
ポルトガル旅行記の第9回です。
2日目の9月16日はシントラ観光です。
ロカ岬からバスで港町のカスカイスに抜け、電車に乗ってリスボンに戻りました。
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■ 2日目 2012年9月16日
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ロカ岬の散策を終えて、リスボンに戻りましょう。

17:25発の路線バスに乗って海辺のリゾート地カスカイスを目指します。カスカイスからはリスボン行の近郊電車が発着しています。

バスは見晴らしのいい道を下っていきます。

ポルトガルの田舎は絵になる景色が多いです。思わず写真を撮ってしまいました。

18:04カスカイス着。バスはカスカイス駅から道路を挟んで反対側にあるビル内のバスターミナルに到着しました。ビルの2階から上はショッピングモールになっています。

カスカイス駅の改札口。

カスカイス駅の正面です。このまますぐ電車に乗ってもいいのですが、せっかくですからリゾート地カスカイスを散策してみましょう。

駅前から繁華街を歩きます。道路のタイルがおしゃれですね。

しばらく歩くと海辺に出ました。

海を眺めながらおいしい料理を食べるのもよさそうです。

路地に入ってみました。いいですね。実にいい。

カラフルに塗られた家がとてもまぶしいです。

いかにもリゾート地と言った雰囲気です。
ゴミは落ちておらず、治安もよさそうです。

海の見える一角。抱き合うカップルとオープンカーが実に絵になります。南欧の開放的な雰囲気を肌で感じられました。

雰囲気の良い道を歩き、綺麗なビーチがある一角に出ました。

ビーチの前の広場です。

ビーチには水着の人もいます。9月中旬とはいえ今日は30度を超えていますから、泳いでも大丈夫そうです。

老若男女が海を見ながらくつろいでいます。カスカイスは景色がいいですし、のんびりしていて住みやすそうですね。

しばらく広場で時間をつぶしました。

道路の反対側にも広場があります。誰かの銅像が建っていました。

ビーチに沿って歩きます。

海にはレジャー用のボートや漁船が浮かんでいます。

なにやら城壁のようなものが見えてきました。

入口があります。

内部はポサーダと言って、ポルトガル国営の高級ホテルでした。

さきほどのビーチへと戻る道です。大渋滞していました。

おもちゃ屋さん。灯台のミニチュアがたくさん売られています。

オープンテラスのレストラン。ヤシの木が南国ムードを醸し出しています。

ワインを売るお店がありました。

繁華街を歩いて駅に戻ります。高級そうなブティックが並んでおり、雰囲気がとても良いです。

18:50に駅に戻ってきました。一応街に散策に出る前に帰りの電車の時刻を確かめてあります。
ほぼ30分おきに発車しており、次の電車は19:03です。

トイレに行きたくなったので駅の向かいのショッピングセンターのトイレに行きました。

駅に戻り、電車に乗り込みます。ちょっと古びた通勤電車で、落書きもあります。
ところが、乗り込んでしばらくするとポルトガル語で放送があり、それを聞いた乗客が一斉に降り始めました。
一体なにがあったのでしょう。私も降りました。客を降ろした電車はドアを閉め、発車する気配がありません。

どうやら19:03発の電車は運休になってしまったようです。理由はわかりません。
次の電車は30分後の19:33。これはホームに表示されているので運行されるのでしょう。他の客と一緒に、ぼーっと電車が来るのを待ちました。

