マリンブルーの風 : 2013年南イタリア旅行記　第1回　深夜にナポリ着。翌朝カゼルタへ

南イタリア旅行記の第1回です。
2013年9月に南イタリアに行ってきました。
ナポリからカゼルタ宮、洞窟住居の町マテーラ、とんがり屋根の町アルベロベッロ、美しい海岸線で知られるアマルフィ、ローマ時代の遺跡が残るポンペイなどを巡ります。

2013年9月15日。成田からフランクフルト経由で深夜のナポリに到着。
翌日は鉄道でカゼルタに向かいます。

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美しい景色、歴史を感じさせる街並み、古代遺跡、美味しい料理・・・。イタリアほど魅力的な国はそうありません。
イタリアには2012年に一度行ったことがあります。その時はローマ、フィレンツェ、ヴェネツィア、ミラノ等、イタリア北部を巡りました。

今回は南イタリアで、友人との2人旅です。
南イタリアは北イタリアに比べて情報が少なく、歩き方も薄いのですが、「アーモイタリア」というホームページで情報を仕入れ、計画を練りました。

このホームページはイタリア個人旅行に必要な情報が何でもそろっています。イタリアに個人で行こうという旅行者のほとんどがこのホームページを見ているのではないでしょうか。
今回の旅行で訪れた場所は次のとおりです。
パリのベルサイユ宮殿をモデルに建てられ、立派な庭園を有するカゼルタ宮、洞窟住居が今も残り、乾いた風が吹く世界遺産の町マテーラ、白い壁のとんがり屋根の伝統住居が立ち並ぶ世界遺産の町アルベロベッロ、世界で最も美しい海岸線のひとつアマルフィ海岸、アマルフィの奥座敷ラヴェッロ、ヴェスピオ火山の噴火により時を止めたローマ時代の遺跡ポンペイ遺跡、今回の旅行で訪れる場所はどれも魅力的で、特徴ある風景が広がっているとのこと。とても楽しみです。他にも魅力的な町は沢山ありますが、10日という限られた日程ですからある程度絞らざるを得ませんでした。

あとはホテル。せっかく2人なので、なるべく1人では泊まれないタイプのホテルを選びました。マテーラは洞窟住居を改装したホテルに泊まり、アルベロベッロではとんがり屋根に白い壁のトゥルッリに泊まります。その土地の伝統的な建物を利用したホテルに、まるで住むように滞在するのです。
アマルフィのホテルは色々検討しましたが、町から離れたリゾートホテルではなく、町の中心にあるL'Antico Convittoという小さなホテルを選びました。これがまたとても評判が良いホテルで、特にスタッフの対応がすばらしいのだそうです。事実Hotels.comで予約したら「何か分からないことがあったら遠慮なく聞いて欲しい」というメールがホテルから送られてきました。
早速「ソレントからアマルフィへの行きかたを教えてください。バスではなく船で行けますか？」とメールすると、バスと船の時刻表がPDFで送られてきたのです。しかもアマルフィーのバスターミナルに着いたら連絡してくれれば迎えに行きます」と書いてありました。これはありがたい。泊まる前にここまでしてくれるホテルは珍しいです。

アマルフィへの行き方。これは非常に重要です。世界的に有名な観光地でありながら、アマルフィへの交通手段は貧弱そのもの。道が狭い上に海岸線が入り組んでいてカーブが多いのが原因です。
もっともメジャーなのはナポリからソレントまで電車に乗って1時間。ソレントからバスで1時間40分というもの。
このバスが曲者で、1時間に1本程度しかありません。にも関わらず始発のソレント駅では長蛇の列が出来ており積み残しが出ることも珍しくないのだとか。乗るまでが大変です。乗ったら乗ったでカーブの連続を1時間40分。おまけに運転も荒いときています。
そこへ行くと船は楽です。海さえ荒れなければ美しい海岸線を眺めていれば着きますし、バスよりも定員が多いです。ホテルに教えてもらった時刻表によるとちょうど良い船がありました。これにしましょう。

