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以前かつてマリーンズを応援していたMVPという組織が立ち上げた社会人野球のクラブチーム「東京メッツ」の記事がスポニチに掲載されました。

元ロッテファン作った野球チーム 熱過ぎる応援で全国大会間近まで成長  (スポニチ)

7月4日、栃木・足利市総合運動場でひっそりと不思議なゲームが繰り広げられた。全日本クラブ選手権大会・関東予選。コアな野球ファンでも注目度の低いこの大会で、異色のチーム同士が戦っていた。かたや、プロ野球の元・応援団がつくったチーム。かたや、「松井秀喜を5敬遠した男」が率いるチーム。それぞれのチームで奮闘する人々をレポートする。第一回は「TOKYO METS」編。

「ララララ〜トウキョウメッツ! ララララ〜トウキョウメッツ! どんなことがあっても、俺たちのチームだから、歌い続ける、ララララ〜トウキョウメッツ!」

 一塁側スタンドからこだまする大合唱。球場近くを通りかかった人なら、「高校野球でもやっているのかな」と思ったかもしれない。しかし、これは高校野球ではなく、社会人野球・クラブチームの公式戦だった。

 通常、クラブチームの試合中のスタンドには、「関係者」しかいない。選手、選手の家族、大会関係者が数十人いるだけで、「ファン」と呼べる人は片手で数えるほどだろう。そんなスタンド風景が当たり前のなかで、異彩を放っているチームがTOKYO METSだ。

 おそろいのTシャツ、ベースボールキャップを身につけた約50人のサポーターがフラッグを振り回しながら声を張り上げ、手拍子を打ち鳴らし、指笛を響かせる。彼らが陣取る一塁側スタンドの一角以外は空席ばかりが目立つため、よけいに異様な光景に映る。

「いつもは鳴り物(トランペット)も使うんですけど、今日は使用禁止のお達しがあったので、声と手拍子だけでした」(サポーターの藤田隼さん)

 近年、プロ野球応援のパイオニアと言われているのがロッテサポーターだ。彼らは声と手拍子を中心にした応援スタイルを確立させ、2005年には応援で日本一に貢献。他球団の応援にも影響を与えたが、一部熱狂的なファンが球団フロントと対立。2010年以降、その集団は応援から手を引くことになった。その後、集団の中心人物である安住和洋さんが「ファンの声が届く自分たちのチームをつくろう」と呼びかけて、TOKYO METSが誕生したのだった。

「僕らはボビー(元監督のバレンタイン氏)を支持していました。彼は徹底して、ファンのために野球をやっていた。そのボビーを2度もクビにした球団に嫌気がさして、自分たちのチームをつくったんです。でもチームといっても、最初は児玉くん(貴文)という、駒澤大で4番を打っていた選手1人だけでした。児玉くん1人の練習をみんなでサポートしていたんです(笑)」(安住さん)

 TOKYO METSサポーターは、ただ試合中の応援をするだけではない。練習も手伝うし、練習場所も確保する。運営面まで文字通りサポートするのだ。選手の数は次第に増えていったが、初期は練習試合に1対26で負けるようなレベルだった。監督にプロ野球の二軍監督経験が豊富な「ハイディ」こと古賀英彦氏を招聘したものの、「なんやこのチームは!」と古賀監督を愕然とさせるありさまだったという。

 安住さん自身「勝てるまで何年かかるんだ?」と不安を覚えたほどの船出に、チームを離れるサポーターもいたという。それでも残ったサポーターたちの努力の甲斐あって、結成4年目の昨季、東京都クラブ春季大会で初優勝を遂げた。決して戦力が充実しているわけではない。安住さんは他チームの関係者から「METSの得点の半分は、サポーターで取っているよね」と言われたそうだ。

「プレーの熱さとスタンドの応援が融合して、『沸点に達したな』と思った瞬間が何度かありました。そういうシーンをまた経験できたのは、うれしかったですね」(安住さん)

 当初はレベルの低さに愕然としていた古賀監督だが、今や誰よりも熱く選手を指導している。しかも、ほとんどボランティアにもかかわらずだ。

「みんな野球が好きで真面目だし、成長する姿を見るのは楽しいよ。本当なら老後でリタイヤしている時期(75歳)にこうして若い連中を教えられるんだから、オレはラッキーよ」(古賀監督)

 そしてTOKYO METSの中枢には、もう一人変わり種がいる。チームの部長を務める藤田憲右部長だ。本業はお笑い芸人「トータルテンボス」の突っ込み担当。当初は選手として入団したが、現在は忙しい本業の合間を縫って、部長としてチームを支えている。

「『東京で一番カッコイイチームにしたい』というモットーが面白くて、自分でトライアウトに応募しました。今、高校や大学を終えて硬式野球をやる受け皿が非常に少なくなってきているので、もう少し続けたら上のキャリアでもやれる可能性のある子たちのステップアップの場にもなってほしいなぁと思っています」(藤田部長)

 全日本クラブ選手権・関東予選は栃木まで多くのサポーターが集まったが、試合終盤に突き放され、0対4で敗退。初の全国切符まで「あと2勝」届かなかった。安住さんは「ウチはまだまだ力が足りない」と次を見据えている。

「まずは、目指せ大田スタジアム。つまり、企業チームと戦える場に立ちたいです。その先に全日本クラブ選手権や都市対抗が待っていると思うので」

 サポーター主導でチームを運営するという、新たな形態を模索するTOKYO METS。近い将来、彼らの歌声が西武ドームや東京ドームでこだまする日が来るのかもしれない。

 ◆文=菊地選手(きくちせんしゅ) 1982年生まれ、東京都出身。野球専門誌『野球太郎』編集部員を経て、フリーの編集兼ライターに。プレーヤー視点からの取材をモットーとする。著書に『野球部あるある』シリーズがある。

2009年の騒動を起こした反省を全くしていないのにはがっかりしましたが、それ以上に彼らがゼロから立ち上げたチームをたった3年である程度勝てるチームに育て上げた努力がどのようなものなのか気になりました。

東京メッツは2010年にNPO法人として立ち上げ後、2012年に東京都野球連盟への加盟が承認され、2014年には東京都クラブ春季大会で優勝し、全日本クラブ野球選手権南関東大会3回戦進出、2015年全日本クラブ野球選手権の2次予選まで進出と、元ロッテ2軍監督であるハイディ古賀氏の指導の下急成長を遂げました。そして独立リーグに4名もの選手を送り出しています。

社会人野球の素人が集まってチームを作り、わずか3年でここまでの結果を出すには関係者の並々ならぬ努力があったはずです。それを「応援の力」という一言で片付けてしまっては、彼らの努力を正しく評価したとは言えないのではないでしょうか。
では、東京メッツはなぜ強くなれたのか。他のクラブチームと比較しつつ、その秘密を探っていきたいと思います。


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■1.社会人野球のクラブチームとは

東京メッツは東京都野球連盟に加盟する社会人野球のクラブチームです。東京メッツについて知るには、まずクラブチームがどういうものなのか知る必要があるでしょう。

アマチュア野球の「社会人野球のチーム」として活動するためには日本野球連盟に加盟しなければなりません。登録チームには会社登録チームとクラブ登録チームの2種類があり、企業活動の一環としてではなく有志が集まり自主的に運営される硬式野球チームがクラブチームということになります。

