■ 旧応援歌の復活で観客増?おかしな記事がネットに・・・

最近ネットメディアにおいて自称ライターによる記事の粗製乱造が問題となっていますが、先日マリーンズがらみでひどい記事を見つけてしまいました。

マイナビニュースやネタリカに掲載された、こちらの記事です。

ロッテ観客増の裏に“伝説の応援歌”の復活あり。なぜ封印されていたのか? その応援事情に迫る (マイナビニュース)


今シーズン、スタートダッシュに成功したロッテ。常勝・ソフトバンクの後塵を拝しているものの、6月2日時点でパ・リーグ2位。前評判をくつがえして貯金7をこしらえている。

 また観客動員数も絶好調。29試合終了時点で1試合平均20,051人。昨年の同時点での動員数は平均17,478人。約2,500人もの動員アップに成功しているのだ。

 その理由はなんなのか? それはロッテが“強いから”だけではない。今季は伝説の応援歌が帰ってきたのだ。

(中略)

・サブロー応援歌
・福浦和也応援歌
・レイジーボーン
・燃えろ千葉ロッテ
・スキンヘッドランニング
・エリーゼのために

 当時のキラーチューンである5曲が今季、満を持して復活したのだ。思い出語りが過ぎたが、多くのロッテファンが「待ってました!」と歓声を上げ、誘い合わせて球場に大挙している。


◎なぜ封印されていたのか……?

 先述のように快楽物質がドバドバあふれ、他球団ファンのみならず、他球団の選手にも怖れられていた伝説の応援歌。それらが封印されたきっかけにも触れておきたい。

 2009年シーズン終盤、ロッテは御家騒動下にあった。この年のロッテは開幕前からボビー・バレンタイン監督の解任騒動が起こるなど、穏やかではない様相だった。

 2005年の日本一の立役者であるバレンタイン監督。ファンからは続投の声もかなり多かった。しかし、フロントは首切りを断行しようとし続けたため、9月にBクラス入りが決まると千葉マリンスタジアム(当時)の外野席に過激な横断幕が揚げられるようになった。

 フロントの名前を挙げて、「全員死刑」などかなり苛烈なものがあったのも事実だ。

 それに噛み付いたのが西岡剛(現阪神)だった。9月26日、ヒーローインタビューで西岡はお立ち台を降り、「子どもたちの夢を壊さないでください。横断幕を下げてください」と外野席に向けて、アジテーションを打ったのだった。

 これに怒ったのは横断幕を掲げていた応援団の中核メンバー。彼らは西岡をフロントの犬と見なし、翌日、西岡の応援をボイコット。「よっ!偽善者www」「フロントは僕らの夢を壊しました」など、強烈な横断幕を出したのだ。

 それまでのロッテの応援を創り上げてきたパイオニアだった彼らも、その行為はさすがに一般ファンの共感を得ることはできず、大問題となり結局解散。新応援団立ち上げに際して、旧応援歌は封印されたのだった。

◎なぜ今季、伝説の応援歌は復活したのか?

 新体制となった2010年から昨季まで、新応援団の団長はジントシオ氏が就任。同氏は2004年までロッテの応援をリードしてきた人物で空白となった応援を見事に埋め、QVCマリンフィールドのライトスタンドを再建したのだった。

 昨季を最後にそのジントシオ氏が引退。今季から応援団長に高橋慎氏が就任した。

 高橋氏は「マリーンズの歴史を繋げる」と語り、賛否両論の中、旧応援歌の復活を決断。外野席に再び、あの頃の熱量を取り戻そうとしている。


 6月7日(火)からQVCマリンフィールドで阪神と3連戦。阪神には封印のきっかけともなった西岡がいる。複雑な事情、心情が交わる一戦。特段、旧応援歌に注目したくなる。


文=落合初春(おちあい・もとはる)


一体何でしょう。このインターネットで適当に調べて書いたような記事は。
まるでマリーンズの観客増は2009年までの応援歌を復活させたからだと言わんばかり。
しかもその根拠がまったく示されておらず、他の内容もおかしな点ばかりです。
こんな浅い考察で商業媒体に記事が載ってしまうのか。こんな内容の記事でお金がもらえてしまうのか。
野球ジャーナリズムの質の低下は競技自体の信頼を低下させるため、非常に大きな問題です。

まずこの記事。キラーチューン5曲が復活と言いながら、応援歌が6曲挙げられています。ここからすでにおかしいです。きちんと校正をしていないのでしょう。
2009年の経過もほぼMVPの見解に沿ったもので、事実誤認が多すぎます。

MVPとは2009年まで存在したロッテの私的応援団体です。バレンタイン監督の続投とフロント批判を訴える過激な抗議活動を行った挙句、最後は西岡を誹謗中傷して世間から猛批判を浴び、この年限りで事実上球場から追放され、解散しています。

