6月10日に放映された報道ステーションのロッテ特集を見ました。
ガラガラの川崎球場、そして球界再編の苦境を乗り越えて人気球団に変貌しようとしているロッテ球団。
特集の内容はそのロッテが手がけているファンサービスについてでした。
内容はこのブログをご覧の方には今更なものばかりですから多くは取り上げません。
交流戦ではセリーグファン向けのイベントを増やし、セリーグファンを取り込もうとしているとのこと。
良い試みです。野球に興味の無い人間に0からアプローチするよりもずっと効果的ですからね。
やがてそういう兼任ファンがマリーンズ、そしてマリンスタジアムの魅力にはまっていき、気づけば立派な「ドM」となっていることでしょう。

そんな今更な内容の特集の中で、強烈な印象を残したのは球団職員の横山氏の一言です。

「瀬戸山代表が、ロッテは福岡に行くことになると思う、と言った」

横山氏はマリーンズの「ザ・ファン」と呼ぶべき方。ロッテ好きが高じてオリオンズ応援団から球団職員になってしまった方です。
横山氏の心中は察するに余りあるものがあります。

2004年6月13日。

近鉄、球団譲渡でオリックスと交渉 (日経)

オリックスと近鉄バファローズの合併交渉が明るみに出た日。あの忌むべき夏は、日経新聞のスクープから始まりました。

パ・リーグでもう1組の合併協議進行、ロッテが焦点に (日経)

パリーグファンの悲鳴と抗議を無視するかのように事態は進み、7月7日のオーナー会議でロッテが合併問題の渦中にあることが発覚。
そして、7月29日。日経新聞がロッテとダイエーの合併とロッテの福岡移転を報じました。

自分はあの日の衝撃を一生忘れません。社会人であれば、日経の一面で報じられることの意味は分かるでしょう。
それは、マリーンズファンへの非情な余命宣告でした。

タダでは死ねない。それにまだ100%死ぬと決まったわけじゃない。
そう思って色々あがき続けたあの夏。思い出したくはありませんが、忘れてはいけない記憶だと思います。
結局ファンの意志とは無関係にロッテは生き残り、近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブが消え、2004年の球界再編問題はひとまず収束しました。

そして今。
ファンクラブの会員は3倍に、観客も倍になり、収入は4倍になりました。
球場には多くのファンが押し寄せ、最下位に沈む現状でも平均20000人もの観客を動員しています。去年の平均からは千人程度しか減っていません。それだけファンが定着したのでしょう。喜ばしいことです。

もう大丈夫!マリーンズは人気球団となりました。めでたしめでたし!

はたしてそうなのでしょうか。

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確かに球団の努力でマリーンズはここまで来ました。
しかし、最近のマリーンズを見ていると、かつて余命宣告を受けた心の一部がチクチクと痛むのです。
雨の日の「やるやる詐欺」、そして球団が時折見せる「詰めの甘さ」。
今はまだいいのかもしれない。しかし、慢心や油断はやがて大きな落とし穴となります。もし球団がそれにはまってしまったら・・・。
正直自分は球団の行く末を心配しています。


詰めの甘さの象徴的存在が今年発売されたオーセンティックユニフォームです。
まずはこの2枚の写真を見てください。


オーセン


旧ユニ


上が今年売られているオーセンティックユニ、下が去年まで売られていたレプリカユニです。
何が違うか分かりますか?
そう、左腕についているカモメのマークの向きが違います。オーセンティックユニは真上を向いていますが、正しくは斜め。選手着用のユニはきちんと斜めになっています。
小さなことかもしれませんが、これはファンサービスの本質につながる重要なことだと思います。
authenticとは「真正の, 本物の, ほんとうの」という意味です。つまり、選手と同じユニフォームということです。
にもかかわらず、材質ならまだしも、デザインの部分で決定的な違いがある。これはまずいでしょう。
間違ったデザインにも関わらずなぜ通ってしまったのか、なぜ間違ったまま2ヶ月以上も売られているのか。
どうもファンサービスといいながらファンをなめているようで、正直どうかと思います。

そして明日からの阪神2連戦。
球団からのイベント告知を見て、自分は衝撃を受けましたよ。


千葉マリンスタジアム交流戦最後のカードとなる阪神戦で下記の通り、千葉ロッテマリーンズ外野応援団によるパフォーマンスを行います。
マリーンズファンの皆様、おはやめのご来場にご協力お願いいたします。

6月14日(土)
試合開始前、「ビッグフラッグ」が今シーズン初めてライトスタンドに登場!!
「ホーム外野応援席」のチケットをお持ちのお客様、ご協力お願いします!!(雨天の場合は中止)

6月15日(日)
千葉ロッテマリーンズ外野応援団のリードの下、1塁側〜ライトスタンドまでの皆さんと一緒にマスゲームを実施します。当日応援団よりマスゲームに使用するボード等が配られます。ぜひおはやめにご来場の上、ご協力お願いいたします。


なんだか変な方向に向かっているような・・・。
ビッグフラッグやマスゲームをやること自体は構わないんですよ。どんどんやればいいと思います。
ただ、これをさも球団のイベントであるかのように、「球団公式サイト」でアナウンスするとなれば話は別です。
なぜならば、ビッグフラッグやマスゲームの意味がまったく変わってくるからです。

なぜライトスタンドはビッグフラッグを掲げるのか?
なぜビッグフラッグを掲げながら「俺たちの誇り」を歌うのか?

あれはファンの一体感、チームと共に戦うというファンの意志をしめすものだったはずです。
ビッグフラッグもマスゲームも今までは応援団やMVPが自主的に遂行し、ファンはそれに協力してきました。
しかし、球団公式サイトで、「イベント」として告知されることによってすべては変わりました。
ファンの矜持を示すビッグフラッグはただの客寄せのための道具となりました。応援ではなく、パフォーマンスとなりました。
ビッグフラッグやマスゲームを主導する人たちは球団による「26」の商業化に反対していたのではなかったのか。
いいんですか?一度球団の協力を受けすぎると、球団の「客を呼びたいからビッグフラッグを掲げてよ」という申し出を断れなくなりますよ?

ファンの応援が客寄せに使われるのはとても残念です。
別に参加するなとは言いません。ビッグフラッグもマスゲームも当日はとても盛り上がるでしょう。
球団の意図など無視して、難しいことを考えずにイベントに参加するのもファンとしてのあり方の一つです。別に間違ってはいません。
それぞれの考え方にしたがって参加するかしないかを決めればいいと思います。

自分はどこの組織にも属さない、吹けば飛ぶような一ファンに過ぎません。
それでも一ファンには一ファンなりの矜持ってものがあります。マリーンズファンとしての理念があります。
それはガラガラのマリンで応援していた時も、球団が無くなりかけた時も、優勝した時も、そして今も変わらず持ち続けているもの。
自分は、それに従います。

土日とも用事があり、そちらを優先してからマリンに向かいます。試合開始には間に合いませんけど、まあそういうことですので。