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千葉マリンスタジアムの命名権を得ているQVCジャパンが千葉市に対して契約解除の申し出を行いました。


どうして…QVC マリンスタジアムの命名権解除求める (スポニチ)

千葉市は21日、プロ野球千葉ロッテマリーンズの本拠地千葉マリンスタジアム(同市美浜区)の命名権を得ている通販番組運営会社「QVCジャパン」から契約解除の申し入れがあったと発表した。市は継続を求める考えだが、同社の合意が得られなければ、新たな命名権スポンサー企業を探す方針。

 千葉市によると、QVCは2011年3月から20年11月末まで、市と千葉ロッテに計2億7500万円を毎年支払う契約で命名権を獲得し、千葉マリンスタジアムは「QVCマリンフィールド」の愛称で呼ばれてきた。

 同社から今年6月、「知名度の向上など一定の成果を得た」として契約解除の申し入れがあった。契約には違約金に関する規定はないという。

 千葉マリンスタジアムは千葉市所有で、命名権を得たのはQVCが初めて。



マリン命名権解除へ 20年までの契約残し QVCが千葉市へ申し入れ (千葉日報)

千葉市は21日、千葉マリンスタジアムの命名権(ネーミングライツ)を持つ「QVCジャパン」(千葉市美浜区ひび野)と契約解除に向けた協議を始めると発表した。今年6月、同社から「一定の成果を挙げられた」ことを理由に、契約解除の申し入れが文書であった。契約が解除された場合、来シーズンから「QVCマリンフィールド」という名称は使用されなくなる。

 市公園管理課によると、同社との契約期間は2011年3月1日〜20年11月30日の約10年間で、現在6年目。同社が毎年、スタジアム所有者の市と指定管理者の千葉ロッテマリーンズに1億3750万円ずつ払う契約で、満了時には総額27億5千万円となる。

 3年以上の契約が応募条件だったが、契約に途中解除に関する条項はなく、3者で協議が必要になった。同社の担当者は、解除申し入れの理由を「10年かかると考えていた企業認知度の向上や地域コミュニティーとの関係性強化が6年でできたため」と話す。9月をめどに契約解除の意向を示している。

 同課は「10年間と提案してきたのはQVCジャパンなので、契約期間が切れるまでやってほしいというのが本音」と想定外の事態に困惑。一方で契約解除に備え、新たな命名権スポンサー企業を募集する準備を進める。

 千葉ロッテの山室晋也球団社長は「QVCマリンフィールドという名称が広く愛され定着している中で、契約満了を前に契約終了の申し入れがあったことはとても残念です。ただ、ネーミングライツスポンサー企業として、多大なバックアップをしていただいていることへの感謝の気持ちは変わりません」とのコメントを発表した。

 市の命名権制度は05年度に始まった。これまで、契約途中で解除を申し入れた事業者はいなかった。




QVCジャパンはアメリカのQVC, Inc.が60%、三井物産株式会社が40%出資して2000年に設立されたテレビ通販の会社です。
外資系なのですから契約解除についてもしっかり書面にしていると思っていましたが、違約金に関する規定がなかったとは驚きです。千葉市側の見通しが甘かったということです。

しかし、なぜ2020年まで契約が残っているのに契約解除を申し出たのでしょう。
2011年に「QVCマリンフィールド」と書かれた看板がお披露目された時、代表取締役CEOのホロビン氏はこう述べていたのです

「この看板はただの看板ではありません。幕張が暮らしやすく、働きやすく、おでかけの目的地となるような街にしたいという市と球団、そしてQVCの強い思いと三者のチームワークが形になったものです」

「私どもが命名権を取得した目的のひとつに、海浜幕張地区がお出かけの目的地として選ばれる、あるいは仕事をする街として選ばれる、そういう街にしたいという思いがあります。新しい名称看板によって、QVCマリンフィールドは寄り道してでも一見する価値がある、すなわち幕張に寄ってみようとする方が増えるのではないかと大いに期待しています」



QVC側から10年契約を提示しておきながら、今になって「知名度の向上など一定の成果を得た」から契約を途中解除。
これでは長期契約の意味がありませんし、誠意を欠く話です。
QVCジャパンの企業イメージにマイナスの影響を及ぼしますよ。契約を簡単に破棄する会社というイメージがつけば会社としての信用にかかわります。
地元千葉市との関係も悪化するでしょう。何よりもQVCジャパンの本社は海浜幕張駅からマリンスタジアムへの通り道にあるのです。
「あの時QVCは契約を一方的に破棄した」と、球場に通う人たちは本社の前を通るたびにQVCに対する怒りを思い出すことになるでしょう。

それに、来年はマリンでオールスターゲームが行われます。全国中継されるのですから宣伝効果は抜群のはず。
来年を待たずに契約解除を申し出たということは、よほどの理由があるはずです。いったい何なのでしょうか。

QVCジャパンは2001年の放送開始以来急成長を遂げ、2013年には海浜幕張に新社屋をオープンさせました。
しかし2013年に売上1000億円を突破したのがピークで、その後は減収減益傾向にあるようです。
今回の命名権解除の申し出はQVCジャパンの収益悪化が原因なのかもしれません。

