2014年夏の北海道旅行記の後編です。
2日目は釧路から釧網本線と石北本線を乗り継いで旭川へ。
摩周駅で途中下車して霧の摩周湖を眺めたあと、石北本線では1日1本しか列車が止まらない上白滝駅を見ました。
3日目は深川から深名線の廃止代替バスに乗車しました。
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2日目は釧路から旭川へ移動。朝6時発の釧網本線の列車に乗って、摩周湖へと向かいました。車内には外国人の姿がチラホラ。台湾の人が多いようです。トイレに行くと和式トイレの使い方が英語、中国語、韓国語で書かれていました。

7時過ぎに摩周駅に到着。今日は摩周湖に行こうと思います。摩周湖行きのバスは8時40分なので、摩周駅から徒歩10分ほどの場所にある摩周温泉のホテル摩周で朝風呂を済ませ、バスに乗って摩周湖へと向かいました。
摩周湖へのバスに乗るためには駅の観光案内所で弟子屈エコパスポートという切符を買う必要があります。夏のシーズンのみ販売される切符で、1500円払えば摩周湖や屈斜路湖に向かうバスが2日間乗り放題になるほか、それぞれのバスには地元の観光ガイドが乗り込み、色々と案内をしてくれます。
私の乗ったバスには石原慎太郎に似たおじさんがガイドとして乗り込みました。おじさんの話では摩周湖と屈斜路湖はフランスのミシュランによる観光ガイドで3つ星をもらったらしく、最近フランス人観光客が増えているのだそうです。

9時に摩周湖第一展望台に到着。霧で何も見えません。

ジャンボタクシーに乗り換え摩周湖第三展望台へ。第三展望台は大型バスが転回できるスペースが無いため、このようにジャンボタクシーへと乗り換える必要があるのです。

やっぱり何も見えません。

一面の霧で、湖が全く見えません。

これは下手したら遭難しそうな霧ですね。風も強いです。霧の摩周湖というぐらいですから仕方ありませんが、がっかりしながら摩周駅に戻りました。帰りのバスにも石原慎太郎に似たガイドさんが乗っていて「ヒグマに遭ったら死んだふりをするのは良くありません。話しかけながら徐々に距離をとって逃げるか、戦うかの二択なのだそうです。最近のヒグマは市街地にも出没するそうで、民家に押し入ってお酒や缶コーヒーを飲んだりしているのだとか。怖いですね。

再び釧網本線の列車に乗り、網走で石北本線の遠軽行きに普通列車に乗り換え。乗り換え時間が5分しかないので何も変えませんでした。遠軽では2時間近く乗り換え時間がありましたが、特にやることはありません。駅をぶらつけば駅前の病院が潰れているし、不景気すぎて気分がめいってきます。私は街歩きを早々に切り上げ、コンビニでパンなどを買い旭川行き普通列車に乗り換えました。

石北本線は特急しか乗ったことがありません。普通列車の旅は初めてです。冬の特急は景色が変わらないので公卿でしかないのですが、同じ路線でも夏に乗ると違いますね。特急列車より普通列車の方が景色をじっくり見られます。それに窓が開けられるので、北海道の初秋の風を感じられます。

旧白滝駅。ひなびた無人駅ですが、女子高生が一人降りました。もう北海道は夏休みが終わっているんですね。

上白滝駅。この駅は1日1往復しか列車が停車しないことで知られます。遠軽方面が早朝。旭川方面が夕方です。

意外なことに利用客がいました。人家も見え、秘境という感じはあまりしません。

20時過ぎに旭川着です。今日は旭川にて宿泊。夜は当然旭川ラーメンでしょう。

翌日は旭川から特急に一駅乗り、深川から深名線の廃止代替バスに乗ります。
深名線は深川と名寄を結んでいたローカル線で、毎年ワースト10に入る大赤字線でした。周辺道路が未整備ということで、お客が乗らなくても存続していたのですが、ついに1995年(平成7年)に廃止されてしまい、現在は同じ経路をJRバスが走っています。
私は廃止する直前、1995年の8月に深名線に乗ったことがあります。昭和50年代から60年代にかけて全国で赤字ローカル線の廃止が相次ぎましたが、まだ子供の私は乗りに行くわけにも行かず、かろうじて廃止ラッシュの最後である深名線に間に合ったのです。当時はまだ高校生でした。

8時に深川駅を出発。ネットを見るとバスにトイレがついているという情報もありましたが、見る限りトイレは無いようです。
それにしても、夏休みの日曜日だというのに客が私しかいません。鉄オタもバスオタもいないとは・・・。

のどかな光景が広がっています。
深名線の廃線跡はどこにあるのでしょう。廃止から20年たつと、自然に帰ってしまうのでしょうか。

深川駅行のバスとすれ違いました。

ふと左を見ると駅舎のようなものが!あわててシャッターを切りました。貨物列車に連結された車掌車を利用した幌成駅の駅舎です。廃止後に工場の敷地内に移設されたのだそうです。。

廃線跡はどこにあるのでしょう。きょろきょろしていると、左側にそれっぽいものがあります。

間違いありません。深名線の廃線跡です。20年ほど前に乗った記憶がよみがえってきました。2両編成のディーゼルカーは廃止を惜しむ地元民や鉄オタで満席でした。

白い花が咲く畑。これはそば畑です。幌加内はそばの名産地として知られています。

進行方向右側。そば畑の中にぽつんと建つ木造の建物は、おそらく鷹泊駅の駅舎です。白い花に囲まれて、とても絵になる光景です。バスに乗っていますから一瞬で通り過ぎてしまうのですが、日ごろから野球場で鍛えていますから、シャッターチャンスを逃しません。20年前と代わらずにああやって建ち続けて、そこに鉄道があったことを今に伝えているのですね。