バブル崩壊以降会社登録チームが減少を続ける一方で、クラブチームは増加の一途を辿っています。
日本野球連盟のホームページによれば平成5年には会社登録チームが148チーム、クラブチームが169チームでしたが、平成26年現在会社登録チームが86チーム、クラブチームが268チームとなっています。
クラブチームの実力も高まっており、全足利出身のロッテ岡田や三菱重工横浜公式野球クラブ出身の石井裕也など、プロ野球選手も輩出しました。
今やクラブチームは学校卒業後も硬式野球を続けたい選手たちの受け皿として欠かせない存在となったと言えます。



クラブチームは各地域の野球連盟が主催するカップ戦やリーグ戦を戦うほか、予選を勝ち抜くことで社会人野球の3大大会である都市対抗野球、日本選手権、全日本クラブ野球選手権へ出場することができます。

Wikipediaによるクラブチームの類型は以下のとおりです。

1.地域密着・同好会タイプ

クラブチームの原点といえるスタイルであり、クラブチーム中で最古参の函館太洋倶楽部や(道内で2番目の歴史有すクラブ)小樽野球協会(樽協)、全日本クラブ野球選手権大会10回優勝の全足利クラブ横浜金港クラブ全浦和野球団などが代表格といえます。


2.チーム運営NPOタイプ

チームを運営する特定非営利活動法人を設立し、その法人がチームを運営するスタイル。
日本初のNPO法人運営チームは札幌ホーネッツ(NPO法人「北海道ベースボールクラブ」が運営)で、チーム設立から3年でクラブ野球選手権を制しています(2003年)。また、NOMO Baseball Clubや元中日の谷沢健一氏が立ち上げたYBC柏もこのスタイルを採っています。
このスタイルの特長は、法人格を持った運営母体があることから、スポンサーやファンクラブ運営を行いやすく、チーム経費の管理も行いやすいところにあります。近年設立されたクラブチームの多くはこのスタイルを採っており、東京メッツもこの方式です。
ただし、かつてNPO法人であったや茨城ゴールデンゴールズは選手であった極楽とんぼ山本氏の不祥事によりNPO法人を解散。チームとしては存続しているものの、NPO法人ではなくなっています。

3.著名人立ち上げタイプ

元プロ野球選手や芸能人らがチームを立ち上げ、総監督・監督などのポジションに収まるスタイル。
特長としては、チーム立ち上げ時に行うセレクションで、そのネームバリューで有望な人材が集まりやすいという点があります
。萩本欽一氏が立ち上げた茨城ゴールデンゴールズ、野茂英雄氏が立ち上げたNOMO Baseball Club、元西武ライオンズの新谷博が立ち上げた佐賀魂、元西武ライオンズの大塚光二が立ち上げた一球幸魂倶楽部、元巨人の定岡正二が立ち上げた硬式野球倶楽部「薩摩」、元中日の谷沢健一氏が立ち上げたYBC柏などがあります。


4.広域複合企業チーム

広域複合企業チームは、2003年の日本野球連盟定期評議員会で提唱された「21世紀のクラブチーム像」で提示されたもの。選手の雇用先は複数の企業が分担し、賃金はその企業から受け取りますが、チームとしては同一のユニフォームを使用します。現在新日鐵住金かずさマジック新日鐵住金東海REXが当てはまるものの、登録としては会社チームの扱いになるため、全日本クラブ野球選手権への出場資格はありません。


5.企業チームからの衣替えタイプ

企業チームが休廃部した後に有志がクラブチームを立ち上げたり、企業が全面的な支援をすることはないものの、支援の幅を縮小して便宜供与を図るもの(事実上同好会と同じ)です。登録上はクラブチームですが、クラブ化後しばらくは企業チームに匹敵する実力を有します。代表的なチームとしてはNSBベースボールクラブ(中山製鋼)信越硬式野球クラブ(NTT信越)三菱自動車倉敷オーシャンズ三菱製紙八戸クラブなどが挙げられます。


6.冠スポンサータイプ
実態としてはクラブチームですが、その運営費を特定の企業の支援に頼るもの。そのかわりに企業名をチーム名に冠して、企業の広報の一翼を担います。近年企業チーム運営までの支出を回避したい企業と、運営費の確保を図りたいチームとの思惑が一致することから、企業名を冠するチームが徐々に増えています。ミキハウスREDSエディオン愛工大OBブリッツアークバリアドリームクラブなどが挙げられます。


■2.クラブチームの苦悩

クラブチームは企業チームに比べ資金面や練習環境の面で非常に厳しい状況に置かれています。
また選手たちは仕事をしながら野球をしているので、練習ができるのは週末のみ。自前の球場を持っていないチームであれば練習場所をその都度確保しなければなりません。
グラウンドは数あれど、軟式のみで硬式野球ができないグラウンドがほとんど。例えば東京都内では硬式野球ができるグラウンドはわずか24しかありません。プロ野球の本拠地である東京ドームと神宮球場を抜けば22です。
この少ないグラウンドをクラブチームや軟式野球チーム、草野球チーム、学生野球チームが奪い合うことになります。
早い者勝ちだったり毎月の抽選だったり・・・。グラウンドの確保は大変な労力を必要とするのです。

クラブチームの置かれた状況はこちらの記事が詳しいです。

社会人野球におけるクラブチーム。あるクラブの挑戦!(MEN人マガジン)

クラブチームはどんな運営をしているのか?奈良県にある「一城クラブ」というチームでマネージャーをしている松井芳高さんに話を訊いた。松井さんは30代のサラリーマンで既に結婚しており、仕事とマネージャー業の両立は大変だという。スケジュール管理や予算チェック、練習場確保、対戦相手探し、スカウティングなど、やることはたくさんある。

ではなぜマネージャーを引き受けたのか?実は弟さんが同クラブでプレーしており、応援に行ったりしているうちに選手達とも仲良くなって、何かサポートしたいと考えてマネージャーに就任したそうだ。

一城クラブが発足したのは1998年。大阪にある強豪高校の野球部OBが、卒業後も硬式野球を続けたいと思い、チームが結成された。一城クラブはかつて、ある会社から支援を受けていたそうだが、現在はそれもなくなって完全な自主運営となっている。選手個人が納める部費は1年間で36,000円。チームの収入は部費のみなので、ギリギリの運営を強いられるのが現状だ。

選手はサラリーマンが最も多いが、他にも公務員や教員、肉体労働者もおり、中には大学生や高校生もいる。職業がバラバラなので平日には練習はできず、全体練習は土日祝のみ。

サラリーマンならまだいいが、職種によっては土日祝でも参加できない選手もいる。企業チームなら練習や試合が優先され、しかも給料や身分は保証されているが、クラブチームにとっては大きなハンディだ。

また、専用グラウンドを持っていないので、練習場を確保するのも大変だ。何しろ奈良県には硬式野球ができるグラウンドが少なく、各チームほとんど取り合いだという。

やむなく他県のグラウンドも物色するが、交通の便が良い大阪ならまだいい。場合によっては遥か遠くで交通不便な京都府北部や和歌山県最南端(要するに本州最南端)まで、何時間もかけて出かける。たとえグラウンドが確保できても、1日中練習できるとは限らず、午前中あるいは午後のみということが多い。

最近ではクラブチームでも企業が強力にバックアップするチームも増えてきた。そんなチームは当然強く、都市対抗や日本選手権に出場するクラブもある。一城クラブと同じ奈良県にある大和高田クラブも企業支援を受けたクラブチームで、都市対抗や日本選手権にも出場し、2009年の日本選手権ではベスト8に進出した。一城クラブが大和高田クラブに勝つのはなかなか難しいようだ。