本紙調査・2014年のTV通販市場は? 5200億円超と横ばいに (通販新聞)

 QVCジャパンの2014年12月期の売上高は前年比3・8%減の962億円だった。消費増税の影響で家電やジュエリーなど高単価商品などの売り上げが伸び悩んだことなど減収だった。前年度に初めて年商1000億円の大台を突破したが、2期続けての大台超えとはならなかった。米QVCの親会社であるリバティ・インタラクティブの開示情報によると営業利益(米国の財務基準ベース)は同10・1%減の約186億円(同年の平均為替レート1ドル=106円で円換算)と2桁減益となったようだ。


2015年はどうなのでしょうか。アメリカQVCの親会社であるリバティ・インタラクティブ社は2015年の収益情報を開示しています。

Liberty Interactive Annual Report 2015

この開示情報によるとリバティ・インタラクティブ社の日本地域における売り上げ高は以下の通りです。

2013年 10億2900万ドル
2014年 9億1200万ドル
2015年 8億1100万ドル

驚くべきことに、日本地区での売り上げが年間1億ドルペースで減っています。

ただし、この金額は米ドルです。
ドル円相場は2014年から2015年にかけて大幅な円安ドル高となりましたから、円換算で概算するとこのようになります。

2013年 1004億7000万円 (1ドル97円で計算)
2014年 957億7700万円 (1ドル105円で計算)
2015年 977億6440万円 (1ドル120円で計算)

この数字はQVC単体ではなく、リバティ・インタラクティブグループ全体の収益です。とは言ってもリバティ・インタラクティブグループにおける日本での事業展開は旅行サイトを運営するExpedia, Inc.の株式を議決権ベースで58%保有する程度です。

アメリカQVCではQVC単体の収入について開示しており、過去3年の数字は以下の通りでした。

2013年 10億2400万ドル
2014年 9億0800万ドル
2015年 8億0800万ドル


QVCジャパンは2014年の純売上を962億円(前年比4%減)と発表しています。
ただし、QVCジャパンは2015年の売上高を公表していません。
例年5月か6月に公表しているにもかかわらず、なぜ今年は7月になっても公表しないのでしょうか。
やはり、何かあるのかもしれません。

実は、今年の7月1日から社長が交代し、三井物産のICT事業本部から出向している内田 康幸氏が代表取締役社長に就任しています。
今回の命名権解除の申し出は三井物産の意向なのでしょうか。

QVCジャパン/内田氏が社長に内定/佐々木社長は相談役に (日流ウェブ)

テレビショッピング大手のQVCジャパン(本社千葉県、マイク・フィッツハリスCEO)は5月18日、代表権のある社長に内田康幸取締役が内定したと発表した。7月1日付で就任する。佐々木迅社長は同日付で相談役に就任。引き続き経営に携わる。
 内田氏は1984年に三井物産入社。長年、放送関連事業に携わってきた。12年からはQVCジャパンの取締役に就任。社長就任後はQVCジャパンの配信ネットワーク事業を中心に陣頭指揮を執る。


効果に見合わない支出をしない。商社マンとしての厳しい方針で支出の見直しを図るのでしょうか。経費節減を優先するなら広告費の削減は真っ先に手を付ける分野でしょう。

気になる兆候もあります。
QVCジャパンは今年になってポイントサイトから次々と撤退しています。
ポイントサイトとはそのホームページを経由して買い物をするとポイントがもらえるというもので、ショップジャパンやショップチャンネルなどほとんどの大手通販会社が登録されています。

しかし、ざっと確認しただけでもちょびリッチポイントタウンポトラお財布.comなど複数のポイントタウンから撤退しています。
さらに、ANAマイレージモールからも2016年3月3日をもって撤退しています。


ポイントやマイルの原資はQVCが負担しているはずですから、ポイントサイトからの撤退はそれらの負担が難しくなったということで、つまりは収益が悪化している状況証拠になるのです。

そもそもテレビショッピングという手法そのものが曲がり角を迎えています。
スマホの爆発的な普及により、取扱商品を検索すればもっと安い価格でネット購入できるようになりました。
しかもネット専業の方が放送設備を整えてスタジオや出演者を用意するテレビショッピングよりもコストがかかりません。
そして今はテレビを見る人々の数も減っています。

したがって、テレビショッピングを取り巻く状況は非常に厳しく、今後QVCジャパンが増収増益となる可能性は低いと言えるでしょう。
減収減益が続くようであれば日本からの撤退もあり得ます。ポイントサイトからの相次ぐ撤退や、今回の命名権解除の申し出は、QVCジャパンの事業縮小の一環なのかもしれません。

千葉ロッテ球団と千葉市にとっては非常に残念な話でありますが、契約を継続する意思がQVCに無いのなら仕方ありません。
違約金をきっちり払わせたうえで、次のスポンサーを探すことになるでしょう。
続報を待ちたいです。


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