千葉ロッテマリーンズのオーナー代行兼球団社長だった河合克美氏の退任により一気に炎上したチーム私物化疑惑。娘である河合呂美氏を社長の強権でベンチ入りさせたことが問題となっています。

この件を巡り、今度は週刊新潮が記事を掲載しました。

ロッテ「井口資仁監督」電撃退任のカゲに「2人の女性」 佐々木朗希「恩師」の左遷も命取りに

10月2日、プロ野球ロッテに衝撃が走った。本拠地のZOZOマリンスタジアムで開催されたソフトバンクとの今季最終戦、井口資仁監督(47)が試合後のセレモニーであいさつに立ち、今季限りでの退任を発表したのだった。「3年ぶりにBクラスになってしまったこと、これは本当に私の責任だと思っております。道半ばではありますが、今シーズンで退任させていただき、次の指揮官にバトンを移していきたいと思います」と時折、涙ながらに声を詰まらせた様子に無念さがにじんだ。

 かねて来季続投が有力視されていた指揮官の突然の退任劇。あいさつで事実を知った「令和の怪物」佐々木朗希投手は整列の中で動揺を隠し切れなかった。スタンドからはファンのどよめきが収まらず、まさに寝耳に水だった。

その日、2019年12月に就任したロッテの河合克美社長(70)も辞任を明らかにした。3期連続赤字の経営責任に対する引責が理由としたが、実情はやや異なるようだ。

 遡ること数週間ほど前、9月中旬のことだった。ロッテ本社は同社長に任期満了での退任を伝えた。25年の常勝軍団化を目指し、続投に意欲を示していたフロントトップに対し、事実上の解任通告だった。本社ではかねて河合社長のチーム内での公私混同ぶりが問題視されていたからだ。

 ロッテ本社関係者はこう説明する。

「今季の公式戦で、社長は自分の娘をマネジャー登録でベンチ入りさせた時期があった。メンバー表の登録名はイニシャル交じりで娘であることはぼやかされていたが、チームのほとんどが社長の娘であることを知っていた。試合ではロッテが点を取ったりするとはしゃぐため、選手が試合に集中できないなどと顰蹙を買っていた。誰が球団社長であっても厳しいコロナ禍で、重光(昭夫)オーナーは経営責任を問うというよりは権限の乱用が看過できなかったようだ」

 さらにその矛先は、前代未聞と言える球団社長の公私混同を容認した井口監督にも向く。節目の就任5年目で期待した優勝を逃したことで、重光オーナーからの指示によりダイエー(現ソフトバンク)時代の人脈で固めた腹心の首脳陣の刷新を迫った。

井口監督が就任した18年以降、チームは5位、4位、2位、2位で、今季は「頂点を、つかむ。」をスローガンに優勝を目標に掲げた。4月に佐々木朗希が完全試合を達成するなど序盤は機運が高まったものの、最終的に5位に終わった。

「チーム成績もそうだが、社長の娘のベンチ入りを認めたことで社長と“同罪”とみられた。井口監督は続投など自らの保身のために社長と取引をしたと受け取られても仕方なかった」(本社関係者)

 井口監督は今季のコーチ人事でも、ソリが合わなかった1軍投手コーチだった吉井理人氏を「ピッチングコーディネーター」という閑職に追いやり、代わりに青学大の先輩である木村龍治投手コーチを招聘した。

「朗希が順調に成長し、完全試合までやる投手になったのは吉井さんの功績が大きい。はっきりものを言う人で、これまでも各チームで監督と衝突を繰り返してきたが、指導力は確かなものがある。好き嫌いで吉井さんを遠ざけたことも本社の心証を悪くした」(同)

 最終的に吉井氏を来季監督に抜てきしたことも、その事実を裏付けていた。

 前出の本社関係者によると、重光オーナーが指示を出した「コーチ陣刷新」には、同オーナーの“夫人”の意向も働いたという。

「(夫人の)チームへの口出しは以前から。移動する際の選手のスーツなどの身だしなみには特にうるさい。今季は選手の髪形や帽子のかぶり方などに乱れが目立つようになっていた。これも井口監督ら首脳陣の指導力に疑問符が付くことにつながったのではないか」(古参のチームスタッフ)

 しかし、さすがに井口監督も気心が知れたコーチ陣の刷新は受け入れられなかった。今季最終戦当日の午前中、親しい知人たちに選手、監督として計14年在籍したロッテを去る意向を伝えた。

