みなさま、おめでとうございます！

２月２６日は聖初芝祭。唯一神初芝様がお生まれになった日です。至高のファンタジスタとして球界にその名をとどろかせた初芝様は今年で御年４１歳。その威光は衰えを知らず、全世界２兆人の初芝教信者が監督就任を熱望していると言われています。

初芝様はヘヴィメタ好きです。サマーソニックにコメントを寄せるなど、その筋では昔から有名な話でした。
ヘヴィメタの専門誌にロングインタビューが掲載されたこともあります。しかし、このインタビューは雑誌自体が休刊となってしまったため、今となっては入手困難であり、ファンの間では今や伝説のインタビューとなっています。
私もずっと読みたいと思っていたのですが、先日ようやく知人より入手することができました。それがこれです。

炎

今日は初芝様の聖誕祭を記念して、『炎』1997年１月号に掲載された８ページにおよぶロングインタビューをすべてご紹介します。ぜひ、初芝様のヘヴィメタ魂を感じてください。

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前号では千葉マリンスタジアム、そして今回は浦和にあるロッテマリーンズの練習場に飛んだ私は、ロッテの番記者かい？
というわけで、チームの広報担当であるベーシスト堀本氏から許可を頂き、マリーンズのＨＭスラッガー、初芝清三塁手取材のため、ダジャレも言わずロッテ・ナインが秋季練習中の浦和球場に向かった。
フィールディング、バッティング、バントなど、システム化された練習スケジュールを見学した後、背番号6のHMマニアと言葉のシートノックを開始した。



■　LAメタルしか聴かないなんて大きな誤解だ！！

〜ロックを聴き始めるきっかけになったバンドは何だったんですか？

初芝様：基本的にはキッスなんですよ。

〜あ、そうなんですか？ヒルマン情報によると、「ハツは未だにトゥイステッド・シスターとクワイエット・ライオットを聴いてるから、メタリカとか教えたんだけど、しばらくすると、またトゥイステッド・シスターに戻ってるんだよ」だそうですけど。（笑）キッス初体験は高校の時？

初芝様：中学生の頃・・・かな。

〜それまではどんな音楽を？

初芝様：どちらかというとポップス系・・・アラベスクとか。（笑）ただ、やっぱり洋楽が好きで、よく聴いていましたね。で、キッスに出会って、「こりゃいいグループだなあ」と。僕、ヴォーカルの声が高いグループが好きなんですよ。ポール・スタンレーとか。それから、ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードなんかもね。

〜アクセプトはどうですか？

初芝様：アクセプトは僕、聴いたことないんですよ。最近は・・・と言ったら変ですけど、ハロウィンにいたマイケル・キスクとか、ああいうのが好きですね。あと、これも脱退しちゃいましたけど、アイアン・メイデンのブルース・ディッキンソン。キッスとアイアン・メイデンとジューダス・プリーストは、ずーっと好きで聴いてます。

〜高校は二松学舎だから、東京ですよね？コンサートにはよく行きましたか？

初芝様：学校が武道館の裏なんで、リハーサルとか聴こえるんですよね。

〜えっ？校舎の中で？

初芝様：いや、校舎じゃなくて・・・会場横にコンサート告知が出ますよね？それをチェックしておいて、前日とかにやるリハーサルを武道館の横でジーッと聴いてたんですよ。

〜実際にチケットを買って観たのは？

初芝様：いやあ、あまり時間が無かったから。野球漬けでね。最初に行ったのはジューダス・プリーストだから。１０年以上前の・・・。

〜「ディフェンダー・オブ・ザ・フェイス・ツアー」の時ですね？

初芝様：そうそう。オープニングが”ラヴ・バイツ”でね。それはたまたま友達がチケット持ってて、いけなくなったって言うから「くれ！」って。（笑）

〜それにしても、初芝さんの口から“ラヴ・バイツ”とか出てきちゃうと・・・テレビの画面で見てる人がね。（笑）この取材、何が面白いかって、F1リポーターとか野球選手とか力士の口から、結構マニアックな名前が出てくることですね。いかにも「仲間！」「同志」って感じで。（笑）

初芝様：そうですよね。チームの中にも、HMが好きな奴が余りいないですからね。せいぜい「キッスなら聴くよ」ってぐらいで。

〜こうしてお話を伺っていると、前回の取材でヒルマン選手が僕に言ったことは、だいぶ覆されているみたいですけど・・・ということは別にLAメタルに固執してるってわけではないんですね？

