オーストリア旅行記の第27回です。
9月20日。今日も雨が降っています。予定を変更し、ピンツガウ地方鉄道に乗りに行きました。
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2011年9月20日火曜日。オーストリア旅行も5日目です。
朝6時過ぎに起床。まだホテルのレストランが開いていませんでしたので、駅前のパン屋で朝食用のパンを買いました。
1個1〜2ユーロで、日本よりも大きめのパンです。欲しいパンを指さして「ダス ビッテ!」と言えば注文できます。
ダスは「これ」、「ビッテ」は「ください」なので、食事をするときはこの言葉さえ覚えておけばなんとかなると思います。
パンを選んだら「ツヴァイなんたらオイロ」とドイツ語で値段を言われ焦りましたが、「は?」と聞き直したら英語で言い直してくれました。
今日はザルツカンマーグートを散策して登山鉄道に乗る予定でしたが、天気はあいにくの雨。しかも気温は5度とかなり冷え込んでいます。
残念ながら登山鉄道は悪天候時運休ですし、どうせ運行したところで雲に隠れて景色が見えませんから、予定を変更する必要があります。
そこで明日の予定と入れ替え、アルプスの山奥を走るローカル線、ピンツガウ地方鉄道に乗りに行くことにしました。
ピンツガウ地方鉄道(Pinzgauer Lokalbahn)はザルツブルクの南約50kmにある湖畔のリゾート地、ツェル・アム・ゼー駅(Zell am See)と、アルプスの谷間の村クリムル(Krimml)を結ぶ全長54キロのローカル線です。
1898年に開業し、長らく国鉄が運行してきましたが、並行するバス路線や自動車に客を取られて赤字に苦しんでいたことに加え、度重なる洪水で線路が損傷し大きな被害を受けたため、ザルツブルク州が運営に関わる鉄道会社Salzburger Lokalbahnが運営を引き継ぐことになりました。
Salzburger Lokalbahnはザルツブルクの郊外列車やホーエンザルツブルク城のケーブルカー、ザルツカンマーグートの登山鉄道、ザルツブルク周辺のバスやローカル線など手広く運行しています。
収益の柱は観光客と通勤通学客。長らく洪水による区間運休があったものの、ここ数年は乗客増加傾向にあるそうです。
ツェル・アム・ゼーディーからクリムルまでは約1時間半。ディーゼルカーや客車列車が760mmのナローゲージをのんびり走ります。夏場にはSL列車も運行されるとのこと。鉄道ファンとしてはぜひとも乗りたい路線です。
ただ問題が一つ。ガイドブックやWeb上の情報がほとんどなく、終点のクリムル(krimml)に何があるのかさっぱりわからないことです。
どうやら滝があるようですが、駅から遠いのか近いのか、バスで行けるのか・・・。情報が少なすぎます。
いったいどんな景色が拝めるのでしょう。
そんなわけで今日は1日中鉄道の旅です。
ルートとしてはザルツブルクの南を1周する形になります。まずオーストリア国鉄のヴェルグル(Wörgl Hbf)行列車に乗り、湖畔のリゾート地ツェル・アム・ゼー(Zell am See)へ。
ここからピンツガウ地方鉄道(Pinzgauer Lokalbahn)でクリムル(Krimml)まで往復します。
その後そのまま引き返すのではなく、ツェル・アム・ゼーから再びヴェルグル(Wörgl Hbf)方面行の列車に乗ります。
遠回りになるものの、この区間にはスキーで知られるチロルを代表するリゾート地、キッツビュール(Kitzbühel)などがあり、非常に景色が良い区間なのです。