井口監督はもともと、ダイエー時代から旧知の瀬戸山隆三氏がロッテ社長だった08年オフ、将来の監督手形を切られ、メジャーから日本球界復帰を果たした。既にチームには大村三郎氏(現楽天ファームディレクター)率いる生え抜き勢による「サブロー派」なるものが存在していたが、瀬戸山氏を後ろ盾に元ダイエー選手中心の「井口派」が拡大した。

 そして2人は10年オフ、関係悪化が決定的になる。

「サブローは選手会長として裏方さんの待遇改善などを要望していたことで瀬戸山さんらフロントと対立した。11年途中には巨人へ、選手会長のトレードという異常事態になった。瀬戸山さんと蜜月の井口監督との間にはしこりが残った」(同スタッフ)

 瀬戸山氏は11年9月に球団社長を辞任した。直後に入れ替わるように、サブロー氏はロッテに復帰。短期間での異例の出戻りにも、オーナー夫人の意向があったとされる。

 井口氏はその後もロッテでプレーを続け、13年には日米通算2000安打を達成。重光オーナーと同じ青学大という縁もあり、17年シーズン限りでの現役引退と同時に監督就任に至った。森脇浩司ヘッドコーチ、鳥越裕介2軍監督、的場直樹コーチ…、首脳陣もやはりダイエー人脈で固めていった。

 一方でサブロー氏は16年限りでの引退後、ロッテ球団に数年在籍した後、20年から楽天でファームディレクターを務めている。

「(夫人は)里崎(智也)らと比べても特にサブローを可愛がっていた。サブローはゼネラルマネジャーに就任する夢があり、いずれ帰ってくると言われている。重光家は、井口監督ではダイエーのカラーが濃いため、いつかはサブローを中心にした生え抜き組中心の球団に戻そうとしているはず。井口監督がコーチ陣刷新を受け入れずに辞めることになってもやむを得ないというスタンスで、難題を突き付けたのだろう。辞任に追い込んだ解任のように見える」との本社関係者の言葉が井口監督の電撃退任の真相を言い当てている。



記事によると、河合前社長の河合呂美氏をベンチ入りさせるなどの公私混同ぶりが重光昭夫オーナーの逆鱗に触れ、容認した井口監督ともども粛清の対象となったということらしいです。
確かに、球団社長と監督両方の首を飛ばす権限があるのは重光昭夫オーナーだけでしょう。

ただ、記事中にある、重光昭夫オーナーの夫人が以前から千葉ロッテマリーンズ球団に口出ししていたという話は聞いたことがありません。

重光昭夫オーナーは韓国籍で、1996年に日本国籍を放棄しています。
夫人は大成建設の元会長である淡河義正の長女、旧姓淡河真奈美氏で、日本人です。
長男のシン・ユヨル氏(通名:重光聡)は2022年5月にロッテケミカルの日本法人の常務に就任し、重光昭夫氏の後継者と目されているそうです。



こちらの動画の55秒当たりで、重光昭夫オーナーの隣に建っている女性がオーナー夫人の真奈美氏です。
マリーンズがらみの報道で、この方の顔は見たことがありません。球場でも見たことはありません。
記事には選手の身だしなみにうるさいとか、サブローをひいきしていたと書かれていますが・・・。

実はバレンタイン監督と球団フロントが対立した2009年に重光オーナー代行のお気に入りとして大暴れした米田容子氏という球団幹部が同じようなことをしていたのです。

マスコミが報じた米田容子氏の振る舞いは以下のようなものでした。
・スタジアム部部長としてファンサービス削減に取り組む。
・球場に出入りするマスコミ関係者にジーンズ禁止令と選手に対するタメ口禁止令を出した。
・球場内のVIPエリアでレプリカユニフォームを着て歩いていた親子に「そんなものを着てここを歩かないで!」と激怒。
・テレビゲーム機のwiiを設置した観戦ルームのオープンに際し、「野球に飽きたらゲームをしたり、それぞれの使い方で楽しんでほしい」と発言。
・趣味の占いで人生相談。
・負け試合の後に報道陣に対して「明らかに継投ミスよね。そう書いて」と批判記事を要求。
・自身と同じPL学園出身のサブローをひいき。

このような振る舞いは当然ファンの反発を呼び、当時の瀬戸山社長、石川副代表とともにファンのヘイトを一身に集める存在となりました。
ただ、球団フロントがあれだけ批判された2009年にあって、現オーナー夫人の重光真奈美氏が何かしているという報道はありませんでしたし、ファンからの批判も真奈美氏には向きませんでした。

