2023年5月8日、週刊ベースボールオンラインが大炎上。
ファンの味方であるはずの週刊ベースボールが、2004年の球団合併騒動に反対したファンの心情を逆なでする記事を掲載したのです。

ファンの反発を受けた週刊ベースボール側はすぐに記事を削除。
現在に至るまで言い訳も謝罪もなく、だんまりを続けています。

問題となった記事は犬企画マンホールというライターが書いたこの2本。
魚拓を取っていますので紹介します。

オリックスと近鉄。合併ではなく“連合軍”として2005年を迎えたら?【プロ野球もしもオーダー】
2004年のプロ野球は荒れた。ペナントレースではない。いわゆる球界再編だ。プロ野球で初めて、選手会によるストライキが決行されたシーズンでもある。

 6月にオリックスと近鉄が合併に合意したことが報じられると、一時は10球団1リーグ制へ移行する話も浮上した。紆余曲折を経て、結果的に落ち着いたのが現在の形だ。オリックスが近鉄を吸収する形で合併、近鉄のニックネームが継承されてバファローズとなって、新たに楽天が東北に誕生した。以前、この連載で05年のオリックスについては想像をふくらませたことがあったが、このときは1995年のリーグ優勝、96年の連覇と日本一へチームを引っ張ったイチローがメジャーから舞い戻ったら、という想定。

 実際の2005年は、04年オフに近鉄のナインは分配ドラフトでオリックスと楽天に分けられ、オリックス移籍に抵抗を示す近鉄ナインもいた。だが、オリックスも近鉄も関西に本拠地を置くパ・リーグのチームだ。人気ではセ・リーグの阪神が優勢かもしれないが、阪急の昔からオリックスも近鉄も応援しているというパ・リーグのファンも少なからずいただろう。巨人のオーナーからは「たかが選手が」という発言もあった球界再編だったが、多くのファンはナイン、つまり選手を応援していることは明確だった。合併や球団の“消滅”ということではなく、関西パ・リーグ2球団のナインで構成する連合チームが新たに誕生したとしたら、05年の風景も少しは違って見えたかもしれない。

 東北に楽天が誕生したことは喜ばしいが、今回は関西パ・リーグのファンに寄り添い、2チームの“連合軍”を夢想してみる。残念ながら近鉄のベストオーダーは04年で終わっているが、05年オリックスのベストオーダーに04年オリックスおよび近鉄のベストオーダーから選手を入れていくと、以下のラインアップとなった。

1(左)谷佳知(オリックス)
2(二)水口栄二(近鉄−オリックス)
3(中)大村直之(近鉄−ソフトバンクFA)
4(指)鷹野史寿(近鉄−楽天)
5(一)北川博敏(近鉄−オリックス)
6(三)中村紀洋(近鉄−オリックス)
7(右)礒部公一(近鉄−楽天)
8(遊)阿部真宏(近鉄−オリックス)
9(捕)日高剛(オリックス)
(投)岩隈久志(近鉄−楽天)

実際のベストオーダーは?

 打順の守備位置は05年オリックスのもの。そこに04年のオリックスと近鉄で、打者は打席、投手は投球回が多い選手を入れた。一方、04年を最後にプロ野球を去った、あるいは05年から加入した選手は、今回は割愛したため、指名打者は近鉄の鷹野史寿が独占する形に。実際のオリックス05年では左翼が村松有人、中堅が谷佳知だが、ここでは谷が04年の左翼のままで、近鉄の大西宏明をリード。実際にはFAでソフトバンクへ移籍した近鉄の大村直之が今回は中堅手だ。

 05年の守備位置を優先すると打席数で谷が大村に届かず控えに回り、村松と大村の左中間となる。右翼は選手会でも活躍した近鉄の礒部公一で、オリックスの早川大輔が控えだ。一塁は北川博敏の独壇場で、二塁に水口英二、三塁に中村紀洋、遊撃に阿部真宏と近鉄が独占した。二塁ではオリックスの平野恵一が試合数では水口を上回るも、打席数では届かず。三塁には塩谷和彦、遊撃には塩崎真が控える。捕手はオリックスの日高剛を近鉄の藤井彰人がバックアップ。エースは近鉄の岩隈久志に、オリックスの川越英隆が続く。結果的に古巣が近鉄の選手が優勢となったが、成績を考慮すると顔ぶれも変わるはずだ。戦略的には中村を四番に据えるなど打順の調整も必要だろう。

 これほど現実は甘くはなかった。とはいえ、寂しい歴史の1ページに、こんな小さな夢を描く余裕があってもいい。では、続きはファンの皆様の夢の中で。



パ・リーグ首位のソフトバンクと日本一のロッテ。もし2005年に“連合軍”を形成したら?【プロ野球もしもオーダー】
10球団1リーグ制だったら……

 2004年のプロ野球に吹き荒れた球界再編の嵐。結果的に近鉄がオリックスに吸収される形で合併して1球団となり、新たに楽天が誕生したが、一時は10球団1リーグ制への移行という話もあったほどの混乱だった。オリックスと近鉄ではない、幻の合併はダイエーとロッテだ。黄金時代にあったダイエーだが、親会社の経営が悪化したことでソフトバンクへと球団を売却。迎えた05年も首位でペナントレースを終えたが、プレーオフで苦杯を喫する。