19:33の電車に乗ってカスカイスを出発。電車2本分の客を乗せているので混んでいます。

電車は海沿いの線路を走っています。本来であれば夕暮れの海を見ながらリスボンに戻れるはずだったのですが、この調子だと途中で真っ暗になってしまうでしょう。残念です。

20:20ごろにリスボンのカイス・ド・ソドレ駅に到着。カスカイスからの電車が発着するリスボンのターミナル駅の一つです。リスボンにはいくつかターミナル駅があり、メインはここから地下鉄に乗って10分ほど行ったサンタ・アポローニャ駅、そしてリスボンの北にある新市街のターミナル、オリエンテ駅です。
今日の日程は終了。明日はリスボンから谷間の宝石と呼ばれる美しい村オビドス、さらには港町ナザレを観光します。ナザレでは一泊し、明後日は鉄道を乗り継いでリスボンに戻る予定となっています。
オビドス、ナザレは鉄道のメインルートから外れているため、ローカル線の鈍行列車を乗り継いで行かなければなりません。
どんな車両で、どんな乗客がいて、どんな景色が見られるのか。異国の地のローカル線に乗るのは鉄道ファンとしてとても楽しみです。
まずは明日の切符を買いましょう。ポルトガル国鉄では特急、急行列車の切符をインターネットで購入できます。私も必要な分は日本でネット購入したのですが、鈍行列車の切符はネット購入できず、現地で窓口から購入する必要があるのです。
カイス・ド・ソドレも国鉄の駅ですから窓口で買えるのかと思いきや、「カイス・ド・ソドレは近郊電車専用の駅なので、近郊電車以外の切符は売ってません。サンタ・アポローニャ駅で買ってください」とのこと。やむなく地下鉄でサンタ・アポローニャ駅に移動します。
カイス・ド・ソドレの地下鉄駅は国鉄駅と直結しており、壁面の兎の絵が何ともユーモラスです。

地下鉄の始発駅カイス・ド・ソドレから一駅乗って、バイシャ・シアード駅で別の路線に乗り換えます。
そこから2駅乗って終点のサンタ・アポローニア駅に到着。もう21時近いので、急いで駅の窓口に行きました。
明日乗る予定の列車の番号や出発・到着時刻がすべて書かれた行程表を見せれば、怪しい英語でも大丈夫なはずです。
「すみません。明日リスボンからオビドス経由でナザレまで行きたいんですが」
しかし、窓口の女性職員は行程表を見るなり信じられないことを言いだしました。
「ああ、このルートの切符は売れません。列車が動くかどうかわからないんです」
「え?なぜですか?」
「ストライキですよ。英語わかります?ストライキ」
「はぁ!?ストライキ?」
なんということでしょう。ストライキで列車が動くかどうかわからないとのこと。
カスカイス駅で遭遇した謎の列車運休はこれが理由だったのです。
大変なことになりました。ストライキの状況次第では明日以降の日程が大幅に狂ってきます。
「ストライキはいつまでなんですか?列車はすべて動かないんですか?」
「ストライキがいつ終わるかどうかはわかりませんね。どの列車が動くかも明日にならないとわかりません」
「そんな・・・」
「ですが、アルファペンドラールやインターシティといった特急・急行は時刻通り運行されることになっています」
「ということは、動かないのは普通列車だけなんですか?」
「そうです。ですからリスボンからポルトやコインブラといった主要幹線上の都市には通常通り行くことができます」
「それはよかった」
「ですが、オビドスやナザレには普通列車しか運行していません。明日はたぶん運休ですよ」
「わかりました。ありがとうございます」
駅員の口ぶりから察すると、明日オビドスに行く列車が運行される可能性は低そうです。
もちろん運行されることを信じて突撃できないこともありません。
ですがオビドスは無人駅。予告なく運休されてしまったら運休を知る手段はなく、待ちぼうけになってしまいます。
あまりにもリスクが高いので、残念ながら鉄道利用はあきらめるしかないでしょう。
がっかりです。ポルトガルでのローカル線の旅を楽しみにしていたのですが・・・。
こうなった以上は気持ちを切り替えるのみ。鉄道がダメならバスです。
オビドスやナザレにはリスボンから高速バスが通じています。実は鉄道よりもバスの方が速くて本数も多く便利なのです。
「地球の歩き方」には「オビドスやナザレに行くには高速バスが便利、特にナザレは駅からナザレまで離れているのでおすすめしない」とあります。
鉄道に乗るつもりでバスの情報は調べてきませんでした。こうなった以上高速バスの時刻表やルートをインターネットで調べなければなりません。日本からノートパソコンを持ってきてよかったです。

私は肩を落としつつ地下鉄に乗ってホテルのあるポンバル侯爵広場に戻りました。

もう22時を過ぎています。レストランを探す気力もなく、かといってカフェで買ったパンでは味気ないので、私は宿泊先のホテル・フェニックス・リスボンのレストランで遅い夕食にしました。
バカリャウとポテトの炒め物です。バカリャウとは干しダラのことで、ポルトガルの国民食と言っても過言ではありません。オリーブオイルと塩味でおいしいです。日本人に合う味付けですね。お値段はバカリャウ14ユーロ。1リットルの水3ユーロ。合計17ユーロと、ホテル内なので若干高めでした。
夕食の後はノートパソコンを開いて明日と明後日の旅程の練り直しです。