初芝様：固執はしてないですよ。聴くことは聴くけど、という感じ。ほら、日本だと、クワイエット・ライオットあたりはもう“懐かしい”みたいな感覚があるじゃないですか。で、「今、こういうのも聴いてるんだよ」ってヒルマンに言ったら、「ハツはこればかり聴いてる」と誤解したみたいで。（笑）

〜なるほど。彼がAC/DCのコンサートで買ってきたTシャツを、喜んで着てるという情報もありますが。

初芝様：「ボールブレイカー」の奴ね。貰った貰った。なかなかコンサートもねぇ・・・行けなくて。

〜プロになった今は、学生時代よりもっと行けないでしょ？もう何年ぐらい観てないんですか？

初芝様：ウーン・・・プロになってから行ったのはマイケル・ジャクソンぐらいかな。（笑）東京ドームの。最近ね、またスコーピオンズを聴きだしたんです。アルバム全部集めて。僕、1枚のアルバムをきっかけに・・・例えばアルバム・ジャケットに惹かれて買ったりすると、みんな揃えたくなるんですよ。で、スコーピオンズのベスト盤を聴いたら「いいなあ」と思って、今、ハマってます。

〜僕もクラウス・マイネのヴォーカルは好きなんです。へヴィな曲を歌っても、声がスウィートじゃないですか。メロディは日本人受けするし。ハード・ロックといっても、耳に優しいロックだから、聴きやすいんですよね。

初芝様：そう、聴きやすい。メタリカなんかは・・・嫌いじゃないんですけどね。ヴォーカルがちょっとハスキーでヘヴィーでしょ。音楽的には結構好きなんですけど。で、それにならってメガデスを聴いてみたらあまり好きになれなかった。

〜つまり、初芝さんの中で、意識はしていないだろうけど、HM/HRにしろ普通のロックにしろ、メロディとリズムとハーモニーがないと聴けないんじゃないですか？野球で言えば、攻・走・守が揃ってないと。（笑）

初芝様：そうなんですよ。

〜だから、キッスが好きなのも判りますよ。ハイトーン・ヴォーカルはもちろんだけど、曲がいいからだと思うんですよ。

初芝様：うん。で、ポールだけじゃなくジーン（シモンズ）も歌ってるじゃないですか。ジーンのああいうハスキーな声だったら好きなんですよ。昔の・・・ファースト・アルバムなんか大好きでしたね。

〜僕はポールの声がちょっと駄目ですね。で、ロブ・ハルフォードの高音は大丈夫なんです。まあ、生理的な好き嫌いだと思いますけど。

初芝様：そういうの、ありますよね。


■　筋金入りメイデン・ファンの悲願“キラーズ”ライヴ収録

〜最近は、スコーピオンズの他に、何を聴いてらっしゃるんですか？

初芝様：何だっけなぁ・・・車の中にCD入れてるんだけどなぁ・・・あ、ドッケンだ。スコーピオンズと同時に聴き始めたんです。今までは、ドッケンってあまり知らなかったけど。

〜凄く人気がありましたよ。昔はヴォーカリストとギタリストの仲が悪くて大変でしたけど。（笑）　ところで、いわゆる“お好みテープ”みたいなものは作りますか？

初芝様：さすがに、もう卒業しましたね。昔はいろんな曲を入れて作ってましたけど。今はCD単位で・・・あ、アイアン・メイデンもヴォーカルが脱けて、そのあとアルバム出したじゃないですか。

〜最悪でしょ。

初芝様：「なんじゃこれー！！」と思って。

〜曲がつまらないんだから、しょうがないですよね。インストゥルメンタルの部分を聴いてるとホッとするんだけど、昔ブルース・ディッキンソンが歌ってた名曲とかになると、ヴォーカルが・・・。

初芝様：もう、声が低いし、不安定ですもんね。メイデンはずっと好きだったんですけど。アルバム・ジャケットも含めてね。

〜大作主義とかそういうのとは別に、曲がつまらなくなってしまうとね。で、ヴォーカルが下手だから、もうどうしようもない。

初芝様：僕、いつも思うんですけどね。アイアン・メイデンってライヴ・アルバムをたくさん出してるでしょ？それなのに“キラーズ”って入ってないんですよね、ライヴ盤に。

〜初期の「メイデン・ジャパン」には入ってるはずですけどね。

初芝様：あれはでも、4曲ぐらいのミニ・アルバムじゃないですか。だから何か、買うのもなーと思って。他のライヴ・アルバムを・・・買う前に見るじゃないですか、曲目を。そうすると、「また“キラーズ”入ってねーなー」って。（笑）　あの曲好きなんですよ。