一城クラブは高校や大学、企業で完全燃焼できなかった選手が、草野球ではなくまだまだ本気で野球をしたいと思って集まったチームだ。中にはプロ野球(NPB)を目指している選手もいるという。

もちろん、クラブチームの選手がNPBのドラフトにかかるのは難しいので、一城クラブで腕を磨いて独立リーグでプレーしたいと考えているようだ。独立リーグからステップアップしてNPBへ、というわけである。

「ウチは本当に野球が好きな連中が集まったチーム。地域密着や社会貢献なんて崇高な理念はありませんよ」と松井さんは言う。これこそが本音なのだろう。「野球が好き」それ以外に野球をやる理由などない。

一城クラブにとっての“本場所”は春に行われる奈良県一次予選だ。ここで勝ち抜けばクラブ選手権出場はもちろん、都市対抗出場の道も拓ける。都市対抗はさすがに難しいだろうが、今のところ一城クラブの目標はクラブ選手権出場だ。

社会人野球も不況により企業チームが激減している。つまり受け皿が少なくなったので「野球難民」が増えているのが現状だ。それだけに、クラブチームの存在意義がこれからますます強まるのではないか。一城クラブは残念ながら今季は予選敗退したが、これからの活躍に期待しよう。いつかは都市対抗や日本選手権に出場する日を夢見て……。




クラブチームの強豪YBC柏を運営する元中日の谷沢健一氏は自身のブログでクラブチームを運営する苦労を語っています。独立リーグへの選手の流出には複雑な思いがあるようですね。

クラブチームと独立リーグ(その2)
クラブチームと独立リーグ(その3)
クラブチームと独立リーグ(その4)

硬球を一度でも握ったら、軟球では物足りなくなり、体の動く限り、硬式野球をやりたくなる。ところが、その環境がほとんど整っていない。
プロ球界のリーダー層の多くは、99%自分の球団のことしか考えない。

まして、実際にボールを握って野球をやりたい人間たちのことは念頭にない。せいぜい、将来、プロで活躍する可能性のある大学生・高校生に目を向けているだけだ。

しかし、日本の野球文化を「実践」で支えているのは、プロ野球だけでなく、社会人野球・学生野球・少年野球でもあり、むしろ野球人口からいえば、プロ野球は少数派である。
そして、企業経済の変化でアマ企業球団が僅少化する中で、かろうじてアマクラブ球団がそれを補っている。
社会人野球・学生野球・少年野球のうち、将来のプロ野球界入りの可能性がある部分には日があたっていても、そうでない部分は事実上、無視されている。
それを拾い集める役割を果たすかのように、四国次いで北信越に独立リーグが誕生した。
つまり、プロ球界は、日本の野球文化を豊かにしようという志向をもっていなかったし、今もまだもっていない。
日本の野球文化の豊穣化は、アマ球界が担ってきたし、今も担っているのである。

私は、プロ球界が責任を放棄している部分を、ひじょうに微力であるのを承知で少しでもカバーできたらと考え、まがりなりにも僅かずつ実行しているつもりであるが、同じような思い、似たような思いの人たちだっている。
たとえば石毛氏だ。ただ彼が立ち上げた独立リーグは、あくまでプロ球界への「選手資源」の提供という意図のように見えたが、石毛氏が離れた今は、いささか経営形態も変化しているようである。

先日、四国在住の知人と話す機会があったが、「高知球団の経営が危なくなってましてねー。地元の人間は独立リーグなどにあまり魅力を感じていませんでね。若者が少ない給料で野球だけやっていても碌なことありませんよ。もっと野球を基盤としてでも良いから、社会人教育をして欲しいですね」とかなり辛口の言葉が続いた。

オール高崎の三木部長と話をした際、群馬に来年BCリーグ球団が生まれるというので聞いてみた。「うちからBCへ行くのはいないですよ。プロといっても給料が安いですからね。後の保障もないし、うちの選手の状況から言えば冒険ですよ」

(中略)

今後の予測を端的に言えば、アマ企業球団の衰退を補う形で、クラブチームは一時は増加したが、その存続は容易でなくなるだろう。
9月の野球教室で、川口和久氏(広島-巨人)と話を交わした。彼は周知のように、新チーム・鳥取キタロウズの監督になったが、「いや、僕は辞めました。クラブの経費の問題も大きいのですが、他にもね。一度茨城ゴールデンゴールズ(茨城GG)に来てもらって有料試合を開催したところ予想だにしない大きな収益があったんです。すると、皆さんが勘違いしてしましてね。自分たちも頑張れば、茨城GGのようなことが出来ると思ったようでして。萩本さんのような特別な人がいない限り、そのマネをしても無理だと考えないんですからね。」

川口氏は、萩本氏の野球が野球の範疇に入っても、異端に留まるものであることをすぐに悟ったのである。
私は、日本野球文化の豊穣化という観点に立てば、萩本さんの野球スタイルもまた許容されるべきだと思うし、実際、茨城GGの岡本代表から試合申込が3回あって、3回とも受諾し、対戦した。
正統も異端も両方包括してこそ豊穣だと言うべきである。なぜなら、日本の野球文化はまだまだ貧しいのだから。

私の右腕とも言うべきYBCのメインスタッフとして、一生懸命指導してくれている久保田コーチも、独立リーグへの選手流出に複雑な思いを抱いているようだ。
「週末だけの全体練習や恵まれないグランド確保などに、選手たちの一部は不満なのだろう。高校・大学で部活動に慣れきっていると、インフラが整備されていることなど当たり前だと思っている。企業チームが廃部になってクラブチーム化した場合は、グランド確保が容易だが、それはクラブチームでも例外だとわかっていない。YBCは、月の中旬になると、監督が翌月のグランド確保の交渉に奔走しているのだ。それが何を意味するか、君たちにはわからないか」と、選手たちに訓示したと言うが、どれだけ選手の頭と心に響いただろうか。

しかし、プロ球団ーアマ企業球団ー独立リーグ球団ークラブ球団というふうに事実上、序列化されつつある昨今の状況下で、もっとも「底辺」で野球組織を維持することは、それなりの誇りと喜びがある。
その喜びの一つは、大学・高校での野球を終えて、それでもなお硬式野球を続けたいという情熱のある若者たちが、また何人もYBCに飛び込んでくることである。


■3.平日に組まれる試合。クラブチームを悩ます日程の問題

前述のとおり、クラブチームの選手たちは仕事をしながらプレーしていますから、活動できるのは土日だけというのがほとんどです。
にもかかわらず、都市対抗の予選は平日に組まれることが多く、クラブチームに配慮されたものとはなっていません。
せっかく土日に日程が組まれても、天候不良で中止となった場合は翌週の週末ではなく平日に順延してしまうのも問題です。

2015年の全日本クラブ野球選手権九州地区予選では週末に行われるはずだった試合が平日に雨天順延となり、勝ち残っていた8チームのうち4チームが棄権するという事態が発生しました。

第40回全日本野球選手権九州地区予選の日程変更、出場チーム変更のお知らせ

平日に順延した結果出場選手をそろえることができず、各チームが苦渋の決断をしたのです。


YBC柏を運営する谷沢健一氏も同じような苦悩を味わっています。
2009年の都市対抗予選では土曜日の試合の雨天中止となった直後に雨が止むということがあり、千葉県野球連盟の役員とひと悶着起こしたことが自身のブログに綴られていました。