地図をもとに説明していきましょう。
当初の予定は以下の通りでした。
・9/17 リスボン→オビドス→ナザレ
Sete rios 6:53 → Mira Sintra Meleças 7:19
Mira Sintra Meleças 7:42(R6405) → Òbidos 9:26
Òbidos 12:13(IR805) → Caldas da Rainha 12:19
Caldas da Rainha 13:21(R6457) → Valado-Nazaré-Alcobaça 13:50
・9/18 ナザレ→コインブラ→アベイロ→エスピーニョ→リスボン
Valado-Nazaré-Alcobaça 9:03 → Bifurcação de Lares 10:25
Bifurcação de Lares 10:38 → Coimbra-B 11:24
Coimbra-B 11:44(AP182) → Aveiro - Vouga 12:11
Aveiro - Vouga 13:10 → Sernada do Vouga 14:14
Sernada do Vouga 14:51 → Espinho 17:01
Espinho 18:00(AP128) → Lisboa Santa Apolónia 20:40
オビドス、ナザレを観光しつつ、ポルトガルのローカル線に乗ってリスボンに帰る。
我ながら完璧なプランニングでしたが、ローカル線が運休するのならリスボンへ戻る特急列車以外をバス移動にせざるを得ません。
まず明日のオビドスへのバスです。インターネットで調べたとところ、リスボンからオビドスへはテージョ社が高速バスを走らせているようです。
調べたところリスボン北部のカンポ・グランデバスターミナルからオビドスを経由してカルダス・ダ・ライーニャに向かう路線がありました。始発となるカンポ・グランデバスターミナルは現在地のポンバル公爵広場から地下鉄で約20分。それほど遠くありません。
テージョ社ホームページ
リスボン〜オビドス〜カルダス・ダ・ライーニャ線時刻表
本数は大体1時間に1本。所要時間は鉄道よりもずっと短く、鉄道なら2時間半かかるところをバスなら1時間5分で到着します。しかも鉄道のオビドス駅からオビドスの街まで10分歩きますが、オビドスのバス停は街の入口の目の前にありますから利便性では比較になりません。鉄道が廃れるわけです。
では、何時のバスにしましょうか。当初予定は7時前の電車でしたが、バスならもっと遅くていいでしょう。実は明日の出発を遅らせざるをえない事情もあります。
明日3日目はオビドス経由でナザレに向かい、ナザレで1泊した後リスボンに引き返します。しかし1,2,4,5日目に泊まるはずだった「ホテル・ガット・ロシオ」から日本出発の前日にオーバーブッキングをやらかした旨連絡があり、1,2日だけ「ホテル・フェニックス・リスボン」に回されてしまったことは前に述べました。つまり、ホテル・フェニックス・リスボンに2泊してチェックアウトし、1日開けてホテル・ガット・ロシオに2泊することになります。
「ホテル・フェニックス・リスボン」のあるポンバル公爵広場から「ホテル・ガット・ロシオ」のあるロシオ広場までは地下鉄で2駅。歩いても20分程度とそれほど遠くありませんが、問題は荷物です。
ホテルに荷物を置いたままナザレに1日足を延ばす予定だったのが、オーバーブッキングによって不可能になってしまったのです。