この記事にはバレンタイン監督を「首切り」とありますが、実際は2009年までの契約であり、契約の更新を行わないと発表しただけです。契約満了ですから首切りではありません。ファンからは監督の続投を支持する声もありましたが、支持しない声もあり、賛否両論でした。
そもそも2009年の騒動はフロント対バレンタイン監督の権力闘争であり、バレンタイン監督がMVPに情報を流し、MVPをバレンタイン派の尖兵として代理戦争を行わせていたのです。2009年に流出した議事録にもバレンタイン監督がMVPに情報を流したとはっきり書いてあります。また荒木重雄氏らバレンタイン派の球団幹部とMVPの癒着も球団にとっては見過ごせなかったのでしょう。
西岡に対する表現もひどいですね。

MVPの過激な抗議に「噛み付いた」
「外野席に向けて、アジテーションを打った」


西岡の発言は「瀬戸山石川米田フロント全員死刑」という公序良俗に反した横断幕を下げるよう訴えた正当なものです。アジテーションという悪意に満ちた言い方をされるいわれはありません。

その翌日の2009年9月27日に何が起きたか。いまさら説明するまでもないでしょう。

「よっ!偽善者www」
「二日酔いで試合をサボり、夢を語るスピードスター」
「ジーターの後継者」(ジーターは女好きで有名でした)
「西岡剛の正直しんどい」
「祝110本安打達成(笑)」(シーズン前に200本安打を目標としていたことを揶揄しています)
「今日も狙って!」(前日の試合でライトスタンドにホームランを打ったことを指しています」
「フロントは僕らの夢を壊しました」

下品なゲーフラを掲げて西岡の応援をボイコット。ファンの怒りは頂点に達し、MVPは事実上追放されたのです。

応援歌の封印と復活の経緯もまるで調べていません。
封印のきっかけが西岡とは勘違いもいいところ。原因はMVPでしょう。
筆者の落合初春氏は西岡が嫌いなのでしょうか。西岡に対する書き方はかつてMVP幹部が下っ端にしたであろう説明をそのままなぞっているかのようです。

また2009年で封印されたと書かれていますが、実際福浦やサブローの応援歌は2010年も歌詞を変えて歌われていました。変わったのは2011年からです。
応援歌の封印については旧応援団からの圧力があったことは言うまでもありません。

そして2016年から復活した応援歌は、ジントシオ氏が主体となって編曲したもので、MVPが主導権を握る前に作られています。新応援団長の高橋氏にとっても復活させやすい応援歌でした。実際旧応援団のメンバーからの不当な圧力がありましたが、きっちりと跳ね返し、現在も旧応援歌の演奏を行っています。


2009年に何が起きたのか。そして2016年に旧応援歌がどのように復活したのか。
当ブログの記事をお読みいただければ、ある程度はご理解いただけると思います。
残念ながら上記の記事を書いた落合初春氏は状況をまるで分っていません。落合氏にもぜひ読んでいただきたいです。

2009年の千葉ロッテマリーンズに何が起きたのか?MVP、バレンタイン監督、球団フロントの動きを総まとめ

マリーンズの過去の応援歌が復活!しかし旧応援団のメンバーが応援歌復活を阻止すべく新応援団を脅迫か




しかしなぜ今頃になってMVP時代を礼賛し、MVPを擁護するかのような記事が出てきたのでしょうか。
調べてみると、どうもこの記事の出どころが悪いです。

この記事は複数のネットニュースに掲載されていますが、大元は野球太郎という媒体です。
野球太郎はマニアックな野球雑誌ですが、他のネットメディアにも記事を提供しています。
そしてこの野球太郎の立ち上げに深く関わっているのが、菊地選手というライターです。

菊地選手。聞いたことがありますね。かつてこんな記事を書いていました。

元ロッテファン作った野球チーム 熱過ぎる応援で全国大会間近まで成長 (スポニチ)

近年、プロ野球応援のパイオニアと言われているのがロッテサポーターだ。彼らは声と手拍子を中心にした応援スタイルを確立させ、2005年には応援で日本一に貢献。他球団の応援にも影響を与えたが、一部熱狂的なファンが球団フロントと対立。2010年以降、その集団は応援から手を引くことになった。その後、集団の中心人物である安住和洋さんが「ファンの声が届く自分たちのチームをつくろう」と呼びかけて、TOKYO METSが誕生したのだった。

「僕らはボビー(元監督のバレンタイン氏)を支持していました。彼は徹底して、ファンのために野球をやっていた。そのボビーを2度もクビにした球団に嫌気がさして、自分たちのチームをつくったんです。でもチームといっても、最初は児玉くん(貴文)という、駒澤大で4番を打っていた選手1人だけでした。児玉くん1人の練習をみんなでサポートしていたんです(笑)」(安住さん)