口喧嘩の記ーー都市対抗千葉県予選を終えて

第80回都市対抗野球大会予選が各地で始まっている。今年で80年目という長い歴史を誇る大会であり、社会人野球の最高峰として、アマチュア野球選手の最高目標の大会である。

千葉県の最終予選は、企業3チーム(かずさマジック・JFE東日本・JR千葉)と、クラブチーム3チーム(1次予選で1位のYBCフェニーズ、2位のサウザンリーフ市原、3位の銚子オーシャン)が、南関東大会への出場権(代表枠は3チーム)を争った。

しかし、日程は木曜〜日曜の連続4日間で、クラブチームは大きなハンディを負わされた。平日に(おそらく)容易に勤務を休める選手ばかりの企業チームと、欠勤を許されない選手が大半のクラブチームとでは、最初から勝負は決まっているも同然である。(そうでなくても、実力は企業チームが勝っているのは言うまでもない。)

このような日程は千葉だけだろうか。予選は全国37地区で行われるが、土日祝日だけで行うのは26地区、土日祝日に平日が1日だけ加わるのが4地区、千葉と同様に2日以上平日が加わるのは、7地区ある。
なぜ平日開催なのか、それ以外は不可能なのかについては、別の機会に書くことにして、とにかく平日開催がいかにクラブチームにとって非情なことなのかを述べたい。

千葉県2次予選は5月28日(木)から4日間の予定だったが、3日続けて雨天のため順延された。YBCのスタッフ・選手諸君は仕事の工面や授業(学生)をレポートに変えてもらったり、やむなく欠席したりして、なんとか参加しようと試みた。木・金の2日間を欠勤したいと申し出て、上司から「ほう、5月はゴールデンウィークもあったよね。それでも君は、28,29と休むというのかね。そうすると、5月は16日間しか出勤せず、15日間も休むというのか!」と一喝された者もいる。

それでも、なんとか休みを得て出場準備をしていたのに、木・金・土と、毎日、試合は順延された。けっきょく、木・金と欠勤した者はそれがまったく無駄になったのである。そして、火・水の両日の試合のために、欠勤などどうしてできようか。もしそうしたら、28日(木)から3日(水)まで、1日(月)を除いて欠勤の連続になってしまうのである。「たかが自分の〈趣味〉のために、そんなに仕事を投げ出したいのか」とみなされて勤務態度の評定は最悪になってしまうだろう。

そういう事情から、選手たちは試合には泣く泣く出られなかった。結果はこうだ。最初の試合(日曜日)と最後の代表決定戦(水曜日)のスタメンを併記しよう。

 日曜→CF山賀 2B瀬尾 SS井原 DH山崎 3B浅利 1B日野 C川村 RF南澤 LF田久保
 水曜→2B瀬尾 3B樫田 1B浅利 C日野 CF田中 RF高木 LF荒川 DH佐藤 SS高橋

両試合に出場できたのは、3人だけである。日曜の2番・5番・6番打者を、水曜には1番・3番・4番に起用するしかないのだ。しかも水曜の遊撃・左翼・右翼の3人は投手登録の選手である。
これをご覧の方の中には「泣き言なんか書くな」とおっしゃる方がいるかもしれない。私は自チームのことを書いているが、じつは上記7地区の全クラブチームの辛い事情を、我が身を引き合いに出して具体的に述べているつもりである。

今大会でもっとも悔いが残ったのは、土曜日だった。試合前に雨がやんだので、大会役員や選手たちは、衣服も泥にまみれて、内野グランドに溜まった雨水を掻きだしていたが、整備中に再び雨が降り出した。

かくて、試合開始予定の10時より早く、中止が決まった。気象予報にめっぽう詳しいYBCのスタッフの一人は「これから雨は上がる!」と息巻いていたが、無駄だった。

案の定、10時過ぎには雨も上がり、隣接する陸上競技場では高校生の競技大会も繰り広げられていた。
この日の雨雲レーダーを確かめれば、試合は成立したはずだった。会場の県営天台球場はナイター設備が無い。試合が長引いたら、第2試合は日没コールドゲームの可能性もあるが、中止よりはいい。おそらく、中止の決定権を握る役員たちは、企業出身者ばかりで、安易に中止順延を決めたのではないかと思われた。

千葉県は野球王国と呼称されながらも、設備の点では関東一お粗末である。(ちなみに、2011年完成予定の県営柏の葉野球場もナイター照明設備は設置されない。市民が利用する稼働率は極端に低下するのに、県行政は費用が掛かるといって実行に移さない。費用対効果の算出方法を知らないわけでもあるまい。)

最終日の水曜日の試合が敗北に終わると、私はユニフォームを私服に着替え、ネット裏の役員室に行った。「後日クラブチームとして要望書を提出したい」という旨を簡単に言おうと思ったからだ。

千葉県野球連盟の板倉義和副会長と川嶋弘理事長らが昼食中だった。食事中に真面目な話をするのは失礼だとは分かっていたが、試合前に挨拶する機会がなかったので、それも兼ねて言葉をかけた。だが、あることがあって、私はすぐに激高してしまった。かなりきつい口調になったと思う。

 谷沢「土曜日はもう少し待てば試合ができましたね」
 役員「あの状態では無理だな」
 谷沢「一生懸命に整備していましたのはわかりますが、内野全面を覆うようなシートは用意できないのですか」
 役員「それは無理だね。ここは県の管理なので、我々の言うことではない」
 谷沢「ショートのポジションにシートが1枚あるだけで、後はすべて水浸し。内野全面を覆ってもそんなに費用は掛からないですよ」
 役員「県に陳情しても福祉や教育に予算が掛かると言われれば、それ以上のことは我々は言えません」
 谷沢「シートぐらいであれば、クラブチームが費用を出し合えば済むことですよ」(その費用は私たちが出してもいいとさえ言いたかったが、僭越なので呑み込んだ。それにしても、なぜ連盟は自前でシートぐらい用意しようとしないのだろうか?)
 谷沢「雨が予想できできたのだから、その対策も講じられるべきですよ」
 役員「谷沢君、我々も早朝5時には起きてグランドにきているんだ。努力はしていますよ」
 谷沢「それ以上にクラブチームの選手たちは、平日の試合には早くから仕事をやりくりしているんですよ。平日の順延はチームの体(たい)を為さなくなる。」
 役員「君の要求はわからんね。県の管理だから仕方ないだろう」


4人の周りにいた連盟理事などの諸君がBOSSに唯々諾々と同調するので、それにも呆れていささか声を荒げて反論したが、引き上げざるを得なかった。(その後で、おそらくは「谷沢は元プロだったからといって何様のつもりだ。アマチュア球界にはアマチュアの正しいやり方があるんだ。」とでも言われたにちがいない。)
 昨年から、「クラブチームは企業とはまともに戦えないのだから」という理由で、9月の日本選手権予選からクラブは切り離され、関東クラブ選手権の設置に(10月下旬)すり替えられた。
いくつかの県でも、すでにそのような状態になっていた。しかし、名前を出すと失礼だから伏せるが、過去数年間に千葉県では、クラブチームが企業チームに勝ったことが数回あるのだ。同じ南関東でも、神奈川県は企業チームも加わって予選を行っている。

