史上最大級の好条件に恵まれつつも2位に終わった今年のマリーンズ。
3月に球団が「千葉ロッテマリーンズ 理念」というものを策定していたのを覚えていますでしょうか。
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千葉ロッテマリーンズは将来どうあるべきか…設立以降初の球団理念策定 常勝はもちろん地域との密着も(中日スポーツ)
 ロッテは9日、「千葉ロッテマリーンズ 理念」と題した球団理念を新たに策定したと発表した。
 球団内の全部署から自主参加した職員が自分たちは将来どうあるべきか、球団の普遍的な価値とはなにかという議論を昨年5月より重ね、それぞれの思いを込めたという。このような過程で理念を作り上げるのは球団設立以降では初だ。

 「千葉ロッテマリーンズ 理念」は、マリーンズが勝つための三カ条「Our Belief」、マリーンズの使命「Our Mission」、マリーンズの行動指針「Our Values」―の普遍的な価値3点と、2025年までの中期目標「Vision 2025」で構成されている。
 1月30日発表となったチームの中長期的なビジョンやメッセージを伝えた「Team Voice」はこの理念を元に策定された。

【千葉ロッテマリーンズ 理念】
●マリーンズが勝つための三カ条“Our Belief”
 勝利への挑戦/勝利の熱狂/勝利の結束

●マリーンズの使命 “Our Mission”
 「千葉ロッテマリーンズは、勝利と頂点を目指す集団であり、関わる全ての人々の誇りであり続ける」

●マリーンズの行動指針 “Our Values”
 ○常にプロフェッショナル
 ○常に挑戦者
 ○常に楽しむ
 ○常にリスペクト

●Vision 2025
 ○新たな常勝軍団に
 「自他共に認める、令和の常勝軍団になる」
 ○新たなスポーツエンターテインメントの創造
 「時代に適応した、新たなスポーツエンターテインメントを創造、提供する」
 ○チームブランドの強化
 「目の前のクオリティーを突き詰め、マリーンズブランドの価値を高める」
 ○地域提携の強化
 「地域コミュニティーと共に成長し、地域経済にも貢献する」


マリーンズの球団経営は変わりつつあるのか。
今年の9月の終わりにこんな記事がありました。

掲げた理念は「挑戦・熱狂・結束」 ロッテの現場・フロントに行動の迷いなし(スポーツナビ)
「千葉ロッテマリーンズ 理念」を発表し、それを基に策定されたチームの中長期的なビジョンやメッセージをまとめた「Team Voice」を表明した2021年のマリーンズ。1974年以来、47年ぶりのシーズン勝率1位での優勝に向けて、グラウンドでは日々激闘が繰り広げられている。そのような中で届ける全4回の連載の第3回は、具体的に理念が策定されていった背景を追う。

選手たちが常に目にする「チームスローガン」
「ここから選手が入ってきて、この通路を通って選手ロッカーに入ります。そして、この通路を通って、ここからグラウンドに出ていきます。いずれも、選手たちの目にはこのスローガンが飛び込んでくるようになっています……」

 ZOZOマリンスタジアムの選手用通路で説明を続けるのは、マリーンズの広報・梶原紀章だ。梶原の指し示す先には、今季のマリーンズのチームスローガンである「この1点をつかみ取る。」の文字が大きく踊っている。このスローガンの作成に携わったのが、井口資仁監督であり、河合克美オーナー代行兼球団社長である。

「昨年、優勝するためには“この1点”というところが、とても目立ったシーズンだったと思います。《1点》というのは口でいうのは簡単だけど、決してただの《1点》ではなく、常に意識していないといけないとても重要なものだと考えました」(井口)

「昨年のソフトバンクの平均失点が3.24で、平均得点が4.43でした。対するマリーンズは平均失点が3.99で、平均得点が3.84です。平均の数字で比較すれば、それぞれ1点の差もないんです。犠牲フライの数もソフトバンクは圧倒的にマリーンズよりも多い。こういうことが、細かいデータを比較することで見えてきたんです」(河合)

 どの球団でも、毎年それぞれのチームスローガンが作られる。しかし、今年のマリーンズのスローガンは、単なる「お題目」ではない。考えに考え抜かれた、中長期的なビジョンの下に策定されたスローガンなのである。全社的なプロジェクトの結果、社員たちの間から出てきたのが、「挑戦・熱狂・結束」という言葉だった。確かに、現状のマリーンズを象徴する言葉である。しかし、「このままではまだ十分ではない」と異議を唱えたのが河合だった。

