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イタリア・スイス旅行記の第30回です。
7日目はフィレンツェ観光です。
かつて宮殿だったヴェッキオ宮を見学し、夜はオペラ鑑賞に出かけました。


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ジョットの鐘楼でフィレンツェの景色を堪能し、再びウフィツィ美術館やヴェッキオ宮など観光スポットが集まるシニョーリア広場にやってきました。
昼間はウフィツィ美術館を見学しましたが、今度はヴェッキオ宮を見学しようと思います。

そして夜はフィレンツェのオペラ座、コムナーレ劇場でオペラ「ばらの騎士」を見る予定です。やはりせっかくイタリアに来たからにはオペラをみたいですよね。
オペラはヘルシンキで「フィガロの結婚」を見て以来、2回目となります。とても楽しみです。

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時刻は15:45。相変わらずシニョーリア広場は観光客でにぎわっていました。

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これはヴェッキオ宮の脇にあるネプチューンの噴水。メディチ家が栄華を極めたルネサンス期の面影が残る噴水です。

ネプチューンの噴水前にはメディチ家を追放してフィレンツェを支配したサヴォナローラが火あぶりの刑に処せられた場所でもあります。このサヴォナローラもフィレンツェの歴史を語る上で非常に重要な人物です。

ジローラモ・サヴォナローラは1482年にフィレンツェのサン・マルコ修道院の修道院に赴任しました。
後に修道院長となり、フィレンツェの享楽的な生活や腐敗、またメディチ家の独裁政治を批判したことや、フランス軍の侵攻を予言したことによってフィレンツェ市民の支持を集めます。
メディチ家がフランス軍の侵攻に対する対処を誤ったことにより追放されると、サヴォナローラはフィレンツェ共和国の政治顧問となって実権を握り、神権政治を行いました。
質素を旨とするサヴォナローラは工芸品や美術品をぜいたく品として広場に集めて焼却する「虚栄の焼却」を行いました。
こうした厳格な姿勢からサヴォナローラは宗教改革の先駆者とみなされていますが、その反面フィレンツェ市民の反発を招くこととなったのです。
また、サヴォナローラはローマ教皇を批判したことによって教皇側とも対立。最終的には暴徒化したフィレンツェ市民に襲撃されたことによってフィレンツェ共和国がサヴォナローラを捕縛、火あぶりの刑にされました。

その後、ハプスブルク家の援助を受けてメディチ家がフィレンツェの支配者として復帰しますが、かつての栄光を取り戻すことはできず、フィレンツェのルネッサンスは終わりを告げたのでした。

現在、ネプチューンの噴水の近くにブロンズの敷石があり、そこがサヴォナローラの火あぶりの場所と言われています。しかし噴水の周りに人が集まりすぎていて、どこがその場所なのかよくわかりませんでした。

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15:50にヴェッキオ宮に入ってみました。
ヴェッキオ宮は1314年に完成し、フィレンツェ共和国の政庁舎として使用されました。現在も建物の一部は市庁舎として使われています。

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入口を入ってすぐのミケロッツォの中庭。吹き抜けの回廊はさまざまな人々で賑わっています。
ヴェッキオ宮は1565年にフランチェスコ1世と神聖ローマ皇帝の娘であるジョヴァンナとの結婚を機に美しく改装されたのだそうです。金で装飾された円柱の装飾が大変美しく、また壁のフレスコ画は王妃の故郷であるオーストリア領内にあるウィーンやインスブルックなどの景色が描かれているそうです。

で、どこから見学したらいいのでしょうか。
係員にフィレンツェカードを見せるとインフォメーションに行けとのこと。インフォメーションでフィレンツェカードを見せ、チケットと引き換えてもらいました。フィレンツェカードがあれば無料です。

インフォメーションの係りが指さした方に行くと階段がありました。ここを登って宮殿内を見学するようです。
市役所が入っているためセキュリティチェックが厳しいと「地球の歩き方」に書いてありましたが、実際にはノーチェックで、荷物検査もありませんでした。たまたまでしょうか。

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見学順路の最初は「500人大広間」です。大学かなにかの行事でしょうか。学生とその親と思われる人たちが談笑していました。
入学式?卒業式?でも今は5月です。そんな時期ではないはずですが・・・。