千葉県では、7つのクラブチームが頑張っている。しかし、これ以上増えないかもしれない。なぜなら、社会人野球の実状がその社会人という名前にほど遠いからである。




これはひどい。名球界入りした谷沢氏に対してこの態度。
しかもYBC柏は2014年全日本クラブ野球選手権4強という強豪チームです。
千葉県野球連盟の役員の体たらくが分かりますね。おそらく東京メッツが加入する東京都野球連盟も似たようなものでしょう。


■4.クラブチームが抱える資金面の問題

野球はお金がかかるスポーツです。
用具代、ボールなどの消耗品代、移動費、グラウンド利用料、野球連盟への加盟料などをクラブとして負担しなければなりません。
さらに都市対抗野球大会の本戦に出場すればチケット購入代などで数百万円もの費用がかかります。
都市対抗野球大会に出場して話題となった岩手21赤べこ野球軍団は、大会出場費用や遠征費用に苦しみ、わずか2年で廃部となりました。


宇梶剛士もショック!? 赤べこ球団が一時休部へ (夕刊フジ)

発足2年目で今年の都市対抗野球大会に出場した社会人野球のクラブチーム、岩手21赤べこ野球軍団(岩手県矢巾町)は17日までに、休部届を岩手県野球連盟に提出した。関係者によると、資金不足のため、給与の未払いが相次いだことなどが理由で、野球部長や複数の選手が退団の意思を固めたことなどが主な原因という。

 ただ関係者は「休部は一時的」と強調。来月中旬にも新体制を固め、チーム名も「岩手矢巾赤べこ野球軍団」に変更して活動再開を申請する考えだ。

 「赤べこ」球団は2006年に発足。俳優の宇梶剛士が総監督を務めるなど話題を集め、岩手県勢として20年ぶりに都市対抗野球大会に出場した。しかし主な支援企業が1社しかなく資金難に直面。今後は地元の企業や個人などから支援者を募集し、都市対抗野球大会の連続出場を目指したいとしている。




実際のところ、クラブチームは年々増え続ける一方で解散や休止も増えているのが実情です。例えば2014年には8チームが解散、3チームが活動休止となっています。その多くが資金難によるものでした。
2015年には広域企業複合体チームであるフェズント岩手が解散。理由はやはり財政難でした。


「フェズント岩手」廃部へ 社会人野球、創部9年で(岩手日報)

 社会人野球の企業チーム「フェズント岩手」が21日、県野球連盟に廃部届を提出した。28日付で廃部し、運営するNPO法人「岩手の野球を発展・躍進させる会」(吉田莞爾代表理事)は3月31日に解散する。資金繰りの悪化などで2006年の創部から9年間の歴史に幕を下ろす。

 県内の企業チームが活動停止するのは2004年9月に休部したJAいわて以来。県内の企業チームがトヨタ自動車東日本とJR盛岡の2チームに減少したことに伴い、今年の都市対抗2次予選(東北大会)の本県出場枠は1減の2チームとなる見込み。

 フェズント岩手は県内初の広域複合企業チームとしてスタート。元西武の竹下潤投手、元ロッテの猪久保吾一捕手らが入団し話題を呼んだ。08年から都市対抗1次予選で3連覇するなど本県社会人野球をけん引してきたが、選手の入れ替わりが多く、メンバーを固定できず念願の全国大会出場は果たせなかった。

 昨春ごろから廃部を検討していたという。大沢豊部長は「10年ごろから資金繰りが厳しくなり工面できなくなってきた。結成当初はまとまった雰囲気で練習できていたが、選手が別々の職場で徐々に思うような練習もできなくなった」と無念さをにじませた。選手15人の半数は県内外のチームに移籍が決まっている。

 吉田代表理事は「1月に全員を集めて意向を聞き廃部の流れになった。強くなるためには資金が必要だが、うまくできなかった」と語った。


このように、社会人野球のクラブチームは資金面でも非常に厳しい状況に直面しています。
では、東京メッツは資金面の問題に対し、どのように取り組んでいるのでしょうか。
東京メッツはNPO法人による運営です。NPO法人は法律の定めにより年度毎の事業報告書や収支報告等を公開しなければなりません。
そこで、他のNPO法人が運営するクラブチームの収支報告書と比較しつつ、東京メッツの特徴を調べることにしました。


■5.東京メッツと他のNPO法人チームの状況比較

NPO法人東京メッツの資料は所轄庁である東京都のNPO法人ポータルサイト及び内閣府NPOホームページで閲覧が可能です。東京都のNPO法人ポータルサイトでは平成25年から過去3年間の事業報告書、活動計算書(収支報告書)、賃借対照表、財産目録、年間役員名簿、社員のうち10人以上の者の名簿がPDF形式で公開されています。

本当は平成26年度の事業報告書等を閲覧したかったのですが、東京都の担当者によると事業年度終了後3ヶ月の期限内における提出が確認できていないとのことでした。東京メッツの事業年度は4月1日から3月31日なので、6月末までには平成26年度の事業報告書等を所轄庁である東京都に提出しなければなりません。
なお、インターネット上で公開された資料は一部が黒塗りになっておりますが、東京都生活文化局都民生活部地域活動推進課NPO法人係にて閲覧及び謄写を行う場合は当該資料に記載されたすべての情報を閲覧及び謄写することができます。


これら東京メッツが提出した資料によると、特定非営利活動法人東京メッツ(以下NPO法人東京メッツとします)は2010年11月22日に法人設立認証が為され、代表者は元MVPのリーダーであった安住和洋氏、主たる事務所の所在地は東京都江東区越中島のマンションとなっています。
NPO法人の理事には元応援団の田中康範氏、以前東京メッツの記事をブログに書いた際にコメントをいただいた佐藤友哉氏、監事には元MVPの古参にしてボビーバレンタイン監督の残留を実現する会の代表であった田中保成氏等が名前を連ねています。

では、早速平成25年度の活動計算書を見てみましょう。

東京メッツ H25

収益 費用
正会員受取会費 2,135,500 水道光熱費 118,641
友の会受取会費 41,000 運搬費 24,780
選手受取会費 390,000 地代家賃 1,128,000
選手受取部費 1,104,850 旅費交通費 13,636
受取寄付金 1,960,000 広告宣伝費 17,440
事業収益 121,700 支払手数料 1,815,958
受取利息 132 諸会費 357,000
    選手消耗品 379,285
    球場使用料 356,085
    試合関連費 256,950
    保険料 148,990
    車両費 294,592
    会員特典グッズ仕入 798,918
    会議費 7,970
    交際費 8,250
    通信費 58,930
    租税公課 77,224
    事務用品費 258
収益計 5,753,182 費用計 5,862,907
    収支 -109,725

予算規模は約600万。地元自治体や企業等の後ろ盾が無いチームとしては異例の大きさです。
特にNPO正会員からの会費、寄附金の金額の高さには注目すべきでしょう。企業スポンサーもいないのに良くこれだけのお金を集めたものです。関係者の努力と、彼らがMVPとしてこれまで活動してきた実績の賜物でしょう。

では、他のチームはどうでしょうか。

谷沢野球コミュニティ柏(YBC柏) H26

収益 費用
会費収入(選手) 1,360,100 野球等指導事業費 2,727,144
寄付金収入 1,926,000 交際費 71,860
日本野球連盟交通費補助金収入 40,000 広告宣伝費 54,000
利息収入 109 雑費 34,538
収益計 3,326,209 費用計 2,887,542
    収支 438,667