そうです。自爆テロを起こしてマリンを事実上追放されたMVPが作ったクラブチームを、その設立の経緯に全く触れず手放しに称賛した記事。
あの問題記事を書いたのが、菊地選手氏なのです。

野球太郎がらみで、MVP礼賛記事が2本も出た。
今回の記事に菊地選手氏が絡んでいるのかは分かりませんが、マリーンズにとっては非常に危険な状況です。
当時の西岡を中傷するものでもありますから、ネットの記事だからと黙殺するのではなく野球太郎側に球団から見解を求めることはあっていいと思います。

■ 観客増の背景はグッズ配布とイベント

では、なぜ今シーズンのマリーンズは観客動員数が大幅に増えたのでしょうか。
旧応援歌の復活が原因でないことは明らかです。
福浦、サブローは1回も1軍に昇格していないのですから応援歌も演奏しませんし、チャンステーマも1試合1回あるかないか。その他の曲も特に集客効果はないでしょう。そもそも応援歌が変わったからと言って球場に新たに足を運ぶファンがどれだけいるというのでしょうか。

むしろ外野席のファンは増えていないと思われます。
例えば5月31日の広島戦。

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平日ではありますが広島戦は人気カード。にもかかわらずセンター側に空席が目立ちます。
ゴールド価格でチケット代が高いのと、全席指定のため視界が悪いセンター寄りが敬遠されたというのはあるでしょう。
しかし応援歌が復活したのが観客増の原因ならもっと入ってしかるべきです。
「多くのロッテファンが「待ってました!」と歓声を上げ、誘い合わせて球場に大挙している」のではないことは明らかです。

では、実際にQVCマリンフィールドの試合ごとの観客数はどのようになっているのでしょうか。
2015年と2016年の開幕から6月までの各試合の観客数を表にしてみました。わかりやすいように土日祝日と平日を分けてあります。

●2015年 土日祝日 17試合 360,698人

日付 対戦相手 観客数 配布物 イベント
4月4日(土) 楽天 13,006    
4月5日(日) 楽天 13,145   マリンフェスタ
4月18日(土) ソフトバンク 18,565    
4月19日(日) ソフトバンク 17,851    
4月29日(水) 西武 30,100 青ユニ マリンフェスタ
5月2日(土) 日本ハム 23,856    
5月3日(日) 日本ハム 26,234    
5月9日(土) 西武 16,914   ALL FOR CHIBA
5月10日(日) 西武 20,860   ALL FOR CHIBA
5月30日(土) DeNA 29,804 ブラックTシャツ&タオル ブラックブラック
5月31日(日) DeNA 25,706    
6月13日(土) 巨人 27,540    
6月14日(日) 巨人 25,012    
6月20日(土) 楽天 19,150 キッズTシャツ ALL FOR CHIBA
6月21日(日) 楽天 14,586 キッズTシャツ ALL FOR CHIBA
6月27日(土) オリックス 18,357    
6月28日(日) オリックス 20,012   マリンフェスタ

●2015年 平日 17試合 228,997人

日付 対戦相手 観客数 配布物 イベント
3月31日(火) 日本ハム 22,417    
4月1日(水) 日本ハム 14,244 キッズTシャツ ALL FOR CHIBA
4月2日(木) 日本ハム 17,210 キッズTシャツ ALL FOR CHIBA
4月17日(金) ソフトバンク 9,208    
4月21日(火) オリックス 9,878    
4月22日(水) オリックス 9,622    
4月28日(火) 西武 11,851    
4月30日(木) 西武 10,511    
5月1日(金) 日本ハム 13,025    
5月8日(金) 西武 11,160   ALL FOR CHIBA
5月13日(水) ソフトバンク 12,590    
5月29日(金) DeNA 14,466    
6月9日(火) 中日 11,459    
6月10日(水) 中日 15,116    
6月11日(木) 中日 12,525    
6月12日(金) 巨人 23,008    
6月19日(金) 楽天 10,707   ALL FOR CHIBA