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壁面の絵画や天井の装飾がとてもすばらしいです。天井がずいぶん高いですね。こんなすばらしい広場が現役で使われているというのはすごいです。

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ヴェッキオ宮での写真撮影は彫刻が展示されている部屋や「地図の間」などで一部禁止されているものの、それ以外の部屋は大丈夫でした。
この部屋はいくつもの絵画が展示されている部屋を通ります。

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この部屋は白を基調とした大理石の壁が美しいです。

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この部屋の壁画はヴィーナスの誕生を描いたものでしょうか。

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先ほど通った「500人大広間」の2階通路を通ります。一部で改修工事が行われていました。

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大広間の天井の装飾。

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こちらは謁見の間になります。

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このようにすばらしい絵画など芸術にあふれた部屋をいくつか見学して回りました。それにしてもさすがは芸術の都フィレンツェ。どの部屋も芸術点が高いです。

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16:30にヴェッキオ宮を出ました。見学時間は30分ほどでしょうか。市役所として使われているため、見学できる部屋はそれほど多くありません。

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オペラは18時からです。観光はこの辺で終わりにして、スーパーでおやつのサンドイッチを買って一度ホテルに戻りました。
部屋に入りサンドイッチを平らげた後、重くなったガイドブックやパンフ類をカバンから取り出し、ジャケットを着こみます。
オペラに行くのですからあまりラフな格好ではまずいでしょう。それに、夏のように暑い昼と違って夜は冷え込みますから上着が必要になるのです。

オペラの公演があるフィレンツェ・コムナーレ劇場はアルノ川沿いにあり、フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅から徒歩10分程度です。
ホテルから歩いても20分程度で行けそうなので、のんびりと歩いて行くことにしました。
露店が並んだ道を通り、メディチ家礼拝堂の角を曲がって駅に向かいます。

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シャツやカバンやマフラーなど様々なものが売られています。

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とある路地。黄色い壁と三色のイタリア国旗が絶妙なコントラストでした。

サンタ・マリア・ノヴェッラ駅に立ち寄ったのは明日の切符を買うためです。
当初は明日の早朝フィレンツェを発つ予定でしたが、アクシデントや心変わりなどがあり昼すぎの出発に変更したことは前に述べました。
まだ切符を買っていなかったので、自動券売機で明日の昼に出発する特急列車の切符を購入しました。1等車で36ユーロです。
ついでに予定変更のため使えなくなった特急の切符などを払い戻そうとしましたが、駅の窓口に長蛇の列ができているのでやめました。
のんびり並んでいたらオペラの開始時間に間に合わないかもしれません。20ユーロほど無駄になってしまいますが、そのために貴重な観光の時間をつぶすこともないでしょう。

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駅からやや狭い道を歩き、レストランが並ぶ一角を抜けてアルノ川に沿った道に出ました。ここまでくればコムナーレ劇場まではすぐです。

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フィレンツェのオペラ座、コムナーレ劇場にやってきました。イタリア3大歌劇場の一つです。

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コムナーレ劇場の前には赤じゅうたんが敷かれ、騎馬警官が警備にあたっています。
有名人が来るのでしょうか。玄関前にはテレビカメラや新聞記者が集まっていました。
とても華やかな雰囲気で、開演前から気分が高揚してきます。

フィレンツェでは毎年5月になると「フィレンツェ5月音楽祭」が行われ、街全体がお祭りムードに包まれます。
この音楽祭は今年で75回目になる伝統行事で、1933年に始まりました。
毎年コムナーレ劇場を中心にオペラやオーケストラ、バレエなどのコンサートが上演されます。
今年の見どころはR・シュトラウスの「ばらの騎士」とバルトークの「青ひげ公の城」です。
今回はたまたまフィレンツェ滞在日にオペラ「ばらの騎士」の公演があり、日本からインターネットでチケットを押さえました。お値段は大奮発して220ユーロ。約2万2000円。場所は2階のガレリア席の前方です。

インフォメーションでチケット購入画面を印刷した紙を見せて入場方法を聞いたところ、特に窓口でチケットを引き換える必要はないとのことで、そのままA4の紙を見せて入口から劇場の中に入りました。
お金持ちが多い1階平土間席と2階では入口が違うようです。

