
オーストリア旅行記の第39回です。
インスブルック旧市街から最新鋭のケーブルカーとロープウェーを乗り継いでノルトケッテ連峰に登ります。
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時刻は15時。インスブルックの観光に思ったより時間がかかっています。私はこの辺でインスブルック(Innsbruck)旧市街の散策を切り上げました。
次の目的地は標高約2000メートルのノルトケッテ連峰の展望台。
インスブルック旧市街からケーブルカーとロープウェーで気軽に登ることができるのです。実にうらやましい環境です。
ケーブルカー乗り場は王宮の北側にあり、先ほど見学した宮廷教会と民俗博物館がある場所から徒歩5分ほどです。

ここからノルトケッテ連峰の展望台に登るためにはまずケーブルカーのフンガーブルクバーン(Hungerburgbahn)に乗って標高860メートルのフンガーブルクへ。そしてロープウェーのゼーグルーベバーン(Seegrubebahn)に乗り換え標高1905メートルのゼーグルーベへ。さらに別のロープウェーのハーフェレカーバーン(Hafelekarbahn)に乗り換えて標高2256メートルの山頂へと達します。
運賃はフンガーブルクまでのケーブルカー単独で往復6.8ユーロ。ロープウェーでゼーグルーベまで合わせて往復24.3ユーロ。山頂のハーフェレカー展望台まですべて合わせると27ユーロとなっていました。
インスブルックカードを持っていればもちろんタダ。すごいですね。カードは29ユーロですからノルトケッテに登るだけでほぼ元が取れる訳ですよ。
ヨーロッパの都市にはこうした割引カードがよくありますけども、ここまでお得なカードはそうそうないんじゃないかと思います。
さて、宮廷教会を背に5分ほど歩くと何やら近未来的なケーブルカー乗り場が見えてきました。まるで地下鉄です。

そうです。このフンガーブルクバーン(Hungerburgbahn)というケーブルカーは地下から出発するのです。以前はもっと旧市街から遠い場所に駅がありましたが、大規模な改修作業が行われて駅が旧市街内の地下に移設されたのだそうです。
チケット売り場でインスブルックカードを見せて乗車券に引き換え、ホームで10分ほど待っていると真新しいケーブルカーがやってきました。

フンガーブルクバーン(Hungerburgbahn)のケーブルカーは15:20に出発。車内は混み合っています。発車間際に日本人の熟年夫婦が乗り込んできました。インスブルックに来て初めて日本人を見たような気がします。

ケーブルカーはしばらく地下を走り、地上に出たところで最初の停車駅がありました。

1つ目の駅を出るとイン川を渡ります。

川を渡るとまたトンネルに入ります。
ここで普通のケーブルカーではありえないことが起きました。
これまで上り坂だったのが、下り坂になったのです。
普通のケーブルカーは上るか下るかのどちらかで、途中で上りが下りになることはありません。
なぜなら、ケーブルカーの車体は平行四辺形の形をしており、車内は階段状になっており、上り坂でちょうど水平になるように設計されています。
仮に普通のケーブルカーが平地や普段と逆の坂を走ったら車内が斜めになりすぎて中の客が立っていられません。
しかし、このケーブルカーは違います。上って平地を走り、今度は坂を下っています。
どうしてこんなことが可能なのか。それはこのケーブルカーに導入された最新鋭の技術の賜物なのです。
すれ違ったケーブルカーの車体を見ると、平行四辺形方の骨組みに、立方体型の客室が5個ぶら下がっています。
骨組みそのものは上り坂か下り坂かで車体が傾くものの、骨組みにぶら下がった客室はその都度傾きが常に水平になるように調整されます。
そのおかげで中の客は上り坂でも平地でも下り坂でも同じように立っていることができます。
これはすごい。鉄道マニアとしてはあまりのハイテクに感嘆してしまいましたが、大多数の人々にとってはどうでもいいことですね、すみません。

下り坂の後は急な上り坂になりました。2つ目の駅が見えています。動物園への最寄駅です。

ふもとの駅から約10分。15:30に標高860メートルの終点フンガーブルク(Hungerburg)に到着。

ここから少し歩いてロープウェーのゼーグルーベバーン(Seegrubebahn)の駅に向かいます。周りちょっとした集落になっており、高原のリゾート地のような雰囲気です。

ここで切符を見せてロープウェーに乗り込みます。ふと改札を見ると先ほどのケーブルカーで一緒だった熟年夫婦が改札を通れずもめています。どうやらケーブルカー乗り場のチケット売り場でロープウェーとセットになったチケットを買わず、ケーブルカーだけのチケットを買ってしまったようです。
係員が英語で説明しようとしていますが伝わらず困っている様子。見かねた私は熟年夫婦に「このチケットはケーブルカーだけしか使えないようなので、ロープウェーのチケットを別に買う必要がありますよ。この建物を出て左側に黒い建物のチケット売り場がありますから、そこで買ってください」と説明しました。
係員からサンキューと礼を言われ、私もほっとしながらロープウェーに乗り込みました。1

