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みなさんご存知ですか?
ドイツにも野球のリーグがあります。
名前をブンデスリーガと言います。
サッカーじゃないかって?いいえ、立派な野球のリーグです。

もともとブンデスリーガとは「連邦リーグ」の意味なので、サッカー以外スポーツでも国内リーグをこのように呼ぶのです。
ドイツの野球リーグは2013年現在、1部16球団、2部13球団の合計29球団が所属しています。
1部は北地区と南地区に分かれており、所属チームは以下の通りです。

北地区
ベルリン・スラッガーズBerlin Sluggers
ボン・キャピタルズBonn Capitals
ケルン・カージナルスCologne Cardinals
デーレン・ワイルドファーマーズDohren Wild Farmers
ドルトムント・ワンダレアーズDortmund Wanderers
HSVスティーラーズHSV Stealers
ゾーリンゲン・アリゲーターズSolingen Alligators
パーダーボルン・アンタッチャブルスPaderborn Untouchables

南地区
バートホンブルク・ホーネッツBad Homburg Hornets
レーゲンスブルク・レギオネーレRegensburg Legionare
ハール・ディスキプルズHaar Disciples
ハイデンヘイム・ハイデケッフェHeidenheim Heidekopfe
マインツ・アスレチックスMainz Athletics
マンハイム・トルネードスMannheim Tornados
シュツットガルト・レッズStuttgart Reds
テュービンゲン・ホークスTubingen Hawks

試合数は土日を中心に28試合。地区別に各チームがホームとアウェーで対戦するようになっています。
試合数が少ないのは副業を持った選手に考慮しているからでしょう。興業として完全に成り立っているわけではなさそうです。
しかし、ドイツ野球のレベルは決して低いわけではありません。
ドイツはサッカーだけでなく様々なスポーツの育成に力を入れており、当然野球もその一つです。
ここ数年は国際大会で結果を出しており、2012年の欧州野球選手権では4位。2013年のWBCでは予選初出場ながら本戦進出決定戦まで勝ち進み、惜しくもカナダに敗れる健闘を見せています。
メジャーリーグもドイツ野球に関心を寄せており、2013年にはドイツのボンでトライアウトを行ったほか、2013年にはシンシナティ・レッズに所属するドナルド・ルーツがメジャーに昇格し、ドイツ国籍で初のメジャーリーガーになりました。

躍進目覚ましいドイツ野球。
一体どんな野球をするのでしょう。選手の実力は?球場の雰囲気は?観客の数は?
とても興味がわいてきました。

調べていくと、ちょうどその時計画していたスイス旅行の初日にドイツ野球ブンデスリーガの試合が各地で行われることがわかりました。
しかもフランクフルト空港から鉄道で1時間20分で行けるシュトゥットガルトでも野球の試合があります。
ブンデスリーガの1部リーグ、シュトゥットガルト・レッズ対テュービンゲン・ホークスの試合です。

 シュトゥットガルト・レッズ


チームのホームページを見ると、7月13日は午後1時からと午後4時からのダブルヘッダーになっているようです。
シュトゥットガルトからはスイスのチューリッヒに向かう特急列車が出ていますから、1試合目を観戦してからその列車に乗れば、当日中にスイスに入国できます。これでスケジュール上の問題はありません。

ただ、一つ問題があります。ヨーロッパ野球ではよくあることなのですが、
「球場がどこにあるのかわからない」
ということです。

私は2012年にイタリアのボローニャ、スペインのバルセロナの近郊にあるビラデカンスで野球の試合を観ました。
やはりその時も球場への行き方がわからず苦労しました。
どちらのチームのホームページを見ても、野球場に関する情報がほとんど無いのです。ビラデカンスの場合は最初住所すらわかりませんでした。
Google mapでその町の野球場らしき場所を探し、Google mapに出ている路線バスの情報を頼りに路線バスの公式ホームページを探り当て、目当てのバスがどこから出てどこで降りればいいのかを突き止めなければいけないのです。結局ボローニャは駅からバス、ビラデカンスの場合は鉄道駅から2キロの場所にあったので、駅から歩いて行くことができました。

シュトゥットガルトの場合ホームページがしっかりしているので、球場の地図までは簡単にたどり着くことができました。
しかし、肝心の交通手段がわかりません。駅からはかなり遠く、歩いて行ける距離ではないのは確かです。google mapで路線バスの情報も調べましたが、シュトゥットガルト中央駅からのバス便は残念ながらありませんでした。

途方にくれながらgoogle mapの写真版をグリグリ見ていたら、野球場からそう遠くない道路にトラムの線路らしきものを発見!
これは!と思いつつシュトゥットガルト交通局のホームページを見ると、シュトゥットガルト中心部だけ地下鉄となるトラムが走っており、そのうちの7番系統の路線が球場の近くを通ることがわかりました。地図を見る限り、最寄の駅から徒歩20分程度で球場に着きそうです。しかも1本道ですから迷うこともありません。
下調べはこれで完了。あとはドイツに渡るだけとなりました。