そば畑の中を行くバス。もう1時間乗っていますが、誰も乗ってきません。

どこまでも続く道。北海道ならではの雄大な景色です。

幌加内そばの看板が出ています。日本最寒の地のそばはさぞかしおいしいのでしょう。農業賞大賞受賞と誇らしげです。食べてみたいのですが、時間がありません。ゆっくり滞在するにはバスの本数が少なすぎるのです。

9:17に幌加内到着。時刻表ではここが終点となっており、かつての深名線の終点名寄へは別のバスに乗り換えとありますが、実際には深川からやってきたバスがそのまま名寄へと向かいます。トイレに行こうとしたら、「ここで名寄までの運賃を払ってもらえる?そのほうが安いから」と運転手さんに言われました。
幌加内のバス停は幌加内駅の跡地に建つ交流プラザ内にあります。交流プラザには商工会や観光協会のほか、深名線の資料室がありました。

在りし日の駅が紹介されています。一部の駅は駅舎が残りますが、ホームしかないような無人駅はその痕跡を探すことすら困難です。

1995年(平成7年)3月、廃止直前の時刻表。深川〜朱鞠内が4往復、朱鞠内〜名寄は3往復しかありません。
私が乗った95年8月のときは、11:10深川発の列車に乗り、終点の朱鞠内で1時間ほど待って名寄行きに乗り、名寄から宗谷本線に乗り換えて明るいうちに旭川に戻ったはずです。しかし時刻表を見ると朱鞠内発名寄行きは夕方までありません。廃止直前なので臨時列車がでたのかもしれませんね。

深名線を走った車両。20年前なので、キハ54やキハ40は今も現役ですね。私が乗ったのはキハ53だったと思います。

幌加内駅に掲示されていた時刻表。

切符。名寄の駅で廃止記念切符を買いました。今も押入れの奥にあるはずです。
深名線記念館を10分ほど見学して外に出ました。95年と書くとつい最近のような気がしますが、もう20年たつのですね。私もおっさんになるわけです。

真新しい交流間の建物。駅舎も残してくれればよかったのに、と思います。

発車を待つ名寄行きバス。客はやっぱり私一人です。

かつて駅があった共栄というバス停でようやくおじいさんが乗ってきました。このバスで初めてとなる「まともな客」です。運転手と顔なじみらしく、「今日は興部に行くんだよ」と挨拶していました。

バスは森の中を進みます。第三雨竜川橋梁がもうすぐ見えてくるようです。土木学会選定土木遺産?どんな橋でしたっけ。

前方に緑色のトラス橋が見えてきました。

あれが深名線の廃線跡である第三雨竜川橋梁です。廃止から20年たってもきれいなままですね。きちんと手入れしているのでしょう。

道端にぽつんとたつ建物はかつての政和駅の駅舎です。食堂として使われていると聞きましたが、営業している気配はありません。

これも木造駅舎。場所からすると添牛内駅の駅舎でしょう。状態がいいので、待っていれば列車がやってくるのではないかと思えてしまいます。

ちょっとした集落に入りました。まもなく朱鞠内です。鉄道時代はここ朱鞠内で双方から来る列車が折り返していました。

朱鞠内のバス待合所はかつての朱鞠内駅の敷地にあります。駅舎は取り壊され、線路と駅名表だけが残っていました。
ここで2人乗ってきたので、乗客は4人です。

朱鞠内から朱鞠内湖へ。朱鞠内湖は人造のダム湖で、深名線はこのダムを建設するための資材を運ぶために建設されました。車窓からダムが見えます。

前方に大きな湖が見えてきました。あれが朱鞠内湖です。バスの折り返しスペースがかつての湖畔駅ということですが、駅の跡は見つかりませんでした。

朱鞠内湖半から旧朱鞠内駅近くまで同じ道を引き返し、最近整備された山道を行きます。遠くに見えるのは朱鞠内湖です。

このあたりはかつての線路とだいぶ離れています。雨が強くなってきました。

再び湖が見えました。

峠を越え、あとは名寄に向けて下っていきます。
北海道名物、個人宅の名前を使ったバス停がありました。北川宅前。ほかに目印が無いからこうなります。

11:20に終点の名寄着。かつての廃線跡めぐりは当時の追体験でもあり、時の流れの速さを突きつけられる旅でもありました。
旭川行きの列車は1時間以上来ないはずだったのですが、運よく11:10発の旭川行きが遅れていたので乗れてしまい、予定よりも早く旭川に着きました。

空港に向かう前に遅い昼ごはん。やっぱり北海道に来たらジンギスカンですね。かなり量が多かったのですが、おいしいので一気に食べてしまいました。
以上、北海道旅行でした。天気があまりよくなかったのは残念ですが、無事に日程をこなせただけありがたい話です。今度は晴れた摩周湖を見てみたいのですが、晴れた摩周湖を見ると結婚できないとかいう話を聞きます。もう一度行くべきか、悩むところです。
迷信は信じなくて大丈夫ですよ。
・夜口笛吹くと蛇出る
・食べてスグ寝ると牛になる
等々、どれも根拠はありません。