リスボンに荷物を置いて出かけるには、オビドス出発前に一度ホテル・ガット・ロシオまで足を延ばし、荷物を1日預かってもらうしかありません。もちろん今いるホテル・フェニックス・リスボンに明日まで預かってもらうこともできるでしょうが、ナザレからの帰りの時間がストライキで読めないので、今日のオビドス出発前に明日泊まる予定のホテル・ガット・ロシオまで荷物を持って行って預かってもらうことにしました。
そんなわけで、別のホテルに寄り道してから向かうため、リスボンからオビドスへは余裕を持って9:30のバスで向かうことにしました。
オビドス着は10:35、出発が3時間遅くなりましたが、オビドス市街到着は30分程度の遅れですみます。
次にナザレです。
オビドスからナザレへはオビドスから終点のカルダス・ダ・ライーニャまで乗って、そこからナザレ行のバスに乗り換えればよさそうです。
鉄道もオビドスからカルダス・ダ・ライーニャ乗り換えとほぼ同じ経路なのですが、本数が恐ろしく少ないうえに、ストライキで運休濃厚となれば除外せざるを得ません。
それにナザレの市街地は鉄道の駅から5キロ近く離れており、最寄駅のバラード駅からバスかタクシーで10分もかかってしまいます。一方バスならば街中のバスターミナルに直接乗り入れるので時間を節約できます。
鉄道に乗れないのは残念ですが、所要時間が短い高速バスに変更したことで観光の時間に余裕ができました。
問題は明後日。
当初の予定ではローカル線を乗り継いでナザレからリスボンに戻る予定でした。ポルトガルの北部、リスボンとポルトを結ぶ本線上のアヴェイロ駅から同じく本線上のエスピーニョ駅まで、本線の内陸側を走るローカル線があり、グーグルマップで見ると実にいい具合に曲がりくねっているのです。しかも通常の国鉄線よりも線路幅が狭く、途中の一部区間は1日1本。全線通して乗ろうとすればその1日1本しか走らない列車を捕まえなければなりません。
鉄道ファンは1日1本という言葉にものすごく弱いです。現在ポルトガルではローカル線の廃止が相次いでおり、1日1本の閑散路線などいつ無くなってもおかしくありませんから、鉄道ファンとして乗らずにはいられないのです。
今回のポルトガル旅行ではこの1日1本の列車に乗るために時刻表を調べ、このローカル線を中心とした計画を練り上げました。ローカル線の終点エスピーニョからリスボンに戻るための特急列車の切符も事前購入済です。
しかし、現在の状況では明後日のローカル線の運行もおぼつきません。当日にならないとわからないというのであれば、ナザレ付近で最も大きく、かつリスボン〜ポルト間の主要都市である都市コインブラまでバスで行き、コインブラの駅で当日の運行状況を聞いてみるしかないでしょう。
ナザレの最寄りバラード駅からの列車は運休の可能性がありますが、コインブラからリスボンまでの特急は通常運行していますから、ローカル線がダメならコインブラを観光すればよいのです。コインブラはポルトガル中部の都市で、ヨーロッパでもっとも古い大学の一つ、コインブラ大学があることで知られています。
そんなわけで、明日はオビドス、ナザレです。明後日はどうなるかわかりません。
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ロカ岬の散策を終えて、リスボンに戻りましょう。