と、いうわけでドイツ野球観戦記です。
観戦した試合は7月13日ブンデスリーガ南地区公式戦、シュトゥットガルト・レッズ対テュービンゲン・ホークスです。
3回に分けてお届けします。知られざるドイツ野球の世界を、ぜひご覧ください。


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2013年7月13日土曜日。羽田発深夜1時のANA便に乗り、フランクフルトを目指しました。

最新鋭のボーイング787でしたが、ブラインドの代わりになるはずの電子シェードによる遮光カーテンが機能しておらず、直射日光を機内に通してしまっていました。CAが窓に段ボールを貼って応急処置をしていましたが、明るくて眠れなかったです。

飛行そのものは順調で、朝6時にドイツのフランクフルト国際空港に到着。
今回の目的はスイス旅行ですが、偶然到着日にフランクフルト空港に近いシュトゥットガルトで野球の試合がある事を知り、チューリッヒに向かう前に野球を観戦しようということになったのです。

ただし、シュトゥットガルトの野球場に行きつくにはいくつかの避けて通れない難関があります。
最初の難関がここ、悪名高いフランクフルト空港の税関です。
フランクフルト空港の税関はとにかく融通が利かないことで有名です。

ここでは1人当たり総額430ユーロを超える(15歳未満の場合は総額175ユーロ以上)値段の品物をシェンゲン区域外からドイツ国内に持ちこむ場合、必ず税関の赤いゲートでその旨を申告しなければなりません。申告しなかった場合は物品の没収や高額な追徴金という目にあってしまいます。つまり、普通の空港ならスルーされることがここではスルーされないわけです。
ここ数年は日本人も被害を受けており、バイオリン奏者の日本人がストラディバリウスを取り上げられたり、ビジネスマンがノートパソコンを没収されたり、サッカーの乾貴士選手が税関で腕時計を没収されたあげく、その場で屁をこいたのは侮辱だとして罰金3万円獲られたりと、まあ色々起こっています。


フランクフルト国際空港における税関トラブルに関する注意事項 (在ルクセンブルグ日本大使館)

ドイツ入国の際の税関手続きについて(ドイツ連邦共和国大使館・総領事館)


私の場合1眼レフのカメラにノートパソコンを持っていますから赤いゲートで申告が必要です。
しかし、恐る恐る税関のゲートに近づくと申告を受け付ける赤いゲートに係員がいません。早朝だからでしょうか。他の客は当然のように申告無しの緑ゲートを通り過ぎています。私も後に続いておっかなびっくり通過すると、税関を抜けたあたりで空港職員がミネラルウォーターを配っていました。あまりにも悪評が広まったため、イメージ向上を図っているのでしょうか。とにかく無事入国で来てホッとしました。

予想よりも早く入国できたので、空港のロビーで30分だけ使える無料Wi−fiなどで1時間ほど時間をつぶし、長い通路を歩いて鉄道の駅に向かいました。

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7:53発の特急列車に乗ってマンハイムを目指します。目的地のシュトゥットガルトはマンハイムで乗り換えです。
列車はほぼ時刻通りにやってきましたが、ホームに掲示されていた編成表と実際やってきた列車の号車番号が前後逆になっています。
おかげでホームの後ろ付近で待っていた私はホームの前方まで走る羽目になりました。
ドイツ人だからきちっとしていると思っていましたが、そうでもないようです。

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座席は1等車。ガラガラです。切符はインターネットで日本から予約してきました。検札に来た車掌にプリントアウトした切符を見せたら、購入時に使用したクレジットカードを見せるよう言われました。

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列車は田園地帯を走り、やがて工業地帯に入って8:23にマンハイムに到着。ここで8:30発のシュトゥットガルト行きに乗り換えました。こちらも特急です。

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9:08にシュトゥットガルト中央駅に到着。行き止まり式の大きな駅です。
ホームの付け根にコインロッカーがあり、スーツケースを預けました。値段は1.5ユーロ。この時は「安くて有難い!」と思ったのですが・・・。

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駅構内にはレストランや売店があります。朝4時ごろに機内食を食べたとはいえ、9時を過ぎて空腹です。
なのでバーガーキングでハンバーガーのセットを頼みました。6.8ユーロ。ドイツ語が分からなくても指さしてセットの番号を伝えればいいので楽です。

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野球の試合は13時からなのでまだ時間があります。ひとまず駅の周りを散歩することにしました。
立派な駅舎の周りにはショッピングセンターや観光案内所が建っています。

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駅前通り。お洒落なお店が並ぶ、新しい通りです。

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駅前通りに面したビルを通り抜けたら公園がありました。

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さらに歩くと教会や古い建物が集まる広場に出ました。

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なにやらバザーが開かれており、花がきれいです。

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別の広場では花や野菜、果物などを売る青空市場がありました。

