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オーストリア旅行記の第14回です。
3日目から鉄道旅行が本格的に始まります。
ローカル線に乗り換えて世界遺産の美しい村、ハルシュタットを目指します。


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9:36、ウィーンから特急列車を乗り継いで山間の乗換駅シュタイナッハ・イルドイング駅に到着。ここからさらにハルシュタットに向かう路線に乗り換えます。
今度の発車は9:42発快速列車(REX3445)、2時間に1本しか走らないローカル線なので、無事に接続してくれてほっとしました。
オーストリアの鉄道はおおむね正確ですが、秒単位で正確なのは日本だけで、数分の遅れは当たり前に発生します。運が悪いと数十分遅れるだけに、今日の乗継はかなりの綱渡りです。
今のところはうまくいっています。

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乗り込んだら犬がいました。一瞬驚きましたが、ペットを連れ込んでもいいようです。
飼い主はトイレの中。犬はおとなしく飼い主が用を足し終えるのを待っています。

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シュタイナッハ・イルドイングのかわいらしい駅舎。高原の駅らしいたたずまいです。

さて、ハルシュタットです。
世界史の教科書に出てくるので名前ぐらいはご存知かもしれません。
ザルツブルクの東に広がる湖水地方はザルツカンマーグートと呼ばれ、オーストリアを代表する観光地となっています。
そのザルツカンマーグートの最も東に位置するのが世界遺産の小さな村、ハルシュタットです。
Hallはケルト語で「塩」、Stattはドイツ語で「場所」を意味し、その名の通り紀元前まで遡る世界最古の岩塩坑があり、古代より塩の交易で栄えました。
その岩塩坑の近くから古代の墓地遺跡が発掘されたことから、中央ヨーロッパにおける青銅器時代後期(紀元前12世紀以降)から鉄器時代初期(紀元前8世紀から紀元前6世紀)にかけて主流となった文化をハルシュタット文化と呼ぶようになりました。
特に初期鉄器時代(紀元前800年〜400年)は、ここがケルト文明の中心として栄えたことからハルシュタット時代と呼ばれています。

中世以降、ハプスブルク家はハルシュタットを王家の直轄地として手厚く保護しました。
当時の岩塩は「白い黄金」と呼ばれるほど価値があり、ハプスブルク家の富の源泉の一つとなっていたのです。

現在のハルシュタットは世界中から観光客が訪れるオーストリア随一の観光地です。
ハルシュタット湖畔に山々を背にして建つ歴史ある美しい家並みは、「ザルツカンマーグート地方のハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観」として、世界遺産に登録されています。
近年はハルシュタットを舞台とした韓国ドラマが放映されたためか、韓国人観光客が増加しているということです。

ハルシュタットへのアクセスは2通り。もっとも一般的なのはザルツブルクからバスに乗ってザルツカンマーグートの主要都市バート・イシュルに向かい、バート・イシュルから別のバスか鉄道に乗り換えてハルシュタットに向かう方法です。
もう一つは最初から鉄道に乗る方法で、ウィーンとザルツブルクを結ぶ幹線鉄道のアットナング・プッハイム駅(Attnang-Puchheim)からバート・イシュル、ハルシュタットを経由してシュタイナッハ・イルドイングに向かう方法です。
ウィーンから直接ハルシュタットを訪れる場合もアットナング・プッハイムで乗り換える形が一般的です。
ザルツブルクからはバスに乗ったほうが早いのですが、アットナング・プッハイムからの鉄道の車窓がすばらしく、観光客に人気があります。

で、私はその鉄道路線にわざわざ遠回りして逆方向から乗ろうとしています。
なんでもこの路線は全区間すばらしい景色が続くのだとか。半分しか乗らないのはもったいないです。せっかく来たのですから世界遺産同士を絡め、セメリンク鉄道から遠回りしてこそ鉄道マニアってもんです。
ただし、アットナング・プッハイム駅からハルシュタットまでは1時間に1本列車が走りますが、今私のいるシュタイナッハ・イルドイング駅からは2時間に1本しかないので、乗継ぎはかなり厳しくなります。

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9:42、定刻に発車。4両編成の客車列車で2等車のみ。1等車はありません。
窓が開くのでさっそく限界まで窓を開けて景色を撮影します。アルプスのふもとの、きれいでのどかな牧草地帯が広がっていました。
検札の車掌さんが来たのでパスを見せます。

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♪チャラッチャッチャッチャチャーラーラー、チャーラー、ラーラーラーラー、チャラッチャッチャッチャチャーラーラー、チャーラーラー。
ああまさにリアル世界の車窓からです。頭の中であの曲が流れてきましたよ。
完全に晴れました。天気予報は曇りのち雨ですからラッキーです。

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小さな鉄橋にさしかかります。

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なんて美しい草原でしょうか。絵になる光景です。

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快速と言ってもほとんどの駅に止まります。かわいらしい小さな駅舎でした。

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ペンションでしょうか。おしゃれな形の建物です。

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景色が山がちになってきました。列車は小川に沿って登っていきます。

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Bad Aussee駅に到着。ほぼ定時です。

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列車はしばらく川に寄り添って進みます。

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小さな橋が架かっていました。道は森の中に消えています。

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川を渡ります。いよいよ山の中に入っていきました。

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時々山に囲まれた盆地に出ます。美しい草原が広がっていました。

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集落ごとに小さな駅があります。ハイキング客や地元の人たちの乗り降りがありました。

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車窓に湖が広がりました。ハルシュタット湖です。

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列車は湖に沿って、曲がりくねりながらゆっくりと走ります。

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まるで山に張り付くように建つ家並みが見えてきました。あれがハルシュタット。世界遺産の村です。

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小さな家々や教会の尖塔が湖に映っています。

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この景色、この景色が見たかったんです。ガイドブックやパンフレットに必ず載っている写真ですけど、どうしてもこの目で、生で見たかった。念願がかないました。

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10:36。ほぼ定時にハルシュタット駅に到着。世界的な観光地の玄関口とは思えない、湖畔の小さな無人駅です。
観光客が数人降りました。逆方向からの列車であればもっと降りるのでしょうが、この時間のこの列車は途中の小さな村々に泊まったか、オーストリア南部のグラーツ方面から回ってきたか、ウィーンから大回りしてきたマニアかです。

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列車はアットナング・プッハイムに向けて発車していきました。

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ハルシュタットの駅はハルシュタットの村から湖を挟んで反対側。なので村へは船で渡ることになります。

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橋じゃなくて渡し船。風情あっていいじゃありませんか。

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渡し船は鉄道の時刻に合わせて運行されています。列車は1時間に1本ですから、船も大体同じですね。

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対岸までは大人2.2ユーロ。往復で4.4ユーロ。往復割引はなさそうです。

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船賃は現金のみ。乗船時に手渡しで支払います。

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船に乗ったのは5人ほどでした。船内には木製の椅子が並んでいます。せっかくなので甲板に出てみましょう。

次回は世界遺産の村、ハルシュタットを散策します。



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