後は飛行機。アリタリアだと日系航空会社のマイルが貯まらないので、ANAマイルが貯まるルフトハンザにしました。行きはフランクフルト経由のナポリ着、帰りはナポリ発のミュンヘン経由です。
心配なのはナポリ着が22：35と遅いこと。ナポリは治安が悪いですし、タクシーのボッタクリが多いことで知られます。そんな街で深夜にタクシーに乗るのは不安なので、ナポリのホテルに空港からの送迎を頼みました。80ユーロと高いですが、到着早々トラブルに巻き込まれるよりはマシです。

2013年9月15日。16：40ごろにドイツフランクフルト空港に到着。ナポリ行きは20：40発ですから待ち時間が4時間もあります。我々はレストランで時間を潰しました。

しかし、ナポリ行きルフトハンザＬＨ336便は直前になって出発ゲートが40番ゲートから21番ゲートに変更されました。元々のゲートから通路を挟んで反対側です。しかも出発が20：55に遅れました。不思議に思いつつゲートの階段を下りるとバスが待っていました。飛行機までバス移動でしょうか。
満員の客を乗せてバスが出発。どこに行くのかと思いきや、バスは空港の建物に沿って走り建物の先端で向きを買えると、なんと元々の出発ゲートである40番ゲートの下まで来て止まりました。訳が分かりません。ゲートが変更されたにも関わらず、飛行機自体は元々出発予定だった40番ゲートに止まっていたのです。我々はタラップを上り、飛行機の最後尾から乗り込みました。

まあ、ゲートの変更はいいです。問題は飛行機がなかなか出発しないことです。時刻は21時を過ぎましたが、２台目のバスがなかなかやってこないので出発できません。
まずいです。ホテルに空港からの送迎を頼んでいますが、到着予定時刻から１時間待って来なかったらキャンセルされてしまいます。
連絡しなければなりません。英語で伝えられるか不安でしたが、意を決してホテルに電話しました。
「すみません。予約した者です。まだフランクフルトにいるんです。30分以上遅れるかもしれません」
「23時を過ぎますか？」
「たぶん」
「分かりました。到着ロビーで待つように、運転手に伝えます」
なんとか通じました。
結局飛行機は21：20になってようやくゲートを出発。滑走路が空かず離陸までさらに20分待ちました。

ナポリ空港到着は23：10。入国審査はフランクフルトで終えていますから荷物を引き取るだけです。バゲージクレームの窓口に大行列が出来ているのを見て焦りましたが、我々の荷物はちゃんと出てきました。
荷物を引き取って到着ロビーに出ると真っ先に目に入ってきたのは我々の名前を書いたボードを持ったおっさん。ホテルの送迎です。待っていてくれました。
外に出てスーツケースを積み、23：30に出発。高速を飛ばし、海沿いの曲がりくねった道を走り23：50にホテル到着。送迎代金の80ユーロはチェックアウト時に支払うということで、遅くまで待っていてくれたドライバーのおっさんにチップとして5ユーロを渡しました。

ナポリで泊まるのはグランドホテル・パーカーズという五つ星ホテル。高級でありながら1泊1万円台で泊まれるお得なホテルです。場所はナポリ湾を見渡す高台にあり、町の中心からは離れています。
鍵を受け取り、明日ナポリ中央駅に行くためのタクシーを予約してもらいました。
「駅までなら出発1時間前に出たほうがいいです」
「そうですか」
「何時の電車に乗るの？」
「１１：０６っす」
「じゃあ10時かな。切符は買ってある？」
「まだです」
「なら余裕を持って９：４５にしましょう」
「ありがとう」
五つ星だけあってフロントの対応はしっかりしています。明日の足を無事確保し、部屋に入りました。

ホテルのエレベーターが故障しているとのことで、従業員用のエレベーターへ。ただ深夜なのにエレベーターボーイが常駐しており、迷うことはありませんでした。高級感あふれる通路を歩き部屋へ。