ゼーグルーベバーン(Seegrubebahn)のロープウェーは15:35に満員の客を乗せて出発。ぐんぐん高度を上げていきます。

下りのロープウェーとすれ違いました。これまた満員の客を乗せています。

眼下にはインスブルックの街並み。白い雪か輝く山々の向こうに、青く澄んだ空が広がっています。本当にきれいです。

15:45。標高1905メートルのゼーグルーベ展望台(Seegrube)に到着。ロープウェーの駅は混み合っています。ここで山頂まで行くロープウェーに乗り換えなのですが、乗り場がどこにあるのかわかりません。
とりあえずいったん外に出るとレストランがあり、観光客が景色を楽しみながら食事をしていました。

それにしても絶景。晴れてよかったですよ。

谷間に橋が架かっているのが見えます。その向こうには白い山々が連なっています。

冬はスキー場になるようで、今は動いていないリフトがあちこちにありました。

ゼーグルーベ展望台(Seegrube)の様子。皆思い思いに景色を眺めています。

目の前に広がるアルプスの山々。

先ほど到着したロープウェーが満員の客を乗せて下っていきました。

インスブルック旧市街を望遠で撮影しました。中央の広い通りがマリア・テレジア通り。左下に王宮と宮廷教会があります。

整然と建物が並んでいますね。

この辺りは住宅地でしょうか。

ケーブルカーの橋が見えます。

ノルトケッテは午前中に登ったパッチャーコーフェルのちょうど反対側になります。中央の森と雪の境目にパッチャーコーフェルのロープウェー駅が見えました。

はぁ・・・、きれいな景色だ・・・。
私はゼーグルーベ展望台にボーっと佇み、15分ほど景色を眺めました。
時刻は16時。ここで思案のしどころです。
前にも書きましたが、ここはまだ終点ではなく、さらにロープウェーに乗って標高2256メートルのハーフェレカー展望台に登ることができます。
しかし、今日はこの後トラムが登山鉄道になるという不思議な鉄道、インスブルックとフルプメスを結ぶシュトゥーバイタール鉄道に乗る予定になっています。ここだけは鉄道オタクとしては譲れない一線なのです。
シュトゥーバイタール鉄道のトラムは1時間に1本。インスブルック中央駅始発ですが、実際には折り返しではなく旧市街を一回りして方向転換します。
今いる場所から一番近いトラム乗り場は午前中に通ったマリア・テレジア通り周辺で、マリアテレジア通りと交差する道を通り、インスブルック駅に向かいます。
インスブルック駅出発後は今いる場所から見て遠いルートを走るため、トラムがインスブルック中央駅に着くまでになんとか捕まえなければなりません。
時刻表は日本で印刷しており、今度のトラムはマリア・テレジア通り付近を16:35〜16:38ごろに通過し、インスブルック駅に16:41に到着。16:53にフルプメス行となって駅を出発。終点フルプメスに17:55に到着します。
これを逃すとフルプメス到着が19時前になり日が暮れます。夜になり景色が見えなければ乗った意味がありませんから、なんとしてもこの16:35〜16:41に旧市街からインスブルック駅へと走るトラムを捕まえる必要があります。
問題は時間。
ゼーグルーベから下山するには最低30分、さらにトラムの走る通りまで歩いて10分ほどかかります。
したがって、今すぐに下山すればふもとの駅で16:30、トラムの走る通りで16:40。インスブルックの駅まで走ればなんとかトラムを捕まえられそうです。
ですがまだ山頂からの景色を見ていません。晴れていればイタリアとの国境であるブレンナー峠まで見えるとか。さぞかし絶景なのでしょう。
しかし山頂に行ってしまえば16:53発のフルプメス行トラムには100%間に合いません。
シュトゥーバイタル鉄道の一部をあきらめるか、山頂をあきらめるか。
悩みましたが、私はシュトゥーバイタル鉄道のトラムを選びました。下山です。

すぐに下山するロープウェー(Seegrubebahn)に乗り込みました。

16:10フンガーブルク(Hungerburg)に到着。急いでケーブルカーに乗り換えます。

待つほどもなくケーブルカーがやってきました。平行四辺形型の骨組みに立方体の客室がつるされています。
このアングルからならそれがよくわかります。

16:15にケーブルカーが発車。約10分でふもとの駅に到着しました。
小走りでトラムの走る通りへと向かったところ、約50メートル先をトラムがゆっくりと横切っていきました。
望遠レンズで確認したら系統番号が「STB」シュトゥーバイタール鉄道のSTBです。
あれだ!
あのトラムを逃したら1時間待ちです。私は走ってトラムを追いかけ、ムゼウム通りの停留所で何とか追いつきトラムに乗り込んだのでした。
リアル世界の車窓から。次回はシュトゥーバイタール鉄道(Stubaitalbahn)の車窓です。
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旅の計画を練る参考になりました。
ありがとうございます。