ヴェルグル(Wörgl Hbf)でザルツブルクとインスブルックを結ぶ幹線に乗り換え、ザルツブルクに戻ります。しかしザルツブルク行の特急は半数がヴェルグル(Wörgl Hbf)を通過するため本数が少なく、1本逃すと2時間待ちです。
ヴェルグル(Wörgl Hbf)での乗り換えが今日最大のネックになりそうです。
ザルツブルク駅(Salzburg hbf)から7:10発のヴェルグル(Wörgl Hbf)行の快速列車(REX1502)に乗りました。列車はザルツブルク郊外の住宅地を抜けると一気に山の中に入ります。
日本の中央本線や高山本線に近い雰囲気ですね。窓を開けて写真を撮っていたら、車掌から「窓から顔を出さないで」と注意されました。
今日も肌を刺すような冷たい風が吹いています。山には雪が残っています。
山が深まるにつれ線路にも雪が積もりだしました。
ザルツブルク行の列車とすれ違います。この路線は2つあるザルツブルクとインスブルックを結ぶ路線のうちの1つですが、山を越えるのでスピードを出せません。
ほとんどの優等列車はいったんドイツ国内のローゼンハイムに入る平坦なメインルートを通ります。したがってザルツブルク郊外を抜け、クラーゲンフルト行の路線が分岐すると本数が減り、快速や普通列車が1〜2時間に1本走るだけのローカル線になります。
完全な雪景色になってしまいました。標高が上がると景色も変わりますね。これは寒そうです。
信じられません。今は9月末。日本なら30度以上あるはずです。これでは真冬ですね。
やがて湖が見えてきました。ツェル湖という大きな湖で、湖畔の街ツェル・アム・ゼーまではもうすぐです。
8:52。ツェル・アム・ゼー駅(Zell am See)に到着。日本では無名ですが、ヨーロッパでは広く知られたリゾート地で、ほとんどの乗客が降りました。
地下道を通り駅舎に向かいます。
駅前の様子。ピザやケバブ、アラブ料理の店が並んでいます。雨はほとんど降っていません。
ツェル・アム・ゼー駅の駅舎です。リゾート地の玄関口だけあって立派な駅舎です。
駅舎の中には列車の発車時刻を表示する案内板があり、国鉄の時刻とこれから乗るピンツガウ地方鉄道の時刻が出ています。
しかし、私が乗りたい9:17発のSL列車が表示されていません。9:00発のクリムル行普通列車の次は10:00発クリムル行です。
どういうことなんでしょう。
ピンツガウ地方鉄道のホームに行ってみました。もうすぐ9時になりますから、9:17発のSL列車が運行されるなら発車準備をしていないとおかしいです。
私は日本で印刷して持ってきたドイツ語の時刻表を見せ、ホームにいた車掌さんに聞いてみました。
「すみません。この9:17発のSL列車に乗りたいのですが」
「ディストレイン、イズ、ノー。ディス トレイン イズ サーズデー アンド サンデー(SLは運休です。SLの運行日は木曜と日曜日です)」
「え?まじっすか!」
なんということでしょう。
今日は火曜日。SLは毎週木曜日と日曜日にしか運転されないそうなので、今日は乗れません。
駅に貼ってあったSLの時刻表です。日本に帰ってよく読んでみたら、小さい字で7/14〜10/13の木曜日。7月と8月の日曜日、9/25、10/2の日曜日のみ運行と書いてありました。
うーんホームページの時刻表にもそう書いてあったのでしょうか。てっきり10月まで毎日運行するのかと思い込んでしまいました。しっかり読めば良かったです。
仕方がありません。私はホームに停車中の9:00発のクリムル(Krimml)行に乗りました。すると先ほどの車掌がやってきました。