部屋は照明が明るく、暗い部屋が多いヨーロッパのホテルでは珍しいです。
とにかく疲れたので、シャワーを浴びてすぐ寝ました。

一夜明けて9月16日。今日はナポリ近郊のカゼルタに向かい、ヴェルサイユ宮殿をモデルとして18世紀に建てられたカゼルタ宮とその庭園を見学し、カゼルタ駅前のホテルに泊まる予定です。
まずは朝食。メニューが多く、ハムが美味しいです。

レストランからはナポリ湾を一望できます。すばらしい景色ですね。

昨日雨が降ったのでしょうか。床が水で濡れています。洒落たテラスですね。

朝食を済ませて屋上に上がり、ナポリの町を眺めます。はるか向こうにはヴェスピオ山。

美しいナポリ湾の景色。イタリアに来たという実感がわいてきます。

左手には卵城。ナポリの観光もしたかったのですが、10日間という限られた日程ではナポリを割愛せざるを得ませんでした。

海に突き出た卵城。訪れる機会はあるでしょうか。

だんだん日が高くなってきました。まだ駅に向かうには時間があります。ホテル周辺を散策してみましょう。

1階のフロント。高級ホテルにふさわしい、落ち着いた雰囲気です。フロントではいかにもお金持ちそうな日本人夫婦がスタッフと話していました。ホテルの玄関前にはタクシーの運転手が何人か待ち構えており、「タクシーに乗らないか？駅？空港？ポンペイにも行けるよ？」と声をかけてきました。彼らを無視して外に出ます。

月曜日の8時過ぎ、ちょうど通勤通学の時間帯です。ホテルの前の道は車やバイクがひっきりなしに行きかっていました。起伏に富む街だからでしょう。スクーターで通勤するスーツ姿のサラリーマンが目立ちます。

歩道をぶらぶら歩いてみました。交通量が多く、なかなか道を渡れません。

想像していたよりも賑やかで、活気があります。ちょっとごみごみしていますね。途中に小さな展望台があり、景色を眺めました。

しばらく散歩してホテルにもどり、チェックアウトしてタクシーに乗り込みました。ドライバーはさっき散歩した時にしつこく声をかけてきたオレンジ色のシャツのおっさんでした。
ちょっと不安でしたが、駅まで20ユーロとのこと。ナポリのタクシーにはメーターが無く、その代わりタリフという均一の料金表があります。それによるとホテルから駅までは16ユーロ。スーツケースは追加料金ですからまあこんなものでしょう。ボッタクリではなさそうです。道すがら「電車の時間は大丈夫？」と聞いてくれましたから、結構親切なのかもしれません。

ナポリの街の中心部へ。とにかく皆運転が荒い！
他の車やバイクが隙あらば割り込んできますから絶えず警笛を鳴らし爆走。そして急発進急ハンドル当たり前。怖かったです。

駅の近くで渋滞にはまり、ナポリ中央駅には10：20ごろ到着。これから乗るカゼルタ行きの列車は11：06発ですからまだ時間があります。タクシーの運転手にチップ込みで22ユーロを渡し、スーツケースを受け取って駅に入りました。

ナポリ中央駅の建物は新しく、駅係員や警官がウロウロしています。駅前の雰囲気は雑多で危ない感じですが、駅構内はそうでもなさそうです。
切符を買おうとキョロキョロしていたら日本人の老夫婦に話しかけられました。ヨーロッパを周遊中だそうで、カプリ島などを観光した後にローマヘ向かい、スイスへと抜けるのだとか。リッチな旅です。

さて、切符を買わなければなりません。イタリアの鉄道には不思議なルールがあり、遠距離の切符は切符売り場で買えますが、近距離の切符は切符売り場では買えません。飲み物やお菓子や新聞などを売るタバッキと呼ばれる売店で買わなければならないのです。それもすべての売店で切符が売っているわけではないらしく、最初に行った売店では「隣のタバッキに行け」と軽くあしらわれ、２軒目の売店でようやく買えました。カゼルタまで3.5ユーロです。