「私のしたことを球団は全否定した」―ロッテ前監督が語る解任の真相

今週発売の週刊朝日にバレンタイン監督のインタビューが掲載されました。

週刊朝日。忌まわしい名前です。
マリーンズの快進撃に沸く2005年8月、週刊朝日のこの記事はマリーンズファンはおろか球界に衝撃を与えました。

「スクープ証言 快進撃の舞台裏で何が - ロッテ選手たちが飲んでいる謎の薬物」

記事の内容は10人近いマリーンズの選手が覚せい剤の一種であるアンフェタミンを含む「グリーニー」と呼ばれる薬物を服用しているというもの。
バレンタイン監督と瀬戸山社長はすぐさま否定し、その後騒動は収束しましたが、快進撃に水を差す悪意ある記事でした。
当時は瀬戸山社長が「これはバレンタイン監督に対する個人攻撃だ!」と激怒。私も「そんなにロッテを勝たせたくないのか週刊朝日は!」と憤ったものです。

そんなクソ雑誌の週刊朝日が今になってバレンタイン氏を担いでロッテ球団批判。
節操がありません。バレンタイン氏もバレンタイン氏です。グリーニーの件は週刊朝日の取材申込を何度も断っておきながら、自らの去就の件なら受けるのですね。

記事はバレンタイン氏による球団、特に石川副代表批判が主な内容で、この部分で目新しい内容はありません。
自ら考えたファンサービスを辞めさせられたこと、石川氏に「チームの妨げになることをしないでほしい」と懇願したが受け入れられなかったこと。
バレンタイン氏は、いかに自分が正しいか、そしていかに石川氏がひどい人物であるかを力説しています。
今年のゴタゴタは石川氏らのフロントとバレンタイン氏による権力闘争ですから、当事者の一方であるバレンタイン氏が自らの正当性を主張しつつ相手を攻撃するのは当然のこと。さすがアメリカ人だと感心しました。

確かに石川氏の言動は誉められたものではなく、私も石川氏に良い印象は持っていません。ただ、バレンタイン氏が自らについての報道内容を否定する部分には納得できない箇所がいくつかありました。

一つ目。マスコミが契約満了の理由の一つとして挙げた5億円の年俸については、「私はマリーンズの監督職を愛している。これを続けられるのであればそれがどういう報酬であっても構いません」とオーナー代行に伝えたと主張しています。
しかし、優勝に沸く2005年オフ、3年契約の2年目にもかかわらず、メジャーからのオファーをちらつかせて契約の結び直しを要求。3年12億を蹴って散々ごねた末4年20億といわれる破格の長期契約を勝ち取ったのはバレンタイン監督です。当時は「3年15億の年俸は妥当な金額、むしろ少ない程だ」とまで言い放ったバレンタイン監督がいまさらそんなことを言っても額面どおり受け取ることはできません。

そして今回の契約満了のきっかけの一つとなった「2010年以降の契約を結ばないなら2009年は指揮を取る気にならない」という発言。これに触れないのはフェアじゃありませんね。「私を解任しようという動きがある」という発言も後で「良く覚えていない」と事実上撤回しましたし。
そもそも、バレンタイン氏は今年の年俸を31000万と述べていますが、2005年オフから今まで30円近く円高になりましたから、契約締結当時はもっと高い額です。しかも氏にはたとえ3億が充分に高額であるという認識はないようですね。実際はメジャーのどの監督よりも高額です。そしてバレンタイン氏と氏が連れてきたコーチ、選手を解雇してもその後釜がくるのだからコスト削減にならないと主張していますが、西村監督の年俸は5000万ですからそれだけで2億6千万のコストダウンになるはずです。

次に二つ目。バレンタイン氏は外国人選手獲得に当たって氏がマージンを取っているという一部報道を否定し、むしろ外国人選手の契約額や年俸を低く抑えたのだからコスト削減に貢献したと主張します。しかしそれは費用対効果の面で検証されるべきです。2005年までのベニーやフランコは充分な活躍をしましたが、その後はどうでしょう。外国人枠がある以上、仮に年俸が安くても活躍できなければそれは無駄金です。

3つ目。ギザユニのユニフォームのデザイン料をバレンタイン氏が取っていたという報道を否定する件ですが、もしそうならなぜ草野球のユニフォームにギザユニのデザインが使えないのでしょう。以前監督が権利を持っていて使えないらしいという話を紹介しましたが、私がデサントとゼットに確認を取ったところ、「ギザユニのデザインは球団が許可を出さないので使えない」ということでした。ストライプは良くてなぜバレンタイン氏がデザインしたギザユニがダメなのか。これは今年に限った話ではなく、氏とフロントが蜜月だった頃から変わっていません。

最後にバレンタイン氏はファンに対する感謝の気持ちを述べています。ですが、「マリーンズファンは本当に特別な存在だった」と言うのであれば、ファンの多くが涙した9月27日の出来事について何か言ってほしかった。あの日でマリーンズファンであることを辞めたMVPの連中を擁護するようなことだけは言って欲しく無かった。それがとても残念です。

せっかく今週の週ベが綺麗なインタビューでまとめているのに、台無しですよね。
リクエストがあったので取り上げましたが、この記事は単にバレンタイン氏の言い分をそのまま書いているに過ぎず、記事自体の信憑性は問題になりません。
まあ「ロッテが優勝したのは薬物のおかげ」と言っているような雑誌です。ロッテ球団という権力が叩ければ何でもいいのでしょう。

ただ、ほとぼりが冷めた頃でも構いませんから、瀬戸山さんはこの騒動の顛末をしっかりと語って欲しいですね。


人気blogランキング
にほんブログ村 野球ブログ 千葉ロッテマリーンズへ