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まずは私の席を探しましょう。場所は奮発して2階のガレリア席。ガレリア席と言っても2階席の前から2列目なので、平土間席のすぐ上です。適度な高さがあり、ステージが正面に来るのでかなり見やすそうです。平土間と違って着飾る必要はありませんし、思ったよりいい席でした。

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開演は18時。22時30分までの長丁場です。プログラムによると1幕ごとに約25分の休憩があるようです。

開演までまだ時間がありますから、劇場内を散歩することにしました。
こちらは軽食スペースで、ワインやシャンパンや軽食を注文できます。先にレジでお金を払ってレシートをもらい、そのレシートを隣の係りに渡して物をもらう仕組みになっているようです。
ただ、お品書きがなく、何がいくらで売っているのかわからないので買いませんでした。
まあ、こんなところで買っても高くつきそうですし・・・。

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1階の平土間席への入口を見下ろします。着飾っている人が多く、上流社会の社交場と言った趣です。私のいるガレリアはちょっとフォーマルな人から普段着もいて、中にはジーンズもいました。男性は黒ジャケットが多いでしょうか。

トイレに行っているうちに時間になりましたので席に戻りました。
オペラ「ばらの騎士」の始まりです。

「ばらの騎士」はウィーンが舞台。R.シュトラウスによる傑作です。1911年に初演され、未曽有の大成功を収めました。

あらすじはこちらをご覧ください。
ばらの騎士(wikipedia)

このオペラ「ばらの騎士」は、音楽祭とあって出演陣がものすごく豪華です。

主な出演者は以下の通り。

マルシャリン(元帥夫人): アンゲラ・デノケ
オックス男爵:クリスティン・シグムンドソン 
オクタヴィアン:ケイトリン・ハルカップ
ゾフィー:シルヴィア・シュヴァルツ

指揮 ズービン・メータ
音楽 フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団

デノケはヨーロッパで、もっとも実力と人気を兼ね備えたソプラノと言われ、特に「ばらの騎士」のマルシャリンは彼女の十八番であり、世界中で好評価を受けているそうです。
オックス男爵役のシグムンドソンは長身のバス。オックス男爵のコミカルながら下品になりすぎない演技に定評があるそうです。
オクタヴィアン役のハルカップは若手の実力派メゾソプラノ。オクタヴィアンはじめ世界中数多くのオペラに出演しています。
ゾフィー役のシュバルツはウィーン国立歌劇場などで大活躍中の若いソプラノです。

そして指揮者のズービン・メータは現代の巨匠のひとりです。東日本大震災の時東京で公演中でしたが、原発事故の影響を危惧したフィレンツェ市長の帰国命令により止む無く帰国。東京公演も中止となりました。しかしその後4月に再来日し東京のチャリティコンサートで第九などを振りました。

実際に上演されたオペラの動画がコムナーレ劇場の公式ページに上がっていました。


言語はドイツ語、ステージ上に英語とイタリア語の字幕が出ます。
演出は現代的で、背景に鏡をうまく使い、背景を鏡に反射させることによって奥行きと広がりを持たせていました。
また、場面転換にも鏡が効果的に使われ、特に第2幕のばらの騎士登場シーンは鏡と照明をつかってオクタヴィアンに後光が差してかっこよかったです。

出演者は歌唱力があり、オーケストラも最高。特にマルシャリン伯爵夫人の独唱や最後の二重唱は言葉がわからなくてもほれぼれする美しさでした。筋書きもまあわかりやすいので、長いはずの4時間があっという間に終わってしまいました。

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終演。カーテンコールは長く、役者一人ひとりが幕から出てきて挨拶していました。
背景は最終幕。ウィーンの情景です。

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最後は出演者だけでなくオーケストラ全員がステージに上がっていました。

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私は大いに感動してオペラ座を出ました。
時刻は23時半過ぎ。
5時間近くも劇場にいた計算になります。さすがに疲れました。なにより頭が疲れています。
まだ開いているレストランもありましたが、のんびり食べていたら1時になってしまいますし、レストランに行って英語で注文する気力もありません。私はレストランには寄らずにカフェで5ユーロのピザを食べ、ホテルに帰って就寝しました。

明日は午前中はフィレンツェ観光。午後はボローニャに向かい、夜はミラノへと移動します。



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