まずはこのエントリーで紹介した谷沢健一氏が運営するYBC柏です。
収入額は332万。東京メッツよりも安いです。ただし、地元である柏市からグラウンドの優先使用等の支援を受けており、協賛企業からの寄附金もあります。柏市長と元柏市長を名誉顧問、元広島の衣笠、元ロッテの小宮山等の著名人を評議員に迎えるなどバックアップ体制も充実。経営面では比較的恵まれた環境にあるといえるでしょう。

スポーツちば:YBC柏「地元に恩返しを」 来月全国大会、闘志燃やす選手ら /千葉 (毎日)

サウザンリーフ市原 H25

収益 費用
会費・入会金収入 120,000 スポーツ振興及び子供の健全育成
に関するイベント事業支出
956,230
寄付金収入 1,238,500 通信費 38,930
受取利息収入 25 交際費 25,855
    支払手数料 3,045
収益計 1,358,525 費用計 1,024,060
    収支 334,465

2005年加盟。かつては澤井や鳥谷部など元プロ野球選手が在籍し、全日本クラブ選手権にも出場した名門です。しかし近年はBCリーグへの選手の流出が続き、苦戦しているようです。収入は135万。そのほとんどがスポンサーからの寄附金であり、厳しい状況です。

西多摩倶楽部 H26

収益 費用
正会員受取会費 1,720,000 施設借用費 1,057,700
賛助会員受取会費 1,495,000 練習・試合経費 80,385
受取利息 89 旅費交通費 1,034,234
任意団体からの繰入金 732,029 用具費 379,020
    登録費 442,000
    保険料 157,453
    会議費 5,930
    事務費 141,384
    印刷費 54,200
    渉外費 134,534
    通信費 212,806
    広報費 63,900
    車輌経費 55,064
    委託報酬費 137,418
    雑費 4,860
収益計 3,947,118 費用計 3,960,888
    収支 -13,770

西多摩倶楽部は東京メッツと同じく東京都で活動するクラブチームで、創立は1998年。育成選手ながらNPBに2人の選手を送り出した名門です。収入は394万。任意団体からの繰入金が無ければ大赤字です。

北海道ベースボールクラブ(札幌ホーネッツ) H25

収益 費用
個人会費 2,495,000 競技普及事業費 2,878,834
法人会費 200,000 施設使用料 907,032
個人賛助会費 354,000 全国大会旅費等 4,730,319
法人賛助会費 330,000 機関紙発行事業 135,000
受取寄付金 210,072 雑費 298,910
事業収益 993,300 借入金返済 8,675
その他収益 4,617,355 事務費 173,255
    会議費 35,300
    保険料 107,970
収益計  9,199,727 費用計 9,275,295
    収支 -75,568

2001年創部。社会人野球界では初となるNPO法人でした。全日本クラブ選手権に4度出場した強豪で、地元自治体や企業の支援を受けています。収入も919万円と多いです。

北海道マーリンズ(トランシス) H26

収益 費用
正会員収入 472,000 宣伝広告費 0
賛助会員収入 0 旅費交通費 518,278
法人会員収入 0 通信費 0
受取利息収入 10 接待交際費 6,072
雑収入 637,000 損害保険料 45,021
入団準備金収入 0 消耗品費 28,386
    雑費 70,500
    備品費 6,975
    会議費 153,223
    球場使用料 0
    支払手数料 0
    試合経費 149,151
    連盟経費 23,500
収益計 1,109,010 費用計 1,001,106
    収支 107,904

2005年創部。北海道千歳市を本拠とし、運送会社の新日本トランシスがメインスポンサーとなっています。全日本クラブ選手権に1度出場。
収入額は110万円と予算規模は小さめです。

八尾ベースボールクラブ H26

収益 費用
正会員入会金収入 0 野球教室・野球大会・指導者対象
の講習会を開催する事業
190,538
正会員会費収入 50,000 クラブチーム運営事業・連盟登録費 304,000
賛助会員会費収入 998,000 大会参加費 440,000
事業収入 1,595,000 グラウンド使用料 373,517
寄附金収入 37,779 審判謝金 32,000
預金利息 18 会議費 10,000
    通信費 74,650
    消耗品費(保険料含む) 817,574
    交際費 14,100
    HP管理費 0
    広報費 167,070
収益計 2,680,797 費用計 2,423,449
    収支 257,348

2005年創部。名誉顧問に八尾市長と東大阪市長を迎え、地元自治体や地元企業の支援を受けています。
クラブチーム運営のほか、小学生を対象とした軟式野球大会なども実施しています。
2008年にはOBの生山裕人が育成ドラフトで千葉ロッテに指名されました。

京都ファイアーバーズベースボールクラブ(京都城陽ファイアーバーズ) H26

収益 費用
前期繰越金 61,796 グラウンド使用料 250,000
広告収入 920,000 用具等購入費 169,135
理事長寄附金 356,301 年間選手役員登録費 196,000
受取利息 8 年間大会参加料 400,000
個人会費収入 60,000 他府県遠征費 66,800
選手部費 720,000 遠征食事費 45,000
選手入部金 70,000 城陽三朝交流事業費 29,860
総会会費 14,000 修繕費 18,200
野球教室開催事業 60,000 審判量 16,000
    職員(監督給与) 500,000
    職員交通費 50,000
    渉外費 27,950
    クラブ予選祝賀会 26,400
    クラブ総会費 85,000
収益計 2,262,105 費用計 1,880,345
    収支 381,760

野球評論家である江本孟紀によって2006年創部。総収入226万。地元自治体や地元企業の支援を受けています。

三重高虎ベースボールクラブ H26

収益  費用
会費収入10ヶ月 1,200,000 ベースボールクラブ運営事業費 1,288,572
少年野球大会事業収入 28,000 少年野球大会事業費 15,000
自主事業・野球教室収入 320,000 野球教室運営費 310,919
前年度繰越分 80,000 管理費 12,000
寄附金 24,000 交際費 10,000
収益計 1,652,000 費用計 1,636,491
    収支 15,509

元プロ野球選手の松下立美によって2005年に創部。予算規模は165万円と小さいですが、ナショナルクラブベースボールシリーズへの出場経験があります。

宮崎ゴールデンゴールズ H25

収益 費用
正会員会費収入 602,000 消耗品費(事業費) 7,325
野球教室事業収入 13,000 修繕費 51,104
グッズ販売等事業収入 1,000 燃料費 28,000
寄附金収入 10,000 保険料 135,285
受取利息 65 租税公課 17,600
繰入金収入 52,442 負担金支出 354,000
    審判報酬 9,500
    球場使用料 95,090
    雑費 5,000
    会議費 68,939
    旅費交通費 44,839
    通信運搬費 21,988
    消耗品費(管理費) 9,365
    印刷製本費 10,016
    賃借料 51,737
    委託費 46,563
    雑費 44,330
収益計 678,507 費用計 1,000,681
    収支 -322,174

2005年創部。茨城GGのの萩本欽一監督が、「宮崎にも姉妹チームを作りたい」という構想をきっかけに結成されましたが、萩本氏の支援は特に受けていません。収入は67万円と、経営面はかなり厳しいようです

このように、クラブチームの予算は数百万円程度と、企業チームに比べるとかなり小規模で厳しい状況です。
その数百万のお金も一社会人にとっては大変大きな金額で、簡単に出せる金額ではありません。NPOに限らず、多くのクラブチームが大変な苦労をしながら、なんとか活動に必要な費用を捻出しているの現状と言えます。

