
感じてくれ! 感じてくれ! 幸一はなるものじゃなく 感じるものだ
早く行け! 早く行け! 立ちはだかる波のうねりに突き進んでいけ

今すぐ 今すぐ 今すぐ 今すぐ 赤いバットを高く上げ
澤井は自分の弱さを叩きつぶせ 先ずは自分に打ち勝って 打ち勝て!
行け 行け 行け 行け お前の命はチームの為に流れている
行け 行け 行け 行け お前の命は銚子の為に流れている

勝って 勝って 勝って 勝って ただただ勝って帰って来ればいい
勝って 勝って 勝って 勝って 勝って 勝って 勝ちまくれ!!
勝って 勝って 勝って 勝って お前らの命は勝つ為に流れている

福浦が決めろ ボーリックが決めろ メイが決めろ お前が舵を取れ!
諸積が決めろ 正人が決めろ 清水が決めろ お前が舵を取れ!
お前が決めろ お前が決めろ そうさ 明日からお前がCaptain of the ship 

ヨーソロー ヨーソロー ヨーソロー ヨーソロー ヨーソロー ヨーソロー


■ エカ、さよなら

10月12日、2003年の最終戦は、5年に及んだ山本マリーンズ最後の試合でもありました。
残留テストでスタメン出場した代田が1塁を駆け抜けた際に足を痛めて交代するアクシデントがあったものの、マリーンズは初回に井上純、堀幸一のタイムリーとホセのスリーランで5点を先制し試合を決めました。投げては俊介がスイスイ試合を進めて2時間少々で終了。今季で引退する福澤も8回に登場しセンター前ヒットを放っています。

試合後は応援団の企画により、山本功児が大好きな歌、「マイウェイ」をスタンド全体で大合唱。マリーンズの選手たちとともにグラウンドに出た山本監督はスタンドにたくさんのサインボールを投げ入れると、1塁側のファンに対し手を合わせて謝るようなしぐさを何度も見せ、ベンチへと消えていきました。おかしなことに当初予定されていた監督の挨拶はありませんでした。当時の噂によると、子飼いのコーチが最終戦の直前に解雇通告されたことに対し、「何で最後の試合の前に…。こんなことがあってはいかん」と、フロントへの怒りが爆発。グラウンドでの挨拶を拒否したらしいです。
いつまでも鳴り止まない山本マリーンズコール。今年も4位に終わったけれど、散々采配を批判されたけれど、多くのファンに愛された監督でした。
そして、山本監督はベンチ前で胴上げしようとした選手たちを制し、選手に別れの言葉を告げた後、静かにグラウンドを去りました。

「胴上げするのは次の監督になってやってくれ。本当にやってやってくれ。ありがとう。」