17:25発の路線バスに乗って海辺のリゾート地カスカイスを目指します。カスカイスからはリスボン行の近郊電車が発着しています。

バスは見晴らしのいい道を下っていきます。

ポルトガルの田舎は絵になる景色が多いです。思わず写真を撮ってしまいました。

18:04カスカイス着。バスはカスカイス駅から道路を挟んで反対側にあるビル内のバスターミナルに到着しました。ビルの2階から上はショッピングモールになっています。

カスカイス駅の改札口。

カスカイス駅の正面です。このまますぐ電車に乗ってもいいのですが、せっかくですからリゾート地カスカイスを散策してみましょう。

駅前から繁華街を歩きます。道路のタイルがおしゃれですね。

しばらく歩くと海辺に出ました。

海を眺めながらおいしい料理を食べるのもよさそうです。

路地に入ってみました。いいですね。実にいい。

カラフルに塗られた家がとてもまぶしいです。

いかにもリゾート地と言った雰囲気です。
ゴミは落ちておらず、治安もよさそうです。

海の見える一角。抱き合うカップルとオープンカーが実に絵になります。南欧の開放的な雰囲気を肌で感じられました。

雰囲気の良い道を歩き、綺麗なビーチがある一角に出ました。

ビーチの前の広場です。

ビーチには水着の人もいます。9月中旬とはいえ今日は30度を超えていますから、泳いでも大丈夫そうです。

老若男女が海を見ながらくつろいでいます。カスカイスは景色がいいですし、のんびりしていて住みやすそうですね。

しばらく広場で時間をつぶしました。

道路の反対側にも広場があります。誰かの銅像が建っていました。

ビーチに沿って歩きます。

海にはレジャー用のボートや漁船が浮かんでいます。

なにやら城壁のようなものが見えてきました。

入口があります。

内部はポサーダと言って、ポルトガル国営の高級ホテルでした。

さきほどのビーチへと戻る道です。大渋滞していました。

おもちゃ屋さん。灯台のミニチュアがたくさん売られています。

オープンテラスのレストラン。ヤシの木が南国ムードを醸し出しています。

ワインを売るお店がありました。

繁華街を歩いて駅に戻ります。高級そうなブティックが並んでおり、雰囲気がとても良いです。

18:50に駅に戻ってきました。一応街に散策に出る前に帰りの電車の時刻を確かめてあります。
ほぼ30分おきに発車しており、次の電車は19:03です。

トイレに行きたくなったので駅の向かいのショッピングセンターのトイレに行きました。

駅に戻り、電車に乗り込みます。ちょっと古びた通勤電車で、落書きもあります。
ところが、乗り込んでしばらくするとポルトガル語で放送があり、それを聞いた乗客が一斉に降り始めました。
一体なにがあったのでしょう。私も降りました。客を降ろした電車はドアを閉め、発車する気配がありません。

どうやら19:03発の電車は運休になってしまったようです。理由はわかりません。
次の電車は30分後の19:33。これはホームに表示されているので運行されるのでしょう。他の客と一緒に、ぼーっと電車が来るのを待ちました。

19:33の電車に乗ってカスカイスを出発。電車2本分の客を乗せているので混んでいます。

電車は海沿いの線路を走っています。本来であれば夕暮れの海を見ながらリスボンに戻れるはずだったのですが、この調子だと途中で真っ暗になってしまうでしょう。残念です。

20:20ごろにリスボンのカイス・ド・ソドレ駅に到着。カスカイスからの電車が発着するリスボンのターミナル駅の一つです。リスボンにはいくつかターミナル駅があり、メインはここから地下鉄に乗って10分ほど行ったサンタ・アポローニャ駅、そしてリスボンの北にある新市街のターミナル、オリエンテ駅です。
今日の日程は終了。明日はリスボンから谷間の宝石と呼ばれる美しい村オビドス、さらには港町ナザレを観光します。ナザレでは一泊し、明後日は鉄道を乗り継いでリスボンに戻る予定となっています。
オビドス、ナザレは鉄道のメインルートから外れているため、ローカル線の鈍行列車を乗り継いで行かなければなりません。
どんな車両で、どんな乗客がいて、どんな景色が見られるのか。異国の地のローカル線に乗るのは鉄道ファンとしてとても楽しみです。
まずは明日の切符を買いましょう。ポルトガル国鉄では特急、急行列車の切符をインターネットで購入できます。私も必要な分は日本でネット購入したのですが、鈍行列車の切符はネット購入できず、現地で窓口から購入する必要があるのです。
カイス・ド・ソドレも国鉄の駅ですから窓口で買えるのかと思いきや、「カイス・ド・ソドレは近郊電車専用の駅なので、近郊電車以外の切符は売ってません。サンタ・アポローニャ駅で買ってください」とのこと。やむなく地下鉄でサンタ・アポローニャ駅に移動します。
カイス・ド・ソドレの地下鉄駅は国鉄駅と直結しており、壁面の兎の絵が何ともユーモラスです。