私は「クリムルまで、往復で」と告げ、往復切符を購入しました。18.8ユーロ。片道1時間半弱かかるだけあって意外に高いです。
9:00、クリムル(Krimml)行の列車は定刻に発車しました。2両の客車をディーゼル機関車が引っ張る形ですが、客車の最後尾にも運転席があり、帰りは客車側の運転台から機関車を動かし、機関車が客車を押す形になります。
線路幅は日本のJRなどの在来線より30センチも狭い760mm。ですが車体幅は日本の在来線の車両とそう変わらないようです。
私が座った席の反対側の窓にこんなものが貼ってありました。
普通列車でも座席指定ができるんですね。途中駅から終点までボックス席4人分の予約が入っています。
しかし指定された駅になってもこの席に人は座らず、後で車掌が紙をはがしていました。ほかの席に座ったのかもしれません。
列車はしばらく国鉄線と並行し、住宅地の中に入っていきます。私は最後尾の運転台からの景色と、窓からの車窓を両方楽しむことにしました。
駅に止まります。屋根のないホームです。窓が開け、写真を撮りました。
昨日乗ったローカル私鉄同様、小さな駅は乗客がいなければ通過するようです。ただ、実際は半分近い駅で乗降がありました。
不思議なのは国鉄駅であるツェル・アム・ゼーから乗る客よりも、途中の小さな駅から乗る客の方が多いこと。始発のツェル・アム・ゼーから遠くなるにしたがって座席が埋まっていきました。
客層は地元民から観光客まで様々ですが、中高年のハイキングや登山客が多いようです。
車内の様子。新しい客車で、車両の真ん中に乗降用のドアがあります。ドア周りは座席がなく、自転車も積み込めるようになっています。
この時点ではまだ半分ほどしか客がいませんが、路線の中ほどでほぼ座席が埋まりました。
私の座った席の反対側にもおばさんハイキング軍団が座り、車内が賑やかになります。切符を売りにきた車掌もおばさんと仲良く談笑していました。観光鉄道の雰囲気です。
1両のディーゼルカーとすれ違いました。ピンツガウ地方鉄道は1時間に1本が基本ですが、ツェル・アム・ゼーから途中駅までは区間列車があります。
したがって途中までは30分間隔になる時間帯があり、半分以上の駅に列車交換用の設備がありました。それにしても真冬の光景です。
雪は降っていませんが、列車は雪原の中を進みます。
窓を開けると冷気が入り込んできます。この辺りは牧草地帯なのでしょう。晴れていれば気持ちいい景色が拝めそうです。
駅を通過。客はいませんが、ポツンと置かれた自転車が印象的です。
雲に覆われた山々をバックに教会の尖塔が見えます。
また1両のディーゼルカーとすれ違います。
このあたりは牧場でしょうか。雪原にたたずむ牛たちが寒そうにしています。
ピンツガウ地方鉄道の駅はどれも似通っており、ピンク色に塗られた待合室が建っています。
空がだんだん明るくなってきたように思います。雲がちょっと晴れてきました。
白くそびえる山々の向こうに青空がのぞいています。予報は雨のち曇りですが、晴れるのでしょうか。期待に胸が高まります。
列車は川沿いを走ります。
山々に囲まれ、肩を寄せ合うように集まった家々。集落の真ん中には教会が建っています。どこにでもあるヨーロッパの田舎。でもそれがとても美しいです。
列車の行き違いのため駅で少々停車します。
1両のディーゼルカーがやってきました。あちらも席はほとんどふさがっています。平日の10時台にしては乗車率がかなりいいですね。
やった!晴れてきた!アルプスの山々が見えます。ヤッホー!