ただ、2017年の夕刊フジの記事、「井口、来季ロッテ監督か 入団時の契約に“約束手形”、人望も厚く…早めの引退発表ウラ」には「(隠然たる発言力を持つといわれる)重光オーナー代行の夫人はサブローを買っている」という一文があります。
オーナー夫人が何らかの形で口出ししていた可能性は否定できないものの、それほど表には出てきていないはずです。
なので、新潮の記事に出てくるオーナー夫人の振る舞いは米田容子氏のそれなのではないかと思ってしまいます。


今回の新潮の記事の肝は重光昭夫オーナーが強権発動をしたということ。
重光昭夫氏は感情の起伏が激しいそうで、やる気を出せばチームが躍進し球団改革が進む半面、やる気をなくせば弱小ドケチマリーンズになってしまうのです。
2004年にバレンタイン監督を招聘してやる気を出したのはいいものの、その後あまりの支出拡大に恐れをなして緊縮路線に急旋回しました。
その後創業者である重光武雄氏の高齢化による後継者争いが激化。
西村政権や伊東政権下でのケチケチ路線でチームの弱体化が進んでいた2010年代前半は、球団経営そっちのけで重光武雄氏の長男宏之氏と、次男昭夫氏の泥沼の跡目争いが行われていたのです。

ロッテグループの跡目争いは重光武雄氏の死後次男重光昭夫氏の勝利で幕を閉じますが、ロッテホールディングスの主要株主である光潤社の代表権を死守した長男宏之氏はまだ反撃をあきらめていないようで、今回の騒動に関しても以下のようにツイートしています。









宏之氏のいう通り、ロッテは定期的にこのようなスキャンダルが報道されます。
ただ、宏之氏は現オーナーにしてロッテグループ会長の昭夫氏と対立しているからこそこのようなツイートをしているわけで、決してマリーンズファンの味方ではありません。
過度な期待はせず、対立要素を割り引いて読み取るべきでしょう。


さて、日韓ロッテの全権を握った重光昭夫氏ですが、2017年12月に勤務実態のない親族らに約52億円の給与を支払ったことが横領の罪に問われ、ソウル中央地裁からソウル中央地裁より懲役1年8か月、執行猶予2年を言い渡されました。
その後2018年2月に朴槿恵政権の中枢にいた崔順実氏に対する贈賄の罪でソウル中央地裁から懲役2年6カ月の実刑判決を言い渡され、執行猶予取り消しの上即日収監されました。
これにより昭夫氏はオーナー代行職および日本のロッテホールディングスの代表権を返上することとなりました。

2018年5月にソウル高裁が懲役2年6カ月執行猶予4年の判決を下し、即日釈放。昭夫氏は代表権を取り戻し経営に復帰しました。
2019年10月、大法院は懲役2年6カ月執行猶予4年とした2審判決を支持したため重光昭夫氏の有罪が確定しました。

前科者となってしまった重光昭夫氏ですが、2022年8月15日に恩赦の対象となり、懲役と執行猶予が無くなりました。

サムスン・ロッテトップら1693人を恩赦 政治家は除外=韓国(聯合ニュース)
韓国政府は12日、朴槿恵(パク・クネ)元大統領らへの贈賄罪などで有罪判決を受けたサムスングループ経営トップの李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長ら1693人を光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)の15日付で特別赦免(恩赦)し、減刑や復権の対象にすると発表した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足後、恩赦を実施するのは初めて。李明博(イ・ミョンバク)元大統領や金慶洙(キム・ギョンス)前慶尚南道知事ら政治家は「国民生活と経済回復に重点を置く」との恩赦の原則に基づき、対象から除外された。

 復権の対象となった李氏は2年6か月の実刑が確定し服役したが、昨年8月に仮釈放された。刑期は先月に満了したが、特定経済犯罪加重処罰法上、5年間は就業が制限されていた。

 朴元大統領らへの贈賄罪などに問われ、2019年に懲役2年6か月、執行猶予4年が確定したロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)会長も恩赦の対象となった。

 政府は「国を挙げての経済危機の克服が切実に求められる状況を勘案し、積極的な技術投資と雇用創出で国の成長エンジンを主導する主要経済人を厳選し、赦免の対象に含めた」と説明した。尹大統領はこの日、記者団に「今回の赦免は何より国民生活と経済回復に重点を置いた」と述べた。