しかし中には潤沢な資金を持つクラブチームもあります。例外中の例外として、2つのチームを紹介しましょう。

NOMOベースボールクラブ H26

収益 費用
受取寄附金 14,810,705 1.事業費
正会員受取会費 198,000 給与手当(人件費) 12,258,996
賛助会員受取会費 15,577,000 法定福利費 860,403
受取地方公共団体補助金 8,262,000 売上原価 423,547
非営利事業収益 6,325,000 野球大会関連費 750,000
商品販売事業収益 598,466 野球教室事業費 1,143,805
広告事業収益 11,000,000 外注費 1,508,880
その他事業収益 189,844 荷造運賃 91,318
受取利息 1,695 旅費交通費 2,835,661
雑収入 273,593 地代家賃 1,819,780
    保険料 879,310
    野球消耗品費 1,069,763
    租税公課 708,755
    福利厚生費 418,131
    通信費 114,527
    広告宣伝費 360,220
    接待交際費 65,676
    会議費 9,730
    消耗品費 32,282
    修繕費 868,174
    諸会費 168,000
    リース料 151,200
    支払手数料 90,513
    支払報酬 144,050
    雑費 53,998
    2.管理費
    給与手当(人件費) 568,225
    法定福利費 0
    福利厚生費 16,969
    通信費 208,348
    荷造運賃 24,938
    旅費交通費 20,658
    地代家賃 713,280
    事務用品費 132,154
    消耗品費 202,008
    新聞図書費 0
    水道光熱費 394,850
    修繕費 116,220
    諸会費 4,050
    リース料 633,546
    保険料 26,370
    租税公課 50,312
    支払手数料 256,502
    支払報酬 386,100
    寄附金 50,000
    減価償却費 2,777,806
    雑費 70,736
収益計 57,236,303 費用計 33,479,791
    収支 23,756,512

社会人野球の縮小を憂う野茂英雄が私財を投じて設立したクラブチーム。野茂本人からの寄附金や300名を越す賛助会員からの会費、スポンサーからの資金等により運営されています。
総収入は5723万と、他のクラブチームとは桁が一つ違いますね。
実績も申し分なく、全日本クラブ野球選手権大会に優勝したほか、クラブチームの出場が困難である都市対抗や日本選手権にも出場しています。
ただ、支出金額も多大であり、強くなればなる程お金がかかるクラブチームの厳しい現状を表しているといえます。

和歌山箕島球友会 H26

収益 費用
正会員受取会費 2,547,980 給与手当(人件費) 11,590,390
賛助会員受取会費 2,749,574 法定福利費 1,101,199
受取寄附金 5,059,434 大会参加加盟費 1,466,648
平成26年度トップレベル・スポーツクラブ活性化支援事業費補助金 400,000 交通費 4,200,399
平成26年度日本野球連盟補填金 861,679 用具費 3,517,021
委託収益費(施設管理運営事業収益) 15,500,000 施設費 1,289,852
利用料収益(施設管理運営事業収益) 7,762,647 光熱費 4,789,417
受取利息 493 浄化槽費 1,407,250
雑収益 140,670 設備委託良否 1,013,847
    修繕・整備費 2,501,991
    諸謝金 322,000
    消耗品費 1,091,600
    管理費 541,019
    交際費 65,000
    交通費 140,300
    通信費 242,602
    損害保険料 72,150
    消耗品費 282,014
    その他雑費 18,600
    消費税 565,300
収益計 35,022,477 費用計 36,218,599
    収支 -1,196,122

1996年創部。NOMOベースボールクラブとは対照的に、こちらは地域密着型のクラブチームです。地元自治体である有田市のスポーツ施設の管理を任されており、当該施設からの委託収益費や利用料収益がチーム収入のほとんどを占めています。総収入は3502万。地元企業からの支援もあり、やはり桁が一つ多いです。


■6.東京メッツの強みとは

東京メッツの成り立ちは特殊です。
普通は野球をやりたい人たちが集まってチームを結成し、後から応援する人が集まってきます。
しかし東京メッツはまず応援団が先にあり、それから選手を集めてチームを結成しています。
元ロッテの愛甲氏はテレビで「応援団が自分たちが応援するチームを作りたいがために東京メッツを作った」と発言したそうですが、ほぼ当たっているといえるでしょう。ロッテを離れた応援団が、自分たちが応援するチームを自分たちで作ったのですから。

ところで、強いクラブチームの条件とは何でしょうか。
やはりお金があり、良い指導者がいて、良い選手が集まるチームが強いということになるでしょう。

東京メッツの平成25年度の収入額は約575万。これは後ろ盾の無いクラブチームとしては異例の金額であり、クラブチーム全体を見てもかなり高い金額といえます。
この収入を支えているのが特殊な成り立ちに起因するNPO正会員の多さ。東京メッツは設立時で100名を超すNPO会員がいるのです。
NOMOベースボールクラブは個人正会員が17名、個人賛助会員344名団体賛助会員17名ですがこれは例外中の例外。八尾ベースボールクラブは社員10名、京都ファイアーバーズベースボールクラブは個人会員10名。三重高虎ベースボールクラブは会員24名です。NOMOベースボールクラブであっても個人正会員はわずか17名ですから、東京メッツのNPO正会員の多さは突出しています。

NPO正会員が多いということは単に正会員会費収入が他のクラブチームよりも多いということにとどまりません。
選手をサポートし、選手に代わって雑務を担当する人員数が他チームより多く、選手の負担を少なくできるというメリットがあります。
例えば練習場の確保。旧企業チームや地域密着型のチームとは異なり東京メッツには自前の練習場がありません。
前述のように硬式野球に対応したグラウンドはそう多くありませんから、抽選申し込みや管理者への交渉等大変な苦労をして練習場を確保することになります。
抽選になるとなかなか当たらないんですよね。草野球の話で恐縮ですが、私が所属する草野球チームも東京都内の公園のグラウンドを毎月申し込んでいました。しかし10人が同じ時間帯の同じグラウンドで申し込みをしても、2〜3月に1回当たるかどうか。とにかく抽選は人海戦術なのです。

また野球用具の維持管理や試合時の運搬、移動のサポートなどとにかくマンパワーが必要な作業が多いですから、とにかくサポートに回る人数が多いというのはチームにとって大きな強みとなります。


次に指導者。東京メッツの最大の強みが監督である古賀英彦氏の存在です。
古賀氏はダイエーホークスでヘッドコーチや2軍監督を勤め、その後千葉ロッテマリーンズ2軍監督や2軍ヘッドコーチを歴任。指導者としてのキャリアは一級品です。また日本人として始めてアメリカマイナーリーグの1Aサリナス・スパーズの監督に就任したり、アメリカ独立リーグのソノマカウンティ・クラッシャーズのベンチコーチを務めるなど、海外での指導者経験も豊富です。

普通、これだけの実績を持つ元プロ野球のコーチをクラブチームが雇うことはできません。理由は簡単で雇う金が無いからです。
古賀英彦氏が東京メッツの監督を引き受けたのは古賀氏がボビー・バレンタイン派だったからであり、MVPともつながりがあったからだと思われます。
実際東京メッツから古賀氏に対しての支出は無いようですから、スポニチの記事にあるとおり、「ほとんどボランティア」なのでしょう。


