韓国の金東柱の獲得報道を巡って、どうもおかしな報道が繰り広げられています。
まずは記事を時系列順に並べてみましょう。

<野球>NPB、金東柱の身分照会を要請…千葉ロッテが有力 (韓国・中央日報)
 
韓国野球委員会(KBO)は12日、「日本野球機構(NPB)から金東柱に関する身分照会要請を受け、これを所属球団の斗山(ドゥサン)ベアースに通報した」と明らかにした。 身分照会要請は、選手−球団間の入団交渉がある程度合意した後に行われるケースが多く、金東柱の日本行きは最終段階に入ったと予想される。 (中略)慣例上、身分照会を要請した日本球団がどこかは明らかにされていないが、千葉ロッテ・マリーンズが最も有力な候補に挙がっている。


ロッテ 五輪金の大砲・金東柱獲り! (スポニチ)

米国でのウインターミーティングで、球団関係者が同選手の代理人と接触。すでに球団は身分照会を済ませており、近日中にも本格的な入団交渉を行う見通し。 (中略)球団関係者は身分照会の手続きを終えたことを明言。複数の球界関係者もロッテが金東柱獲得に動いていることを認めた。ウインターミーティングの会場では球団関係者が代理人と接触しており、視察に出向いたバレンタイン監督にも報告されているのは間違いない。昨オフも横浜と入団交渉を行った金東柱は日本でのプレーを熱望しており、強い売り込みがあったとみられる。

<野球>金東柱、千葉ロッテと本格交渉 (韓国・中央日報)

日本の主要メディアは13日、「千葉ロッテが右の大砲補強のため金東柱を選択した」と報じた。千葉ロッテのフロントも「韓国野球委員会に金東柱の身分照会要請を終えている」と確認した。千葉ロッテと金東柱は本格的な入団交渉に入っており、早ければ今週初めにも入団発表がある予定だ。


12/20 韓国大砲獲りでロッテ激怒!ボビー退団危機 (スポニチ)

ロッテのボビー・バレンタイン監督(58)が19日、成田空港着の航空機で米国から緊急来日した。同監督は韓国の大砲、金東柱(キム・ドンジュ)内野手(32=斗山)獲得を希望し、渉外担当者に指示して身分照会の手続きを行ったが、球団側は事前に報告を受けていなかったとして強く反発。20日にも同監督と球団首脳が話し合う見込みだ。今年9月には自身の契約問題がこじれ、感情的な対立もある。両者の溝は深く最悪の場合、退団騒動に発展する可能性もある。


スポニチと中央日報を読む限り、バレンタイン監督が球団に断りなく金東柱の身分照会を行ったことに対し、球団が不快感を示していることになっています。しかし、バレンタイン監督のブログでは、報道とまったく異なる形で今回の経緯が書かれています。

12/15 韓国人選手との契約についての誤解 (バレンタイン監督公式ブログ)

ブログによると、渉外担当者が金東柱の身分照会を行ったのは事実ですが、それは担当者がオーナーや監督に獲得の意思がある場合すぐに動けるよう独断で行ったものであり、その選手が確かにフリーエージェントであるという事実を確認するものにすぎず、獲得の意思を持って照会したのではないというのです。さらに監督は「よくよく話を聞くと、その選手が三塁手であることが分かり、今のチームは特にサードは必要でないんですよね。(中略)KBO(韓国野球委員会)はどこかのチームが選手に身分照会を要請する度にマスコミへと発表をするようで、この話を聞いて興奮したマスコミが、早とちりをしてしまい、身分照会を要請したので僕らのチームがこの選手と契約をするのだと報道してしまったのです。」と、金東柱の獲得を完全に否定しています。

真っ向から対立するスポニチとバレンタイン監督。記事をよく読んで比較すると、どうやらバレンタイン監督の主張の方が正しいように思えます。おそらく、このような流れではないでしょうか。

球団の渉外担当の嘉数氏が、調査目的でKBO(韓国野球委員会)に身分照会を行う。

韓国の中央日報が「選手−球団間の入団交渉がある程度合意した後に行われるケースが多く、金東柱の日本行きは最終段階に入ったと予想される。(この段階で身分照会の目的について誤解が発生しています)

スポニチが獲得報道。具体的な根拠は身分照会のみ。「近日中にも本格的な入団交渉を行う見通し。」

スポニチを見た中央日報が先走って「早ければ今週初めにも入団発表がある予定だ」と報じる。

バレンタイン監督がブログで獲得を完全否定。

スポニチが「バレンタイン監督退団危機」と報じる。

身分照会についてバレンタイン監督と球団との間で誤解があったのかもしれませんが、退団に結びつくほどの誤解とは思えません。おかしいのはスポニチの報道です。事実、同じ内容でもニッカンはだいぶトーンが違います。

ボビー極秘来日「金東柱騒動」球団に釈明 (ニッカン)

3番目の12/15付中央日報の記事は論評に値しません。「現在千葉ロッテは金東柱の初年度年俸として3000万円(約4億5000万ウォン)を提示しているようだ」という部分は、おそらくスポニチの記事の「深刻な赤字経営のため3000万円前後の新外国人調査を続けていたロッテ」という部分を読んで先走っただけでしょうから、獲得が正式に決まったかのように見える記事でも、実の所ほとんどが憶測と思われます。
そしてバレンタイン監督によって否定されたことにより誤報扱いされることになったスポニチが、今日付けの記事で意趣返しの退団報道を仕掛けているように見えます。

なぜこのようなことになっているのでしょうか。もともとスポニチの親会社である毎日新聞はマリーンズの前身であるオリオンズの親会社だった関係もあり、比較的マリーンズに対し好意的な記事が多かったように思います。
ところが、どうも最近バレンタイン監督に対して悪意があるとしか思えない記事が出るようになりました。例えばこの記事です。

11/17 ボビー ロッテと正式契約も“溝”ありあり (スポニチ)

わがまま、ワンマン等、記事に散りばめられたバレンタイン監督への批判。
どうもお家騒動の匂いがします。球団内の反バレンタインの幹部がスポニチなどに情報をリークしているのではないでしょうか。一連の流れでは、バレンタイン監督を何かにつけて追い出そうとしているように思えます。

以前も書きましたが、自分はバレンタイン監督の続投に対しては懐疑的な立場を取っています。
しかしながら、バレンタイン監督は負け犬だったマリーンズを変えた「恩人」です。これは誰もが否定しがたい事実でしょう。
その「恩人」を追い出したということになれば、監督に対し礼儀を欠くだけでなく、球団のイメージ悪化も避けられません。
だからこそ、喧嘩別れではなく、円満な形で次の政権にバトンタッチしてほしいのです。
かつての帳尻マリーンズは「終わりよければすべて良し」の精神をチーム全体で体現していました。その精神を思い出し、球団と監督は話し合いを尽くしてほしいと思います。特に今回の来日の目的は新外人獲得についての協議がメインでしょうから、打てる外人か面白い外人のどちらか、あるいは両方の獲得に向け、しっかりと話し合ってほしいですね。

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