私は窓を開け、カメラをだして写真を撮りました。この車両は開かない窓の方が多いため、通路の反対側に座っていたおばさんハイキング軍団も次々と私の隣にやってきて、思い思いに写真を撮り始めました。
駅に到着。ホームに降りて写真を撮る観光客もいます。
空はどんどん晴れてきました。山々からは靄がもうもうと立ち上っています。幻想的な美しさです。
アルプスの山々に青い空。もう何度目かわかりませんが、オーストリアに来てよかったと、心から思いました。
10:25、終点クリムル(Krimml)に到着。予定していた帰りの列車は12:33発です。
もともと乗りたかったSLの場合の到着時間は12:06でした。駅前を少しうろうろして引き返す予定でしたが、1本早い列車に乗ったおかげでクリムル到着が1時間半以上早まっています。
折り返しの列車まであと2時間。クリムルの村での予定は何も決めていません。さて、どうしましょうか。
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朝6時過ぎに起床。まだホテルのレストランが開いていませんでしたので、駅前のパン屋で朝食用のパンを買いました。
1個1〜2ユーロで、日本よりも大きめのパンです。欲しいパンを指さして「ダス ビッテ!」と言えば注文できます。
ダスは「これ」、「ビッテ」は「ください」なので、食事をするときはこの言葉さえ覚えておけばなんとかなると思います。
パンを選んだら「ツヴァイなんたらオイロ」とドイツ語で値段を言われ焦りましたが、「は?」と聞き直したら英語で言い直してくれました。
今日はザルツカンマーグートを散策して登山鉄道に乗る予定でしたが、天気はあいにくの雨。しかも気温は5度とかなり冷え込んでいます。
残念ながら登山鉄道は悪天候時運休ですし、どうせ運行したところで雲に隠れて景色が見えませんから、予定を変更する必要があります。
そこで明日の予定と入れ替え、アルプスの山奥を走るローカル線、ピンツガウ地方鉄道に乗りに行くことにしました。
ピンツガウ地方鉄道(Pinzgauer Lokalbahn)はザルツブルクの南約50kmにある湖畔のリゾート地、ツェル・アム・ゼー駅(Zell am See)と、アルプスの谷間の村クリムル(Krimml)を結ぶ全長54キロのローカル線です。
1898年に開業し、長らく国鉄が運行してきましたが、並行するバス路線や自動車に客を取られて赤字に苦しんでいたことに加え、度重なる洪水で線路が損傷し大きな被害を受けたため、ザルツブルク州が運営に関わる鉄道会社Salzburger Lokalbahnが運営を引き継ぐことになりました。
Salzburger Lokalbahnはザルツブルクの郊外列車やホーエンザルツブルク城のケーブルカー、ザルツカンマーグートの登山鉄道、ザルツブルク周辺のバスやローカル線など手広く運行しています。
収益の柱は観光客と通勤通学客。長らく洪水による区間運休があったものの、ここ数年は乗客増加傾向にあるそうです。
ツェル・アム・ゼーディーからクリムルまでは約1時間半。ディーゼルカーや客車列車が760mmのナローゲージをのんびり走ります。夏場にはSL列車も運行されるとのこと。鉄道ファンとしてはぜひとも乗りたい路線です。
ただ問題が一つ。ガイドブックやWeb上の情報がほとんどなく、終点のクリムル(krimml)に何があるのかさっぱりわからないことです。
どうやら滝があるようですが、駅から遠いのか近いのか、バスで行けるのか・・・。情報が少なすぎます。
いったいどんな景色が拝めるのでしょう。
そんなわけで今日は1日中鉄道の旅です。
ルートとしてはザルツブルクの南を1周する形になります。まずオーストリア国鉄のヴェルグル(Wörgl Hbf)行列車に乗り、湖畔のリゾート地ツェル・アム・ゼー(Zell am See)へ。
ここからピンツガウ地方鉄道(Pinzgauer Lokalbahn)でクリムル(Krimml)まで往復します。
その後そのまま引き返すのではなく、ツェル・アム・ゼーから再びヴェルグル(Wörgl Hbf)方面行の列車に乗ります。