「この三つの言葉は、確かにマリーンズにふさわしい言葉だと思います。でも、まだマリーンズのことを知らない人の視点で言えば、決して《マリーンズならではの言葉》ではありません。他のチームにも、他のスポーツにも当てはまる言葉だと思ったんです」

 その結果、ここからさらなるブラッシュアップが図られることになる。こうして、「マリーンズが勝つための三カ条」として、「勝利への挑戦」「勝利の熱狂」「勝利の結束」が定められた。さらに、使命、行動指針、そして、2025年に向けて「Vision 2025」を策定する。こうして完成したのが「千葉ロッテマリーンズ理念」だ。

 さらに、この理念を基に、球界としては初の試みとなる「中長期的メッセージ」である「Team Voice」を策定するのである。

中長期的ビジョン「TeamVoice」
「惜しかった。あと1点が取れていれば。あの1点を守れていれば。それで落としてきた白星がいくつある? 本当に信じているか? 優勝して、日本一になって、常勝軍団になることを。その唯一の方法は、今日も、明日も、勝つしかない。1点でも相手より多くとって、その1点を守りきる。目の前のチャンスをつかみ取り続ける。だから俺たちは熱狂する。その粘り強さに。その本気の執念に。その1点が、明日を変える。」

 従来のような単年ごとのスローガンではなく、チームとして目指すべき方向性を明確に打ち出し、さらにそれをファンとも共有することで、より確固たるものとしていく。「Team Voice」の文言を読むと、21年のチームスローガンが「この1点を、つかみ取る。」となったのもよく理解できる。

 こうして、2021(令和3)年1月30日に「Team Voice」が、翌31日に「チームスローガン」が相次いで発表され、3月8日に満を持して「千葉ロッテマリーンズ理念」が披露されたのである。チーム力強化を図り、「令和の常勝軍団」を目指すべく積極的にFA戦線に参入し、意欲的なドラフト戦略を採り、シーズン中のトレードを次々と敢行。優勝を目指すための貪欲な補強を続けている。

 一方、グラウンド外でも自らの足元を見つめ直し、新たな顧客を創出すべく積極的な施策を次々と打ち出している。理念が策定されてから半年が経過した。チームは激しい優勝争いを続けている。マーケティング戦略本部長である高坂俊介が、ここまでの成果を総括する。

「もちろん手応えはあります。ただ、“まだスタートラインに立ち、始まったばかりだ”という感覚も非常に大きいです。チームは優勝争いを続けていますが、事業サイドでは胸を張って、“これが達成できました”というフェーズにはありません。ただ、事業担当者と話をしていても、自分たちの目指すものが何なのかが明確になったのは間違いありません。数々の取り組みにおいて、迷いが消えつつあるのは事実です」

 球団公式ホームページや各種SNS、球場内で流れるビジョン映像や各種ポスター、球団グッズの数々。あるいは球団職員の名刺、社内会議用のプレゼン資料にいたるまで、「すべての制作物の世界観が統一されている」と高坂は言う。

「現在、マリーンズに関する、あらゆるものの世界観が統一されています。これは私が担当するマーケティング戦略本部だけの話ではなく、各事業担当レベルにまで浸透しています。理念やTeam Voiceなど、各部門にも浸透、理解、実行がなされつつあるのかなという気がします」

マリーンズが狙うべき「三つの顧客ペルソナ」

 現在のマリーンズフロントには迷いがない。関係者の話を聞いていて、強く感じることだ。「球団として大切にすべき顧客は?」と尋ねると、高坂の口からはよどみなく言葉があふれ出てくる。

「理念を作る上で、私たちは自分たちの足元を見つめ直す作業を行いました。1つ目はユーザーと市場の理解。自分たちが向き合う顧客はどんな人たちなのか。伸びしろのあるマーケットはどこなのかを探る作業です。2つ目は事業ポートフォリオの見つめ直しです。市場環境動向の理解を通じて、成長余地の高い事業パートがどこにあるのかを考えました」

 ユーザーと市場を見つめ直した上で、マリーンズは「3つの顧客ペルソナ」を打ち出すことになる。「ペルソナ」とは、顧客ターゲットをより具体的に、より詳細に具現化していくことである。高坂の解説を聞こう。

「自分たちが向き合うべき1つ目のペルソナは《ローカル・マリーンズフリーク》です。これは長い間、マリーンズを応援していただいているファンの方々。端的に言うと、コアなファンの方々を顧客として明らかにしました。2つ目は《アクティブ・アラサー》と呼ばれるペルソナです。コロナ禍にあっても、熱心に球場に足を運んでくださる20代、30代の独身男女のみなさんです。そして3つ目は《ファミリー with キッズ》というペルソナです。いわゆる子ども連れの家族です。この3つを設定したことで、それぞれの施策が、どのペルソナをターゲットにしているのかが明確になりました」