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買いはしませんが、このような市場を歩くのは楽しいです。

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ぼちぼち時間がたったので、デパートでトイレを済ませ、地下鉄に乗って球場に行くことにしました。
シュトゥットガルトの地下鉄はトラムも兼ねており、中心部は地下を走り、郊外に出ると路面電車になります。


さっそく電車がやってきたので動画を撮ってみました。加速がすごいです。


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一番前から景色を眺めます。シュトゥットガルトのトラムは頻繁に運行され、系統も複雑なのでわかりにくいです。

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トラムはトンネルを出ると住宅地を北上していきました。

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微妙に時間があったので野球場の最寄駅を通り過ぎて終点までやってきました。マンションや公園などに囲まれた、何の変哲もない郊外の駅です。

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そのまま引き返し、12:20に野球場の最寄りであるSchozacher Str.駅で降りました。


さて、球場を目指します。グーグルマップによるとこうなっています。

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停留所から交差点を曲がって、後はひたすら歩きます。道の右手はマンションや公園。道の左手は米軍基地になっていました。

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公園に止まっていた車にシュトゥットガルト・レッズの対戦相手であるテュービンゲン・ホークスのポスターが貼ってありました。
きっと選手の車なのでしょう。

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駅から20分ほど歩いて野球場のある公園にやってきました。
通路をしばらく歩くと目の前には野球場!ドイツなのに野球場!
野球好きにとっては感動的な光景です。

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天然芝のきれいな球場ですが、設備は貧弱で、日本の運動公園にありそうなレベルです。
客席もバックネット裏や3塁側に少々あるだけです。たぶん300人も入らないでしょう。なにか大会があれば座席が増設されるのかもしれません。

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球場に入る前に公園を散策してみましょう。この公園には野球場以外にサッカー場やテニスコート。体育館に道場まであります。
ドイツはスポーツの普及にお金を惜しみませんね。うらやましい環境です。トイレも無料で使えました。

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公園内の案内看板。野球場はBaseballplats、platsとは広場です。道場はドイツ語でもDojoですね。

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公園の外にはブドウ畑が広がっていました。

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のどかな光景です。自転車で下ったら気持ちいいでしょう。

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さあ、野球場に入りましょう。なんとドイツの野球は有料でした。テントのおばさんに6ユーロ払い、チケットを購入します。

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さっそくバックネット裏の席に陣取ります。グラウンド内ではビジターのテュービンゲン・ホークスの選手たちが打撃練習を行っていました。


グラウンドに流れるBGMはなぜかクラシック音楽!さすがドイツ!

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外野の芝生ではホームのシュトゥットガルト・レッズの選手たちがキャッチボールをしていました。

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球場内を歩いていたら飲食ブースを発見。やはりソーセージは必須アイテムなのでしょうか。
ビールが2ユーロと安いです。

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そしてグッズショップのテントもあります。レプリカユニフォームやTシャツ、マフラータオル、帽子が売られています。
せっかくですので帽子を買いましょう。馬とSの文字をあしらったカッコいいデザインです。
英語は通じませんが、サイズをいくつか試させてもらい、25ユーロで買いました。球場にいる観客の半分以上がこの帽子をかぶっています。

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これが値段表。こういうものをきっちり作るところがドイツですね。

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3塁側の客席。48人分の座席があります。

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キャッチボールを終えた選手がグッズショップの前を通り過ぎていきました。

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入場券を売るテントではケーキやドーナツも売っています。
これは珍しいですね。しかも1個1ユーロ!この時点では110円ぐらいでした。
ドーナツは冷蔵庫から出したばかりなのか、冷たくておいしかったです。

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グラウンドではシュトゥットガルト・レッズのシートノックが始まりました。

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内野手が軽快な動きを見せています。

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外野手の方もまあまあ強そうです。

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練習を見る限り、上手くはないものの、下手でもないように感じます。

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ノック終了。

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Tシャツ姿だった選手たちがベンチでユニフォームに着替えています。

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グラウンドではビジターのテュービンゲン・ホークスのシートノックが始まりました。
監督が黒人ですね。

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なんだこの太った選手は?このドイツ版ドカベンはファーストの選手です。

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外野手は普通に守備をこなしています。

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内野はプレーが雑かもしれません。そして中南米出身と思しきヒスパニック系の選手が多いようです。l

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シートノック終了。

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試合前のグラウンド整備。選手自らが行っています。

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バッターボックスのラインを引いています。球場整備係を雇うほどの収益は出ていないようですね。

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一方球場の外には山小屋のような放送ブースがあり、アナウンサーが音楽を掛けながら今日のスタメンなどを発表していました。

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時刻は13時。いよいよ試合開始です。心なしかお客さんが増えてきたように思えます。

次回に続きます