●2016年 土日祝日 17試合 412,816人

日付 対戦相手 観客数 配布物 イベント
3月26日(土) 日本ハム 23,003 卓上カレンダー・等身大ブランケット 開幕シリーズ
3月27日(日) 日本ハム 18,716 卓上カレンダー 開幕シリーズ
4月9日(土) 西武 25,618 タオル ALL FOR CHIBA
4月10日(日) 西武 19,090 等身大ブランケット  
4月23日(土) オリックス 16,919 等身大ブランケット  
4月24日(日) オリックス 28,121 青ユニ マリンフェスタ
4月29日(金) 日本ハム 21,052 キッズキャップ  
4月30日(土) 日本ハム 22,058 キッズキャップ  
5月1日(日) 日本ハム 29,672 キッズキャップ  
5月7日(土) オリックス 29,209 赤ユニ ALL FOR CHIBA
5月8日(日) オリックス 19,422 ヘルメット ALL FOR CHIBA
5月14日(土) 楽天 18,418 ヘルメット  
5月15日(日) 楽天 26,010 女性限定Tシャツ スーパーレディースデー
5月28日(土) ソフトバンク 29,569 旧ビジターユニ BlackBlackClassic
5月29日(日) ソフトバンク 25,852 ヘルメット マリンフェスタ
6月11日(土) ヤクルト 30,052 赤ユニ ALL FOR CHIBA
6月12日(日) ヤクルト 30,035 中折れハット マリンフェスタ

●2016年 平日 18試合 318,603人

日付 対戦相手 観客数 配布物 イベント
3月25日(金) 日本ハム 30,119 白ユニ 開幕シリーズ
3月29日(火) 楽天 19,248 キッズキャップ  
3月30日(水) 楽天 16,589 キッズキャップ  
4月8日(金) 西武 12,682 ユニフォームクリップ  
4月19日(火) ソフトバンク 14,453 等身大ブランケット  
4月20日(水) ソフトバンク 11,891    
5月6日(金) オリックス 14,075    
5月17日(火) 西武 9,007    
5月18日(水) 西武 17,656 ヘルメット  
5月19日(木) 西武 12,460    
5月27日(金) ソフトバンク 13,241    
5月31日(火) 広島 16,656    
6月1日(水) 広島 18,635    
6月2日(木) 広島 22,034 中折れハット  
6月7日(火) 阪神 20,024    
6月8日(水) 阪神 24,148 中折れハット  
6月9日(木) 阪神 20,202    
6月10日(金) ヤクルト 25,483 女性限定Tシャツ  

●観客動員数の比較

    全試合    平日   土日祝日 
2015年 34試合 589,695 17試合 228,997 17試合 360,698
2016年 35試合 731,419 18試合 318,603 17試合 412,816
  141,724   89,606   52,118

観客動員数の差は歴然。6月までの開催が1試合多いとはいえ、14万人も増えているのです。
満員御礼は2016年はすでに3回。昨年は1シーズンで3回ですから大健闘と言っていいのではないでしょうか。

2015年の4月29日のマリンフェスタはユニフォーム配布もあり満員御礼となりました。またドル箱の巨人戦が土日に開催されています。ただ2015年の春先は寒かったこともあり動員に苦戦。1万人割れの試合が3試合もありました。
2016年は土日のグッズ配布を大幅に増やし、なんと土日祝日の全試合で何らかのグッズを配布しています。特にユニフォームを配布した5試合は28,000人以上の動員があり、3月25日の大谷が登板した開幕戦と、6月12日のヤクルト戦は満員御礼となりました。
平日の大幅な観客増は阪神戦3試合と広島戦3試合が大きいです。他のチームに比べ1試合1万人前後の上積みが見込めるのですから。グッズ配布も積極的に行っており、グッズを配布していない試合よりも明らかに観客が増えている点は注目すべきでしょう。
また今年は気温が高い日が多く、雨も降らなかった点も見逃せません。
チーム自体も健闘しており、2位をキープしています。チームが強いのも観客増の大きな原因です。

またグランドウォークなど球場内外でのイベントが増えましたし、係員によるサービスも良くなっていると感じます。
幕張本郷駅では球場直行バスの乗車列をはっきり分けるようになり、直通バスの本数も増えています。また混雑する試合の自由席では荷物で席取りをする客の荷物をどかし、1人でも多くの客を座らせようと努力しています。
今シーズンの大幅な観客増は旧応援歌の復活が原因ではなく、球団側のファンサービスの強化や球場内でのオペレーションの改善などが大きな理由だと言えるでしょう。

あとは日ハム大谷。大谷登板試合は2試合ともほぼ満員でした。やはり客を呼べるスター選手が球場にいれば足を運ぶ人は増えるのです。
球場に客を呼ぶにはファンサービスだけでなくチームが強くなること、そしてスター選手を獲得することです。知名度が低い即戦力社会人ばかりドラフトで獲るのではなく、高校で活躍したスター候補生をもっと獲得していいと思います。
最近はドラフトの傾向も変わり、未来のスター候補生を積極的に獲るようになりました。

千葉ロッテは変わりつつあります。魅力的な球場と魅力的な選手たちがそろえば、再びマリンがかつての熱気を取り戻すことでしょう。
そうなる日を夢見て、ファンとして1試合でも多く球場に足を運びたいと思います。


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