3月15日の楽天戦試合終了後、少し肌寒くなった夕暮れのマリンスタジアムで、満員のファンが見守る中、ジョニー黒木の引退セレモニーが行われました。
ウグイス嬢の谷保さんによる、「マリーンズのピッチャー、黒木」のアナウンスの後、黒木はゆっくりとマウンドに向かいます。
まずは打者3人との真剣勝負。ナインが守備につきました。セカンドはHISAO。今日出番がなかったのはこのためでしょうか。
トップバッターは同期入団のサブローです。サブローは三振に倒れ、マウンド上の黒木と抱擁を交わしました。
続いては楽天側から同期入団の礒部が登場。全員残っていたイーグルスのファンが礒部の応援歌を歌い、マリーンズファンからはジョニーコールが沸き起こります。結果はサードゴロ。わざと三振するなんて失礼なことはしたくなかったと、後で礒部は語っています。
最後のバッターは福浦。黒木は渾身のボールで福浦も三振に打ち取り、黒木は守備についていた選手たちと握手を交わしました。
勝負の後は花束贈呈。まずは楽天から延岡高校の後輩である草野が花束を渡します。
続いては小宮山。師匠格の小宮山は花束を持ちながら、マウンド上の黒木をホーム付近まで呼び寄せます。これにはスタンドから笑いも起きました。
次は石田打撃投手。黒木に54番を渡した先輩です。がっちりと、ずいぶん長い間握手を交わしていました。
最後は黒木の二人の娘さんが登場。上の娘さんは泣いていました。ファンももらい泣きです。
そして、いよいよ黒木による挨拶が始まりました。
「初めにこのような素晴らしいセレモニーをしていただいた球団、ならびに関係者の皆様。本当にありがとうございました。
監督、コーチ、スタッフ、選手の皆様方。本当にありがとうございました。
これまで自分に携わっていただいた多くの皆様、本当にありがとうございました。
自分の家族にも一言、言わせて下さい。今まで迷惑をかけました。これからもよろしく、本当にありがとう。
そしてファンの皆様方、本当にありがとうございました。マリーンズに入団して13年間、本当に幸せでした。
マリーンズへの声援が僕に勇気と力を与えてくれました。マリンのマウンドが大好きでした。
今日でこの大好きなマウンドは最後です。しかし、お別れは言いません。
またいつの日かどこかで皆様と会える事を信じています。13年間ほんとうにありがとうございました」
(私が撮影したものではありません)
挨拶を終えた黒木はボールを投げ入れるため球場を一周します。
黒木がライトスタンドに差し掛かった頃、マリーンズナインがいっせいに黒木に向かって走り出しました。
そして、ライトスタンドのファンの前で、ナインによる胴上げが始まりました。
ファンと共に戦ってきた男の最後を飾るに相応しい、感動的な光景です。
最後はナインや裏方と1人ずつ握手を交わしました。晋吾が号泣していましたね。共に復活を期して浦和で汗を流した仲です。様々なものが胸に去来したのでしょう。そして、若手の末永も泣いていました。将来の抑え候補と目されながら怪我に泣く末永、きっと黒木の背中を追いかけながら、自らを奮い立たせていたのだと思います。
握手を終えた黒木は最後に深々と一礼し、ベンチに消えて行きましたが、いつまでも鳴り止まないジョニーコールに答え、もういちどグラウンドに戻り、ファンの声援に応えてくれました。
やがてジョニーコールも一段落し、スタジアムDJがセレモニーの終わりを告げました。
観客が続々と帰りだしますが、マリンビジョンではまだ何かを映しています。
ふと見上げると、それは黒木が輝いていた頃の映像でした。
イチローが、井口が、バルデスが、松永が、田中幸雄が、片岡が、高木大成が、マルティネスが、鈴木健が、黒木の速球にきりきり舞いしています。
守るマリーンズには懐かしい面々ばかりでした。ファーストにはフリオ・フランコがいます。トンプソンもいます。ゴッドもいました。サードには酒井、ショートには小坂、キャッチャーは清水将海に定詰に吉鶴に福沢。
10分以上はあったでしょうか。映像は最後に「13年間ありがとう Johnny」というメッセージを残して終わりました。
映像が終わっても、私はしばらく動けませんでした。
もう遠い昔のこと。マリーンズが弱くて不人気だった頃のこと。でも確かにあの時、ジョニーはいたのです。ファンの期待を一身に背負い、俺たちと一緒に、戦ってくれたジョニー。チームは弱くても、俺たちがチームを勝たせるんだと本気で思っていたあの頃。
思わず胸が熱くなりました。そして、今、一つの時代が完全に終わったのだと感じました。
既に球場はガラガラです。球団職員の粋な計らいによるビデオを最後まで見届けたのはおそらく数百人だったでしょう。
ジョニーのかつての雄姿を目に焼き付けることができたファンは幸運でした。できればもっとお客さんがいる時に流して欲しかったと思います。
それでは、写真をご覧ください。80枚ほどありますので前、後編で分けてあります。
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黒木登場
一礼
マウンドへ
見守る選手たち
セカンドの守備につくHISAO
ライトスタンド
横断幕
サブロー登場
黒木投げる
黒木投げる
抑える
今江からボールを受け取る
サブローと握手
サブローと抱擁
ベンチに戻るサブロー
続いては同級生の礒部
礒部の応援歌が鳴り響く
サードゴロ
がっちりと握手
次は福浦
最後の対決
真剣勝負
渾身の投球
帽子を取る
橋本と握手
今江と握手
内野陣と握手
外野陣と握手
私は観戦に行くことができませんでしたが、Yahoo!動画に釘付けでした。すばらしいラスト登板、セレモニーでした。
引退試合っていつも、その選手にまつわる思い出が走馬灯のように蘇りますよね。自分もいろんなシーンが瞼の裏に焼きついています。
いつしかDメイ選手とお立ち台に立ち「うちの娘もメイって言うんですよ!」と親バカぶりを発揮していたこともありましたね。
その娘さんも大きくなりパパの仕事を理解し、その偉大さを感じたでしょうね。
多くのファンに愛され、そのファンを愛した黒木知宏投手。こういった機会があって良かったですよね。