古賀英彦監督の存在は選手にとって、特に独立リーグやNPBを目指す若者にとって非常に大きな意味を持ちます。
誰にでも門戸が開かれたクラブチームにあって、これほどのキャリアと指導技術を持った元プロのコーチは他にいません。
おそらくクラブチームのコーチとしては日本一ではないでしょうか。このエントリーで取り上げたYBC柏には谷沢健一氏が関わっていますが、コーチとしての経験は古賀氏の方が上です。
クラブチームの中には元プロ野球選手が立ち上げに関わったものも多いですが、実際に元プロ野球選手が指導にかかわることは少なく、コーチ経験のある元選手となるとほとんどありません。


選手の立場に立って考えてみましょう。
指導者として豊富な実績のある監督から直に指導を受けられ、しかもNPO正会員が多いですからチーム運営面の負担が少なく、しかも様々なサポートも受けられます。金銭的の不安も他のチームに比べればずっと少ないです。
そして応援。元プロ野球の応援団から応援してもらえるわけですから、プロの試合を疑似体験できるようなもので、モチベーションの向上に繋がるでしょう。

つまり、東京メッツは上を目指す選手にとってかなり魅力的なチームであり、実際上を目指す選手が何人も加入した結果現在の躍進に繋がっているのです。


■7.東京メッツの今後

それでは、今後東京メッツはどうなっていくのでしょうか。
東京メッツが抱える問題点について考えてみましょう。


まずは収入面。
正会員からの収入の多さがチームを支えているのですが、その正会員からの会費収入を今後維持できるかが鍵になります。
平成23年は294万、平成24年は371万でしたが、平成25年は213万。1年で100万円以上減少しました。
多額の会費を払い続けるのは正会員にとって負担になるのは明らかですし、今は問題なくても家のローンや子供の学費などで金銭的な余裕のない会員が増えることも考えられます。

東京メッツは設立の経緯から企業による支援を受けるのが非常に困難です。かつて企業としてのロッテのイメージを大幅に悪化させた実績がある以上、コンプライアンスの観点から多くの企業が出資に慎重になるでしょう。同じ理由で自治体からの支援も望み薄です。

また収入面だけでなく支出面にも注意を払わなければなりません。NPO法人はその公益性ゆえ会計の透明性が求められます。
東京メッツは他のNPO法人型クラブチームの収支計算書と比較して支払手数料と地代家賃が総支出に占める割合が非常に大きいことが気になりました。
支払手数料とは何でしょうか。これは内部の人間でないと分かりません。
地代家賃は通常NPOの事務所の賃料などを指します。平成25年度は1,128,000円。事務所となっているマンションの家賃を調べましたが、別の階の1DKの空き部屋が共益費なしの8.5万円となっていました。
8.5万×12は102万。うーん計算が合いません。自宅を法人事務所とする場合家賃の一部を経費にできますが、居住スペースと事務所としてのスペースの面積の割合を出して按分しなければならず、家賃の全額を経費とすることはできません。通常1DKであれば1部屋を事務所とするでしょうから、家賃の40〜50%が経費となるでしょう。
ただし、これには裏技があり、個人ではなく法人名義で賃貸契約を結び、役員の社宅扱いにして法人に対し自分が家賃を払う形にすればさらに多くの割合で家賃を経費にすることができます。元々住んでいた部屋を個人契約から法人契約に結び直した場合は新たに敷金が発生しますから、法人の固定資産として敷金を計上するのは理に適っています。
まあこの辺は税理士に相談して上手くやっているでしょうから、個人が口を出すことではないでしょう。
ただ、あまり節税をやりすぎると税務調査にひっかかることもありますし、そうなると選手に影響が出てしまいます。選手が安心してプレーできるよう、会計の透明性の維持が重要です。


そして古賀英彦氏が75歳と高齢であることが一番のネックかもしれません。グラウンドで指導できるのはもう何年も無いでしょう。いずれは引退するときがきます。その時に新しい指導者を用意できるのか。候補がいても、雇うだけの人件費を捻出できるのか。一流の指導者を雇うとなれば年間数百万はかかるでしょう。後ろ盾の無いクラブチームにとっては厳しい金額です。
ただ、優秀な指導者がいなくなれば選手にとって最大の魅力がなくなってしまうのも事実。難しい決断を迫られるでしょう。


あとはNPO法人の幹部が「西側のチームはクソ」、「全府中や西多摩倶楽部に入ったら野球人生が終わる」など、他のチームを中傷する発言をネット上で繰り返している点が気になりました。
日本野球連盟のコンプライアンス指針には「フェアプレーの精神を尊重するとともに、対戦チームへの敬意を常に持ち続けること」という規定があります。前述の幹部の発言は当該規定に反しています。

彼らのMVP時代の言動も鑑みれば、おそらく東京都野球連盟や他の企業チームとの関係はあまり良いものではないでしょう。連盟幹部の中には東京メッツを潰したいという幹部がいてもおかしくはありません。今まで無事でいられたのは古賀英彦氏の存在があってこそです。

日本野球連盟の登録規定には以下の条文があります。

第16条 加盟チーム及び競技者が次の各号の1に該当したときは、理事会の採決により、かつ、当該加盟地方団体会長又は当該地区連盟会長の同意を得、加盟チームの加盟登録又は競技者登録を取消すことができる。

(1)本連盟、加盟地方団体及び地区連盟の名誉を傷つけ又は本連盟、加盟地方団体及び地区連盟の目的に違反する行為があったとき

(2)本連盟の定款及び別に定める規程等並びに加盟地方団体及び地区連盟の規約及び別に定める規程等の規定に違反する行為があったとき



私が野球連盟の幹部であれば、東京メッツの幹部を挑発して不適切な言動を引き出し、登録規定第16条1項の「本連盟、加盟地方団体及び地区連盟の名誉を傷つけ又は本連盟、加盟地方団体及び地区連盟の目的に違反する行為があった」ものとして、東京メッツの加盟登録を取消す方向に持っていきますね。

既得権を持った大人のえげつなさは彼らも良く知っているはずです。不用意な発言は選手に悪影響を与え、自身の努力すら無に帰すことになりかねません。
選手をサポートするのであれば、選手にマイナスの影響を与える可能性を少しでも減らすべきだと思います。余計なお世話かもしれませんが。


やはり今後の課題としては東京メッツをサポートし、いざとなれば守ってくれる存在をいかに確保するかでしょう。企業のスポンサーがつけば選手も安心できるでしょうけど・・・。

そういう意味では先日のスポニチによる記事が千載一遇のチャンスだったのです。
本心ではそう思っていなくても、「2009年は各方面に迷惑をかけてしまい反省している。今我々は野球が好きだという原点に立ち返り、野球に対する罪滅ぼしと恩返しのため、野球の裾野を少しでも広げ、クラブチームでプレーする野球選手の環境が少しでも良くなるよう精一杯努力している」と安住氏が発言すればどうなったか。
少なくとも東京メッツに対する世間の印象が変わり、彼らを取り巻く環境もいい方向に変わったかもしれません。

あそこで正直に発言して、マリーンズファンからの反発を受けて何の得があるでしょう。
むしろ選手を守るため、選手たちの環境を向上させるため、心にも無い大人の発言をする覚悟は無かったのでしょうか。
もったいないな、と思います。

正直に生きていくのもいいです。
ただ、クラブチームの運営はお金の問題が容赦なく絡みますから、綺麗事では済まされません。脇の甘さが命取りになることもあります。
どうか選手たちの夢を壊さないでほしい。もはや東京メッツは上を目指す野球選手たちが夢を託すに値するチームになっているのですから。
本当に野球を愛してるのであれば、やるべきことは見えているはずです。