遠回りになるものの、この区間にはスキーで知られるチロルを代表するリゾート地、キッツビュール(Kitzbühel)などがあり、非常に景色が良い区間なのです。
ヴェルグル(Wörgl Hbf)でザルツブルクとインスブルックを結ぶ幹線に乗り換え、ザルツブルクに戻ります。しかしザルツブルク行の特急は半数がヴェルグル(Wörgl Hbf)を通過するため本数が少なく、1本逃すと2時間待ちです。
ヴェルグル(Wörgl Hbf)での乗り換えが今日最大のネックになりそうです。
ザルツブルク駅(Salzburg hbf)から7:10発のヴェルグル(Wörgl Hbf)行の快速列車(REX1502)に乗りました。列車はザルツブルク郊外の住宅地を抜けると一気に山の中に入ります。
日本の中央本線や高山本線に近い雰囲気ですね。窓を開けて写真を撮っていたら、車掌から「窓から顔を出さないで」と注意されました。
今日も肌を刺すような冷たい風が吹いています。山には雪が残っています。
山が深まるにつれ線路にも雪が積もりだしました。
ザルツブルク行の列車とすれ違います。この路線は2つあるザルツブルクとインスブルックを結ぶ路線のうちの1つですが、山を越えるのでスピードを出せません。
ほとんどの優等列車はいったんドイツ国内のローゼンハイムに入る平坦なメインルートを通ります。したがってザルツブルク郊外を抜け、クラーゲンフルト行の路線が分岐すると本数が減り、快速や普通列車が1〜2時間に1本走るだけのローカル線になります。
完全な雪景色になってしまいました。標高が上がると景色も変わりますね。これは寒そうです。
信じられません。今は9月末。日本なら30度以上あるはずです。これでは真冬ですね。
やがて湖が見えてきました。ツェル湖という大きな湖で、湖畔の街ツェル・アム・ゼーまではもうすぐです。
8:52。ツェル・アム・ゼー駅(Zell am See)に到着。日本では無名ですが、ヨーロッパでは広く知られたリゾート地で、ほとんどの乗客が降りました。
地下道を通り駅舎に向かいます。
駅前の様子。ピザやケバブ、アラブ料理の店が並んでいます。雨はほとんど降っていません。
ツェル・アム・ゼー駅の駅舎です。リゾート地の玄関口だけあって立派な駅舎です。
駅舎の中には列車の発車時刻を表示する案内板があり、国鉄の時刻とこれから乗るピンツガウ地方鉄道の時刻が出ています。
しかし、私が乗りたい9:17発のSL列車が表示されていません。9:00発のクリムル行普通列車の次は10:00発クリムル行です。
どういうことなんでしょう。
ピンツガウ地方鉄道のホームに行ってみました。もうすぐ9時になりますから、9:17発のSL列車が運行されるなら発車準備をしていないとおかしいです。
私は日本で印刷して持ってきたドイツ語の時刻表を見せ、ホームにいた車掌さんに聞いてみました。
「すみません。この9:17発のSL列車に乗りたいのですが」
「ディストレイン、イズ、ノー。ディス トレイン イズ サーズデー アンド サンデー(SLは運休です。SLの運行日は木曜と日曜日です)」
「え?まじっすか!」
なんということでしょう。
今日は火曜日。SLは毎週木曜日と日曜日にしか運転されないそうなので、今日は乗れません。
駅に貼ってあったSLの時刻表です。日本に帰ってよく読んでみたら、小さい字で7/14〜10/13の木曜日。7月と8月の日曜日、9/25、10/2の日曜日のみ運行と書いてありました。
うーんホームページの時刻表にもそう書いてあったのでしょうか。てっきり10月まで毎日運行するのかと思い込んでしまいました。しっかり読めば良かったです。
仕方がありません。私はホームに停車中の9:00発のクリムル(Krimml)行に乗りました。すると先ほどの車掌がやってきました。
私は「クリムルまで、往復で」と告げ、往復切符を購入しました。18.8ユーロ。片道1時間半弱かかるだけあって意外に高いです。
9:00、クリムル(Krimml)行の列車は定刻に発車しました。2両の客車をディーゼル機関車が引っ張る形ですが、客車の最後尾にも運転席があり、帰りは客車側の運転台から機関車を動かし、機関車が客車を押す形になります。