〜今度、スティーブ・ハリスにリクエストしておきますよ。（笑）「日本のプロ野球選手のリクエストなんだけど」って。

初芝様：ライヴ・アルバムって、結構そういうのあるんですよ、ジューダス・プリーストのライヴ版でも好きな曲が収録されていなかったりね。

〜ジューダス・プリーストも新しいヴォーカル入れて、そろそろ動き始めますから。あと、グレン・ティプトンがソロ・アルバムを出しますよ。私がプロモーションすることはないんだけど。（笑）でも、ロブ・ハルフォードが脱退して、ファイトでああいう音楽だったからがっかりしたでしょ？

初芝様：ウーン・・・何でみんな脱けちゃうかなぁ。何でそのままやってくれないのかなぁ。（笑）キッスだってねぇ、元のメンバーに戻ったわけだから。何とかチケットを手に入れようと思ってるんですけどね。ちょうどキャンプ前だから、いけると思って。

〜ただ、日本だと消防法とかあって、あまり火が使えないじゃないですか。だから今回の来日も、どこまでできるか・・・。とりあえず、ジーン・シモンズが火を吹いて血を吐いて、エース・フレーリーのギターからロケットが飛ぶことになってますけどね。

初芝様：変な話、いつ解散してもおかしくないバンドじゃないですか。もう20年もやってるわけだし。だから、実物を観られるっていうのは凄く嬉しいんです。

〜今、銀座あたりの洋書店に行くと、30〜40代のサラリーマンが、キッスが表紙になってる音楽雑誌を次々買っていくそうですよ。

初芝様：でしょうね。僕なんかも、キッスが表紙になってたら買いますもんね。エリック・カーが死んだ時は「どうするんだ！？」なんて思いましたけど。

■　すぐにハマる正角だからうかつには手が出せない

〜チームメイトの中に、あまりＨＭ／ＨＲファンはいないんですか？

初芝様：そういう話は聞かないですねぇ。

〜ま、他のチームだったら・・・オリックスの高橋智選手とか・・・。

初芝様：ああ、デカとは同い年だから、「何聴いてるの？」みたいな感じで。僕、いろんなバンドを聞いてみたい気持ちもあるんだけど、ひとつ聴くと全部集めてしまう性格だから、ハマっちゃうのが恐いんですよ。オジー・オズボーンとかも聴いてみたいんですけどね。まだ聴いたことがないんですよ。

〜球団事務所にテープを送っておきますよ。「初芝さんへ。これ聴いてハマるように」って。残りはＣＤ買え！とかって。

初芝様：どれも、名前は知ってるけど聴いてないんだよなあ・・・。

〜でも、だいたい15〜16歳ぐらいでこういう音楽にハマった人って、20歳過ぎると、周りから「オマエ、まだそんな音楽聴いてるのかよ」と言われたり、自分が社会人になったりして離れていく例も多いんですけど、それが、プロ野球選手で、来年は三十路になろうという人が（笑）、未だに”ラヴ・バイツ”だ・・・なんて言ってるのを聞くと、感動しますよ。自分で、「もういいや」と思ったことはありませんでしたか？

初芝様：ないですねえ。聴けば聴くほど、「この曲よりもっといい曲があるんじゃないか？」と思って、やめられないんですよ。あるバンドを聴いたとしたら、「こんな曲が作れるなら、もっといい曲ができるんじゃないか」と思っちゃう。手を引けないというか。（笑）

〜試合前に聴いたりします？

初芝様：そうですね・・・。自分の車の中はＣＤだらけだし、遠征咲にはＣＤだけ持っていって、ヴィジターでやる時は、着替えたりする時間があるんで、そのときはやっぱりＨＭ／ＭＲを聴いていますね。

〜ヒルマン選手は、イニングとイニングの間に聴いてるそうですけど。

初芝様：うちのロッカーねえ、エリックのところにラジカセが置いてあるんですよ。そこでバーッとかけてましたけど。ただ、エリックも気を使うんでしょうね。あまりＨＭ／ＨＲはかけない。