 このため、恩赦が有力視されていた李元大統領ら政治家は対象に含まれなかった。李元大統領はサムスンなどから巨額の賄賂を受け、会社の資金の横領した罪などで懲役17年、罰金130億ウォン(約13億円)を言い渡され服役したが、今年6月、刑執行停止を受け一時的に釈放されている。


私は、今回の重光昭夫オーナーによる強権発動は今年8月の恩赦によって自由の身となったことが影響しているのではないかと思います。

重光昭夫氏は韓国籍であるため、在留資格によっては入管法に規定した上陸拒否事由に該当するため日本への入国ができなくなります。
入管法第5条第4号では「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者」とありますから、執行猶予中でも恩赦を受けた者も上陸拒否の対象となります。
ただし、法務大臣の裁量で上陸許可されることもありますし、そもそも特別永住者には上記の規定が適用されません。
重光昭夫オーナーは2021年12月に新宿の本社で井口監督によるシーズン終了の報告を聞いていますから、上陸拒否の対象となっていないのではないかと思われます。

ただ、いくら上陸が拒否されていないからと言って、執行猶予中かそうでないかで行動の自由度は大幅に変わるでしょう。何かに遠慮する必要もなくなるはずです。

ただ、重光昭夫氏はロッテグループ会長として上半期に約10億円の高額報酬を受け取ったことが一部で問題視されているほか、足元の日本の日本ロッテホールディングスの業績も良いとは言えません。

【スクープ】ロッテHD黒字復帰も、玉塚新体制「会社提案」と「お友達人事」に渦巻く不満(週刊ダイヤモンド)
 黒字復帰も「会社提案」や「お友達人事」に不満噴出――。

 菓子大手ロッテなどを傘下に持つロッテホールディングス(HD)の2022年3月期決算の最終利益は404億円で、2期ぶりの最終黒字を確保したことが分かった。21年3月期は新型コロナウイルス感染拡大に伴う韓国事業の不振などの影響で、07年のHD設立以降で最悪となる1012億円の最終赤字に陥っていた。

 ロッテHDは非上場企業で、例年ならば7月ごろに決算公告を公表する。ダイヤモンド編集部は6月29日に行われるロッテHD定時株主総会に向けて株主に公開した招集通知を入手した。

 通知の「連結計算書類」によれば、22年3月期の連結売上高は前期から1兆191億円増の6兆689億円。親会社株主に帰属する当期純利益は404億円を計上した。

 足元の業績は回復しているものの、20年3月期の最終黒字は812億円で、コロナ禍前の約半分の水準に留まり、“低空飛行”が続いている。

 ロッテHDは21年6月、ユニクロなどを運営するファーストリテイリングや、コンビニ大手のローソンの社長を歴任した”プロ経営者”の玉塚元一氏を社長に招へいした。

 黒字復帰を果たし、上々の滑り出しのように見える玉塚新体制だが、今回の株主総会のある“会社提案”に不満が噴出している。




2022年3月期決算こそ404億円の最終利益を計上して2期ぶりの最終黒字を確保したものの、21年3月期は1012億円もの最終赤字でした。
最近の原材料高騰やガムや菓子類の売り上げ減少が経営に及ぼす影響は大きいでしょうから、赤字回避のためにもロッテ球団に対しても支出削減を要求される可能性は高いです。
思えば今年のダイナミックプライシング制度によるチケット代の異常な高騰も、ロッテ本社からの赤字削減指示を受けたことによるものだと考えれば理屈が通ります。
そうなると、ロッテホールディングス社長の玉塚氏が企業再生会社リヴァンプの創業者であり、ロッテ球団の新社長高坂氏もリヴァンプ出身であることが気になりますね。
今後本社から無理な要求をされてもなかなか逆らえないですよ。

ああ、ロッテはいつもこうです。
気が付けばゴタゴタしている。うんざりですね。
ともあれ、河合社長と井口監督はチームを去り、吉井新監督が火中の栗を拾いました。
動き出した重光昭夫氏が今後プラスに動くのか、マイナスに動くのか。
そういえば一時期話題になっていたロッテの株式上場の話はどこへ?

千葉ロッテマリーンズを取り巻く状況は、決して楽観を許しません。
ですが、チームとしてはとにかく勝つこと。勝ってファンを楽しませることが大事です。
吉井監督による意識改革に、まずは期待しましょう。


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