7月の3連休+1日を使って東北地方を一周してきました。
JR線の乗り潰しという目的もありますが、実は東北に以前からずっと行きたいと思っていたところがあるのです。
青森県の北の果て。津軽半島を走る国道339号線。
その突端、竜飛岬の漁港から竜飛崎灯台に至る区間は、ちょっと、いや、かなり変わっています。
道が狭いとか、曲がりくねっているとか、そんな生易しいレベルではありません。
なんと、階段が国道になっているのです。当然車も自転車も通行不能。
全国でもここだけしかない不思議な国道は、その名の通り階段国道と呼ばれています。
東北旅行記の前編は、今回の第一の目的地、階段国道を目指します。
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7月19日土曜日、朝7時16分。
東京駅から山形新幹線に乗り、新庄に向かいました。満席だった車内は米沢から空き始め、終点につく頃には私の乗る車両の客は数人になっていました。
10時54分新庄着。ししゃものような外観の山形新幹線を降り、駅の外に出ました。これから乗る秋田行の電車までまだ時間があります。
ここ新庄はチャーシューの代わりに鳥モツをたっぷり入れたモツラーメンが有名です。まだ朝から何も食べていないので、早速駅前にある「急行食堂」に入ってみます。なんとも昭和の香り漂う店構えですね。
これがモツラーメン。あっさりしたしょうゆラーメンで、ちょっと甘めです。モツがたくさん入っており歯ごたえ充分。臭みはまったくありません。
なんというか、不思議なラーメンですよ。値段は驚きの550円。普通のラーメンと同じ量でしかもマリンのモツ煮と同じ程度のモツが入っています。これはオトクですね。朝からおいしい物が食べられて気分上々です。
しかし、これから乗る電車は気分上々とはいきません。
東北地方を走るこの701系という電車は通勤電車と同じロングシート。旅の醍醐味駅弁も相当勇気を出さないと食べられません。しかも短い編成なので混んでいます。途中から乗ると座れません。こんな電車に3時間も乗るなんて苦行です。景色はいいのですが。
途中マニアの間では有名な「のぞき駅」を通ります。及位と書いてのぞき。
この日は男鹿線、由利高原鉄道に乗り、秋田に泊まりました。男鹿線は男鹿半島を北上する路線で、期待に反して海が見えません。由利高原鉄道はひなびた田園地帯を走ります。晴れていれば鳥海山がよく見えるんだそうです。
7月20日日曜日。
秋田発5時46分発の電車に乗り、青森を目指します。電車はやっぱり701系。ロングシートだし、混んでいるし、トイレでうんこをしていたら外の女子高生に「ねーまだ入ってるよ?」とか言われるし、正直勘弁してください。
青森からは津軽線で北上します。途中の蟹田駅からはディーゼルカーに乗り換え。冷房が無いので窓を開け、風に吹かれていると旅に出たという実感が沸いてきます。
12時37分に終点の三厩に到着。津軽半島の最果ての駅です。3連休だけあって多くの旅行客が降りました。ここからは竜飛岬行きの町営バスが出ています。
駅舎の前では全線完乗を果たした方の記念撮影が行われていました。こういう最果ての駅で達成するのはいいものです。ガーラ湯沢とか、武蔵五日市で達成じゃ味気ないですしね。
この派手なバスに10人程度の客が乗り込み、津軽半島の突端、竜飛岬に向かいました。
バスは岬へと続く細い道を進みます。
竜飛漁港から一気に坂を上り、終点の竜飛崎灯台に到着。観光バスが何台も止まっています。
広場には『津軽半島冬景色』の歌碑がありました。真ん中の赤いボタンを押すと、『津軽半島冬景色』の歌が大音量で流れます。旅情もへったくれもありません。
バス停から階段を5分ほど上ると竜飛崎灯台に着きます。
竜飛と言えば強風で有名ですが、この日はそれほど風は吹いておらず、初夏の日差しが強烈に降り注いでいました。
岬の突端の景色です。遠くにうっすらと北海道が見えます。霞がかかっているのが残念です。
灯台からバス停付近まで引き返し、いよいよ念願の階段国道にやってきました。
山の下の竜飛漁港まで362段をテクテクと下っていきます。
途中広場のような箇所がありました。立派な国道の看板がアンバランスです。
斜面に沿ってうねうねと続きます。
ここで階段は終わりです。
階段が終わると集落の中を歩きます。
ピンクの道が国道。本当に国道なんでしょうか。
15分ほどで竜飛漁港側の入口にたどり着きました。
夏にここから登るのはかなりきついでしょう。
さて、念願叶った後は竜飛漁港からタクシーで小泊に向かいます。小泊からバスで津軽中里へ、さらに津軽鉄道、五能線、弘南鉄道に乗り継いで青森に出ようというプランです。タクシーは高くつきますが、今日中に竜飛岬と弘南鉄道全線と津軽鉄道をクリアするプランを考えた結果こうなりました。
タクシーは竜飛ラインという景色の良い道を快調に走ります。
途中竜飛岬が拝める展望台に立ち寄りました。緑がまぶしいです。
若い割りに津軽訛りの強い運転手さんの話では、この道を作る時に大変だったのは蛇。白神山地と違いクマがいないとはいえ、蛇にかまれる作業員が続出したそうです。
30分ほど走り小泊の集落に入りました。途端にイカの塩辛のにおいがしてきます。
「このあたりの新しい家はみんなイカ御殿なんですよぉ」とのこと。どうりで。
小泊のバスターミナルでタクシーを降り、バスの発車を待ちます。
バスは漁港に立ち寄りつつ、五所川原を目指します。漁港ではじいさんばあさんがモズクを干していました。
海沿いの道でバスとすれ違います。
津軽中里に近づくにつれ、田んぼが増えてきます。
4時過ぎに津軽鉄道の津軽中里駅に到着。写真は駅に停車中の走れメロス号です。津軽半島は太宰治のゆかりの地です。
公園の中の駅。
傾いたホームや待合室がいい感じです。
五所川原駅に到着。
五所川原駅前のバスターミナル。漢数字の時刻表が昭和情緒をかもし出しています。
弘前では弘南鉄道というローカル私鉄にも乗りました。車両は東急のお古で、ボタンを押して自分でドアを開ける電車です。
つり革も昔のまま。
なんだかんだで弘前と大鰐温泉を1.5往復もしたため、青森到着が夜10時になってしまいました。
駅からホテルに向かって歩いていたら、なんと津軽三味線のストリートミュージシャンがいます。
さすが青森!しかもうまいです。じっくり聞くと、津軽三味線は日本のロックだとつくづく思います。
ずっと聞いていたかったのですが、酔っ払いの集団が「ラッセーラ、ラッセーラ」と叫びながら近づいてきたので退散しました。
後編、「秘境!岩泉線探訪編」に続きます。
岩泉といえば8/16にイースタンのE−L戦が開催されるようですが、
地元以外の人も観に来る(来れる?)のでしょうか…