〜中には演歌好きな人もいるし。

初芝様：どちらかと言えば、ＨＭ／ＨＲを好きな人のほうが少ないし・・・、よく流れているのは、やっぱりユーロビートとか、ジュリアナ系ね。（笑）で、たまにメタリカがかかっていると「あ、やってるな」と。

〜「ウルセーなぁ！」とか言われませんか？

初芝様：まあ、「エリックが聴いてるんならしょうがねえか」みたいな感じで。僕がやったら「ウルセー！」って言われますよ。

〜（笑）判った！「ボリューム小さくしてくれ」って英語で言えないからだ。（笑）　でも、さっきおっしゃった「良い音楽、バンドをずっと追求していく」という姿勢はいいですよね。

初芝様：野球も一緒ですよ。今の状態より、もっといいプレイが出来るんじゃないか・・・という追いかけっこですから。

〜バンドがメンバーチェンジしたり解散したりってあるじゃないですか。そういうのは野球だと・・・。

初芝様：ありますよ。自分が打ってたピッチャーが違うリーグへ行っちゃったり。

〜あ、そうか。（笑）　でも、ファンとしてもやっぱり、今のレギュラー陣が好きなのに、突然移籍されたりするとね。だから、バンドも同じメンバーでやって欲しいという気持ちはありますよね。

初芝様：好きになったときのメンバーが変わってしまうと、グループの音楽性も変わるし、曲の作り方も変わるし。ジューダス・プリーストが「ペインキラー」の・・・「ターボ」でしたよね？あの時に、「うわー、へヴィじゃなくなっちゃったな」と思ったんですよ。その前が「ディフェンダー・オブ・ザ・フェイス」でしょ？そこから音が軽くなって「うわー、変わったなあ」と思ってたら「ペインキラー」でそこそこ戻した感じだったから・・・聴く方は勝手ですけどね。あまりにも軽くされるとがっかりしちゃう。（笑）

〜しかも、自らをメタル・ゴッドと呼んでた人たちがね。（笑）　でも、私は「ターボ」アルバムって好きでしたよ。（笑）


■　ＨＭエリート教育を受けた初芝ジュニアの行く末は・・・

〜アメリカン・ロックだとか、ブリティッシュというカテゴリーはあまり意識していないんですか？

初芝様：してないですね。

〜でも、初芝さんは世代的にＮＷＯＢＨＭも体験してるわけでしょ？アイアン・メイデンやデフ・レパードのデビューとか・・・。

初芝様：いや、その頃はまだ、少しかじってる程度でしたから。

〜ＡＣ／ＤＣとかはどうなんですか？

初芝様：あまり聴かないですね。

〜聴くと麻薬みたいですよ？どれ聴いても同じなんだけど、それがまた病みつきになるんですよ。ハイ、ＡＣ／ＤＣもテープ送ります。（笑）　大変ですよ、アルバムいっぱい出てるから。

初芝様：そうなんですよねえ。

〜ＡＣ／ＤＣのライヴ・ビデオがもうすぐ出ますけど、ヴィジュアルがすごいですよ。ステージ上の壁が鉄球で崩されて・・・、野球も、選手が出てくる時のテーマ曲とかあるといいですよね。初芝さんが出てきたらガーンとＨＭ／ＨＲがかかるとか。そういうエンターテイメントの部分で、野球はまだ保守的という気がしますけど。

初芝様：いや、川崎球場がホームグラウンドの頃はやってたんですよ。打席に入る時のテーマ曲をね。選手それぞれ「今年はこれにしてくれ」って曲名を書いて。だけど、やっぱり誰でも知ってる曲でないとＯＫがでないんですよ。僕はキラーズとか書いてたんですけど「有名じゃないから駄目！」って、無理やり聖飢魔�兇箸�に変えられて。（爆笑）

〜でも、客が判んなくたって、自分を高揚させるためにかけるわけだから。

初芝様：営業に言われたら、何も反論できませんよ。（爆笑）

〜結局、ＨＭは日陰の身なんだなあ。（笑）　自分の中で、これが一番！というアーティストはいますか？

初芝様：やっぱりキッスですね。曲で言うと、「デトロイト・ロック・シティ」かな。

〜「デトロイト〜」なら有名だから、球場でも流せたんじゃないですか？

初芝様：でもみんな、キッスというと、「アイ・ワズ・メイド・フォー・ラヴィン・ユー」なんですよ。

〜ディスコ調だからかなあ。

初芝様：「デトロイト〜」は「えー？知らない」って。それか、今だったら「ラヴ・ガン」・・・神戸でもかかってますからね。でも、相手チームの攻撃なのに、自分がノッちゃうんですよ。「いい曲だなあ」って。（笑）