地下鉄の始発駅カイス・ド・ソドレから一駅乗って、バイシャ・シアード駅で別の路線に乗り換えます。
そこから2駅乗って終点のサンタ・アポローニア駅に到着。もう21時近いので、急いで駅の窓口に行きました。
明日乗る予定の列車の番号や出発・到着時刻がすべて書かれた行程表を見せれば、怪しい英語でも大丈夫なはずです。
「すみません。明日リスボンからオビドス経由でナザレまで行きたいんですが」
しかし、窓口の女性職員は行程表を見るなり信じられないことを言いだしました。
「ああ、このルートの切符は売れません。列車が動くかどうかわからないんです」
「え?なぜですか?」
「ストライキですよ。英語わかります?ストライキ」
「はぁ!?ストライキ?」
なんということでしょう。ストライキで列車が動くかどうかわからないとのこと。
カスカイス駅で遭遇した謎の列車運休はこれが理由だったのです。
大変なことになりました。ストライキの状況次第では明日以降の日程が大幅に狂ってきます。
「ストライキはいつまでなんですか?列車はすべて動かないんですか?」
「ストライキがいつ終わるかどうかはわかりませんね。どの列車が動くかも明日にならないとわかりません」
「そんな・・・」
「ですが、アルファペンドラールやインターシティといった特急・急行は時刻通り運行されることになっています」
「ということは、動かないのは普通列車だけなんですか?」
「そうです。ですからリスボンからポルトやコインブラといった主要幹線上の都市には通常通り行くことができます」
「それはよかった」
「ですが、オビドスやナザレには普通列車しか運行していません。明日はたぶん運休ですよ」
「わかりました。ありがとうございます」
駅員の口ぶりから察すると、明日オビドスに行く列車が運行される可能性は低そうです。
もちろん運行されることを信じて突撃できないこともありません。
ですがオビドスは無人駅。予告なく運休されてしまったら運休を知る手段はなく、待ちぼうけになってしまいます。
あまりにもリスクが高いので、残念ながら鉄道利用はあきらめるしかないでしょう。
がっかりです。ポルトガルでのローカル線の旅を楽しみにしていたのですが・・・。
こうなった以上は気持ちを切り替えるのみ。鉄道がダメならバスです。
オビドスやナザレにはリスボンから高速バスが通じています。実は鉄道よりもバスの方が速くて本数も多く便利なのです。
「地球の歩き方」には「オビドスやナザレに行くには高速バスが便利、特にナザレは駅からナザレまで離れているのでおすすめしない」とあります。
鉄道に乗るつもりでバスの情報は調べてきませんでした。こうなった以上高速バスの時刻表やルートをインターネットで調べなければなりません。日本からノートパソコンを持ってきてよかったです。

私は肩を落としつつ地下鉄に乗ってホテルのあるポンバル侯爵広場に戻りました。

もう22時を過ぎています。レストランを探す気力もなく、かといってカフェで買ったパンでは味気ないので、私は宿泊先のホテル・フェニックス・リスボンのレストランで遅い夕食にしました。
バカリャウとポテトの炒め物です。バカリャウとは干しダラのことで、ポルトガルの国民食と言っても過言ではありません。オリーブオイルと塩味でおいしいです。日本人に合う味付けですね。お値段はバカリャウ14ユーロ。1リットルの水3ユーロ。合計17ユーロと、ホテル内なので若干高めでした。
夕食の後はノートパソコンを開いて明日と明後日の旅程の練り直しです。