線路幅は日本のJRなどの在来線より30センチも狭い760mm。ですが車体幅は日本の在来線の車両とそう変わらないようです。
私が座った席の反対側の窓にこんなものが貼ってありました。
普通列車でも座席指定ができるんですね。途中駅から終点までボックス席4人分の予約が入っています。
しかし指定された駅になってもこの席に人は座らず、後で車掌が紙をはがしていました。ほかの席に座ったのかもしれません。
列車はしばらく国鉄線と並行し、住宅地の中に入っていきます。私は最後尾の運転台からの景色と、窓からの車窓を両方楽しむことにしました。
駅に止まります。屋根のないホームです。窓が開け、写真を撮りました。
昨日乗ったローカル私鉄同様、小さな駅は乗客がいなければ通過するようです。ただ、実際は半分近い駅で乗降がありました。
不思議なのは国鉄駅であるツェル・アム・ゼーから乗る客よりも、途中の小さな駅から乗る客の方が多いこと。始発のツェル・アム・ゼーから遠くなるにしたがって座席が埋まっていきました。
客層は地元民から観光客まで様々ですが、中高年のハイキングや登山客が多いようです。
車内の様子。新しい客車で、車両の真ん中に乗降用のドアがあります。ドア周りは座席がなく、自転車も積み込めるようになっています。
この時点ではまだ半分ほどしか客がいませんが、路線の中ほどでほぼ座席が埋まりました。
私の座った席の反対側にもおばさんハイキング軍団が座り、車内が賑やかになります。切符を売りにきた車掌もおばさんと仲良く談笑していました。観光鉄道の雰囲気です。
1両のディーゼルカーとすれ違いました。ピンツガウ地方鉄道は1時間に1本が基本ですが、ツェル・アム・ゼーから途中駅までは区間列車があります。
したがって途中までは30分間隔になる時間帯があり、半分以上の駅に列車交換用の設備がありました。それにしても真冬の光景です。
雪は降っていませんが、列車は雪原の中を進みます。
窓を開けると冷気が入り込んできます。この辺りは牧草地帯なのでしょう。晴れていれば気持ちいい景色が拝めそうです。
駅を通過。客はいませんが、ポツンと置かれた自転車が印象的です。
雲に覆われた山々をバックに教会の尖塔が見えます。
また1両のディーゼルカーとすれ違います。
このあたりは牧場でしょうか。雪原にたたずむ牛たちが寒そうにしています。
ピンツガウ地方鉄道の駅はどれも似通っており、ピンク色に塗られた待合室が建っています。
空がだんだん明るくなってきたように思います。雲がちょっと晴れてきました。
白くそびえる山々の向こうに青空がのぞいています。予報は雨のち曇りですが、晴れるのでしょうか。期待に胸が高まります。
列車は川沿いを走ります。
山々に囲まれ、肩を寄せ合うように集まった家々。集落の真ん中には教会が建っています。どこにでもあるヨーロッパの田舎。でもそれがとても美しいです。
列車の行き違いのため駅で少々停車します。
1両のディーゼルカーがやってきました。あちらも席はほとんどふさがっています。平日の10時台にしては乗車率がかなりいいですね。
やった!晴れてきた!アルプスの山々が見えます。ヤッホー!
私は窓を開け、カメラをだして写真を撮りました。この車両は開かない窓の方が多いため、通路の反対側に座っていたおばさんハイキング軍団も次々と私の隣にやってきて、思い思いに写真を撮り始めました。
駅に到着。ホームに降りて写真を撮る観光客もいます。
空はどんどん晴れてきました。山々からは靄がもうもうと立ち上っています。幻想的な美しさです。
アルプスの山々に青い空。もう何度目かわかりませんが、オーストリアに来てよかったと、心から思いました。
10:25、終点クリムル(Krimml)に到着。予定していた帰りの列車は12:33発です。
もともと乗りたかったSLの場合の到着時間は12:06でした。駅前を少しうろうろして引き返す予定でしたが、1本早い列車に乗ったおかげでクリムル到着が1時間半以上早まっています。
折り返しの列車まであと2時間。クリムルの村での予定は何も決めていません。さて、どうしましょうか。
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素晴らしいですね。
よかったですね。