〜野球選手としては今が最も脂がのりきってる時期だと思いますけど、いつかはリタイアしなくてはならないですよね？で、その後、５０歳、６０歳になってもＨＭ／ＨＲを聴いてると思いますか？

初芝様：聴いてると思いますねえ。何しろ、自分の子供に聴かそうとしてますからね。

〜男の子ですか？

初芝様：そう、男。

〜ミュージシャンにしたいですか？

初芝様：いや、ミュージシャンとかは思ってないですけど、やっぱり音楽はＨＭ／ＨＲを聴かせたい。嫁さんは「駄目！」って言うんですけどね。（笑）

〜一度、話をつけましょう。（笑）ぜひ、子供にＨＭ教育をしていただいて、将来はうちの雑誌の編集者にさせるという・・・。（笑）初芝さん御自身は、ギターとか楽器はやらないんですか？

初芝様：一時期、やろうと思ったんですよ。ジーン・シモンズが好きだったから、ベースをね。高校の時、バンドをやってる友達が結構いまして、家にスタジオがあって、ドラム・セットなんかが置いてあった。で、「覚えようかな」と思ったんですけど、やっぱ時間が無くてね・・・。弾いてみて、「ああ、俺はこれじゃ飯食えねえな」って。（笑）

〜チーム広報の梶本さんは、ベースやっていたそうですね。

初芝様：あいつとはよく音楽の話をしますよ。

〜じゃあ、とりあえずお子さんが大きくなったら、ぜひうちの会社の入社試験を受けていただくと。（笑）　中学時代から英語と国語をみっちり仕込んでいただいて。（笑）

初芝様：ハハハハ・・・最初、ヒルマンがＨＭ／ＨＲを聴くって知ったのはね、キャンプの時、部屋の中でモトリー・クルーをガンガンにかけてたんですよ。「あれっ、どこから聴こえるのかなあ？テレビでやってるのかな？」って、音をたどって近づいていったら、エリックの部屋。で、中に入ってみたらＣＤがバーッとあって、「聴くの？」って感じで。全然喋れなかったですけどね。（笑）

〜でも、そういうの知っちゃうと、他のチームメイトより仲間意識が強くなったりするでしょ？（笑）

初芝様：（笑）　彼は「このアルバムいいよ」って、メタリカでも何でも教えてくれますね。

〜今日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

初芝様：いや、僕もこういう話するのは好きなんですよ。あまり普段できないですからね。

〜来シーズンも頑張ってください。

初芝様：ありがとうございます。





　大変失礼な言い方になるが、Ｂ！時代の「悪魔の部屋」にしろ、改題して本誌で再開したこのコーナーにしろ、ゲストで登場していただいた方のほとんどが、業界関係者を除けばＨＭマニアと呼べるほど詳しくはなかった。
　それは当たり前のことで、楽しくハードロックを中心とした洋楽や音楽全般の話ができればいいというのがこのコーナーの趣旨である。しかも、異色のＨＭファン、ロックファンということは、普段はそれぞれの分野で活躍なさっているわけだから、私たちと同レベルで話せることを要求する方が間違っている。
　とはいえ、初芝選手の知識には驚いた。本分でもお判りのとおり、本当にＨＭ／ＨＲが好きだということが伝わってきた。アクセプトやオジー・オズボーンを聴いたことがないということを責めてはいけない。彼にそんな暇があったら、レギュラーどころか、一軍にすら入れない、いや、プロ野球選手にもなれなかったはずである。
　一球団の支配化選手は約７０人。その内、投手を除けば８人（ＤＨを入れて９人）しかレギュラーになれないという凄まじい競争率の中で、初芝選手は三塁というホットコーナーを死守し、しかもクリーンアップを打っているのだ。いつ蹴落とされるか判らないプロの世界で過酷な戦いを強いられ、選手会長という時間に追われる要職につきながらも、暇を見ては大好きなＨＭを聴いている・・・それだけでも、私は感動していた。　
　帰り際、初芝さんは満面に笑みを浮かべて言った。
「クイーンズライクも聴きたいんですよ」
　翌日から彼に送る教材（テープ）作りが始まった。