地図をもとに説明していきましょう。
当初の予定は以下の通りでした。
・9/17 リスボン→オビドス→ナザレ
Sete rios 6:53 → Mira Sintra Meleças 7:19
Mira Sintra Meleças 7:42(R6405) → Òbidos 9:26
Òbidos 12:13(IR805) → Caldas da Rainha 12:19
Caldas da Rainha 13:21(R6457) → Valado-Nazaré-Alcobaça 13:50
・9/18 ナザレ→コインブラ→アベイロ→エスピーニョ→リスボン
Valado-Nazaré-Alcobaça 9:03 → Bifurcação de Lares 10:25
Bifurcação de Lares 10:38 → Coimbra-B 11:24
Coimbra-B 11:44(AP182) → Aveiro - Vouga 12:11
Aveiro - Vouga 13:10 → Sernada do Vouga 14:14
Sernada do Vouga 14:51 → Espinho 17:01
Espinho 18:00(AP128) → Lisboa Santa Apolónia 20:40
オビドス、ナザレを観光しつつ、ポルトガルのローカル線に乗ってリスボンに帰る。
我ながら完璧なプランニングでしたが、ローカル線が運休するのならリスボンへ戻る特急列車以外をバス移動にせざるを得ません。
まず明日のオビドスへのバスです。インターネットで調べたとところ、リスボンからオビドスへはテージョ社が高速バスを走らせているようです。
調べたところリスボン北部のカンポ・グランデバスターミナルからオビドスを経由してカルダス・ダ・ライーニャに向かう路線がありました。始発となるカンポ・グランデバスターミナルは現在地のポンバル公爵広場から地下鉄で約20分。それほど遠くありません。
テージョ社ホームページ
リスボン〜オビドス〜カルダス・ダ・ライーニャ線時刻表
本数は大体1時間に1本。所要時間は鉄道よりもずっと短く、鉄道なら2時間半かかるところをバスなら1時間5分で到着します。しかも鉄道のオビドス駅からオビドスの街まで10分歩きますが、オビドスのバス停は街の入口の目の前にありますから利便性では比較になりません。鉄道が廃れるわけです。
では、何時のバスにしましょうか。当初予定は7時前の電車でしたが、バスならもっと遅くていいでしょう。実は明日の出発を遅らせざるをえない事情もあります。
明日3日目はオビドス経由でナザレに向かい、ナザレで1泊した後リスボンに引き返します。しかし1,2,4,5日目に泊まるはずだった「ホテル・ガット・ロシオ」から日本出発の前日にオーバーブッキングをやらかした旨連絡があり、1,2日だけ「ホテル・フェニックス・リスボン」に回されてしまったことは前に述べました。つまり、ホテル・フェニックス・リスボンに2泊してチェックアウトし、1日開けてホテル・ガット・ロシオに2泊することになります。
「ホテル・フェニックス・リスボン」のあるポンバル公爵広場から「ホテル・ガット・ロシオ」のあるロシオ広場までは地下鉄で2駅。歩いても20分程度とそれほど遠くありませんが、問題は荷物です。
ホテルに荷物を置いたままナザレに1日足を延ばす予定だったのが、オーバーブッキングによって不可能になってしまったのです。
リスボンに荷物を置いて出かけるには、オビドス出発前に一度ホテル・ガット・ロシオまで足を延ばし、荷物を1日預かってもらうしかありません。もちろん今いるホテル・フェニックス・リスボンに明日まで預かってもらうこともできるでしょうが、ナザレからの帰りの時間がストライキで読めないので、今日のオビドス出発前に明日泊まる予定のホテル・ガット・ロシオまで荷物を持って行って預かってもらうことにしました。
そんなわけで、別のホテルに寄り道してから向かうため、リスボンからオビドスへは余裕を持って9:30のバスで向かうことにしました。
オビドス着は10:35、出発が3時間遅くなりましたが、オビドス市街到着は30分程度の遅れですみます。
次にナザレです。
オビドスからナザレへはオビドスから終点のカルダス・ダ・ライーニャまで乗って、そこからナザレ行のバスに乗り換えればよさそうです。
鉄道もオビドスからカルダス・ダ・ライーニャ乗り換えとほぼ同じ経路なのですが、本数が恐ろしく少ないうえに、ストライキで運休濃厚となれば除外せざるを得ません。
それにナザレの市街地は鉄道の駅から5キロ近く離れており、最寄駅のバラード駅からバスかタクシーで10分もかかってしまいます。一方バスならば街中のバスターミナルに直接乗り入れるので時間を節約できます。
鉄道に乗れないのは残念ですが、所要時間が短い高速バスに変更したことで観光の時間に余裕ができました。
問題は明後日。
当初の予定ではローカル線を乗り継いでナザレからリスボンに戻る予定でした。ポルトガルの北部、リスボンとポルトを結ぶ本線上のアヴェイロ駅から同じく本線上のエスピーニョ駅まで、本線の内陸側を走るローカル線があり、グーグルマップで見ると実にいい具合に曲がりくねっているのです。しかも通常の国鉄線よりも線路幅が狭く、途中の一部区間は1日1本。全線通して乗ろうとすればその1日1本しか走らない列車を捕まえなければなりません。
鉄道ファンは1日1本という言葉にものすごく弱いです。現在ポルトガルではローカル線の廃止が相次いでおり、1日1本の閑散路線などいつ無くなってもおかしくありませんから、鉄道ファンとして乗らずにはいられないのです。
今回のポルトガル旅行ではこの1日1本の列車に乗るために時刻表を調べ、このローカル線を中心とした計画を練り上げました。ローカル線の終点エスピーニョからリスボンに戻るための特急列車の切符も事前購入済です。
しかし、現在の状況では明後日のローカル線の運行もおぼつきません。当日にならないとわからないというのであれば、ナザレ付近で最も大きく、かつリスボン〜ポルト間の主要都市である都市コインブラまでバスで行き、コインブラの駅で当日の運行状況を聞いてみるしかないでしょう。
ナザレの最寄りバラード駅からの列車は運休の可能性がありますが、コインブラからリスボンまでの特急は通常運行していますから、ローカル線がダメならコインブラを観光すればよいのです。コインブラはポルトガル中部の都市で、ヨーロッパでもっとも古い大学の一つ、コインブラ大学があることで知られています。
そんなわけで、明日はオビドス、ナザレです。明後日はどうなるかわかりません。
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