 「三つの顧客ペルソナ」についての説明が終わると、高坂は「次のフェーズ」という言葉を口にした。

「18年、19年にチーム単体での黒字化を達成して、自立した経営ができるようになってきたときに、“次のフェーズは何だろう?”ということを河合とも、会社としても話し合いました。かつては、自分たちを俯瞰化して見ることや、瞬発的な力ではなく、長く走り続ける持久力、組織としてレバレッジさせていく力はありませんでした。でも、今は目指すべきもの、なりたい姿が明確です。次のフェーズに向かうための手段が、球団理念であり、Team Voiceであり、チームスローガンなんです」

 やはり、その言葉には何の迷いもない。新たに掲げた理念に向かって、全員が一丸となって邁進すればいい――。そんな思いが透けて見える力強い発言だった。



さらに、立派な理念を100ページ程度の冊子にして球団職員や選手に配布したのだそうです。

ロッテ理念が100ページに詰まる「ブランドブック」選手も球団職員も1つ(ニッカン)
ロッテの選手、首脳陣、球団職員のバイブルがある。「ブランドブック」と名付けられた一冊は、シーズン中にチーム内の全員に配られた。

ページをめくると「このBRANDBOOKは千葉ロッテマリーンズが勝利と頂点を目指す集団であるために球団の方針と想いをまとめたものである」と大きめのフォントで、横書きでしたためられている。その裏には井口監督ほか15選手のモノクロ写真が。ZOZOマリン正面入り口にある写真と同じものだ。

井口監督や選手会長の益田直也投手(32)にキャプテンの中村奨吾内野手(29)のインタビューに加え、球団職員たちの座談会の様子も掲載されている。今春にはスローガン「この1点を、つかみとる。」の礎となった“チームボイス”が約100ページの随所に表現されている。

河合克美オーナー代行兼球団社長(69)は「理念やビジョンを“自分ごと化”するのは一番難しいところだと思います。絵に描いた餅ではなく、壁に貼ってある標語ではなく、1人1人の自分ごととして、チームを作る一員という自覚を持ってもらうのが目的でした。あれを作ったから終わりではダメ。最初の1歩だと考えています」と、常勝軍団への道筋の1つであることを強調する。

ある見開きページには、今季初めて盗塁王に輝いた和田康士朗外野手(22)が一塁でリードをとる写真が大きく掲載されている。その横に4人のコメントが添えられている。和田と、チケット部門の社員と、法人営業部の社員と、グッズ販売部門の社員。チーム一丸を象徴するような一冊で、より結束を高める1年になった。


かつて弱小不人気球団の代名詞だった千葉ロッテマリーンズが常勝人気球団となるべく変革に邁進するのは大変喜ばしいことです。
チームとしての強靭化、企業としての強靭化。2兎を追わずして成功はありません。
難しい道ですが、今後もファンとしてチームを支え続けたいと思います。

ただ、残念ながらシーズン終盤になってこの理念に反する事案がありました。
ひとつは10月27日に仙台で行われた楽天戦。
マリーンズが終盤引き分けを狙って消極的な作戦に終始し、結果として逆転負けして2位確定となったあの試合です。
常に挑戦者であるなら、常勝軍団を目指すのなら、勝つ可能性がある限り引き分け狙いという愚策を取るべきではなかった。
あの試合、もし勝っていたら・・・。今でも悔やまれます。

もう1つはホーム最終戦セレモニーで、選手たちがグラウンドを1周せず、ホームからライトスタンドの近くに行っただけで戻ってしまったこと。
3塁側にもマリーンズファンはいるというのに、そして例年はきちんとグラウンド1周しているのに、なぜ今年だけやらなかったのでしょうか。

オフィスでは共有されているはずの顧客重視の理念が、グラウンドレベルではまったく共有されていないということを示しています。
ファンのためと口で言うのは簡単でも、こうした行動で簡単にぼろが出るのです。

いかに立派な理念でも、監督や選手が理念と真逆の行動を取っていては意味がありません。
1995年以来、マリーンズは良いものを作りかけては壊し、作りかけては壊してきました。
金を使ったかと思えばドケチになったりと、一貫性を欠いていました。
長期的なビジョンに基づきチームを地道に強化していくのはとても難しいことです。

来年はマリーンズにとって優位な条件が少なくなりますから、まさに正念場です。
今年の2位が好条件に恵まれてのフロックだったのか、それてもチームの実力なのか。
証明するには、選手も監督も球団も、理念に忠実に努力を重ねるしかありません。


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