 代わって日本シリーズに進出して、日本一に輝いたのがロッテだった。前回は、合併したオリックスと近鉄の“連合軍”を夢想したが、ソフトバンクとロッテ、05年の最強2チームの“連合軍”が形成されたら、どれほど強力なチームになっていただろうか。これが球団の合併や1リーグ制への回帰などということになると話がややこしくなるのだが、たとえばシーズンオフにAクラス3チームの連合で両リーグが対戦する、実力派のオールスターのようなイベントがあってもいいかもしれない。今回は、10球団1リーグ制という、ある種の“悪夢”を、小さな吉夢(?)に変えてみたい。

 戦力で圧倒するのは、やはり黄金時代のソフトバンクだ。これに対するは、125通りの先発メンバーで戦ったロッテで、率いるボビー・バレンタイン監督の采配は“ボビー・マジック”と呼ばれた。そんなロッテのベストオーダーというのも、ある意味ではナンセンスなのかもしれないのだが、筆者の先輩たちがデータと苦闘しながら導き出したベストオーダーが存在する。そのロッテのオーダーに、ソフトバンクの強力打線を加えていってみよう。打順の守備位置は05年ロッテのものを変えず、それぞれ守備位置が重なる両チームの選手を、打者は打席、投手は投球回で比較。機械的に数字が大きいほうの選手をオーダーに並べていくと、以下のようなラインアップとなった。

1(遊)西岡剛(ロッテ)
2(二)堀幸一(ロッテ)
3(一)フリオ・ズレータ(ソフトバンク)
4(右)宮地克彦(ソフトバンク)
5(左)ホルベルト・カブレラ(ソフトバンク)
6(捕)城島健司(ソフトバンク)
7(指)松中信彦(ソフトバンク)
8(中)大村直之(ソフトバンク)
9(三)トニー・バティスタ(ソフトバンク)
 (投)杉内俊哉(ソフトバンク)

実際のベストオーダーは?

2005年は41盗塁でタイトルを獲得した西岡

 遊撃でロッテの西岡剛が一番、同じく二塁にロッテの堀幸一が二番で残ったものの、以下はソフトバンク勢に。単純に数字を比較する作業の限界だろう。遊撃はソフトバンクの川崎宗則が僅差で西岡を追い、二塁は同じく本間満が控え。のちにロッテでもプレーすることになるフリオ・ズレータが福浦和也を打席数で上回って一塁に入った。ロッテ05年の四番打者といえば“つなぎの四番”といわれたサブローだが、同じ右翼手で05年がキャリアハイとなるソフトバンクの宮地克彦が打席の数ではサブローを超える。

 左翼はロッテのマット・フランコ、ソフトバンクのホルベルト・カブレラと助っ人の争いとなり、バティスタに軍配。捕手は里崎智也がロッテの正捕手に定着しきれておらず、城島健司がマスクをかぶる。指名打者はソフトバンクの松中信彦にロッテの李承が届かず。中堅でもロッテの大塚明をソフトバンクの大村直之が圧倒した。三塁はロッテの今江敏晃が僅差でソフトバンク助っ人のトニー・バティスタに及ばず。投手もロッテの渡辺俊介がソフトバンクの杉内俊哉に届かなかった。

 ただ、成績を比較すると、顔ぶれは変わってくるだろう。福浦やサブロー、今江が入り、松中らと打線を組んで打順を調整したら、かなり強力だ。では、続きはファンの皆様の夢の中で。


一読しただけでわかります。この記事はひどい。4番宮地も4番鷹野もありえないですよ。当時のスタメンを調べなかったのでしょうか。

そもそも近鉄とオリックス、ロッテとダイエーの連合軍という発想自体がファンを馬鹿にしています。
球団合併に反対したファンの思いを何だと思っているのでしょうか。
悪夢を小さな吉夢?馬鹿にするのもいい加減にしてほしいです。

2004年の球界再編騒動とはなんだったのか。
ご存じない方はWikipediaの記事が良くまとまっていますので、ぜひお読みください。
パ・リーグの歴史を語るうえで、避けて通れない歴史的大事件です。

プロ野球再編問題 (2004年)

赤字削減のため球界全体を10球団1リーグに再編する。そんな経営陣にファンや選手たちが抵抗し、最終的にはストライキを経て新規参入が認められました。
オリックスと近鉄の合併は避けられなかったものの、楽天の参入により、形の上では2リーグ12球団が維持されたのです。
ですがその陰で応援する球団が消滅したファン、愛する球団を危うく失うところだったファンがいました。



こちらの音声動画は2004年のマリンスタジアムのライトスタンド。
球団合併に反対し、プロテストソングとしてパ・リーグ連盟歌である「白いボールのファンタジーを歌うロッテファンの声です。

週刊ベースボール編集部には「来年は愛するチームが消えるかもしれない」という不安を抱えながら応援を続けたファンの心情を考えてほしい。
当時のファンの悲痛な叫びを週刊ベースボール編集部ならびにベースボールマガジン社が覚えているのであれば、とてもこのような記事は書けないでしょう。

球界再編問題は千葉ロッテマリーンズも当事者の1つでした。
2004年に勃発した球界再編騒動は、まずオリックスが近鉄と合併することが発表され、次いで第2の合併、つまりロッテとダイエーの合併と福岡移転が計画されたのです。
ダイエーの王監督は「ロッテとウチはないだろ。ロッテなんかと一緒になったって、あっちの選手はひとりも試合に出られないぞ。ウチで使えそうなのはピッチャーの2人か3人だろ」と暴言を吐いていましたが、実際にロッテがダイエーホークスを合併する方向で交渉が進んでいました。

2004年当時の報知新聞の記事です。これを読めば、ロッテによるダイエー吸収合併と福岡移転がほぼ決まりかけていたことがわかるでしょう。

ダイエー吸収合併へロッテ100億円提示(報知)
 ロッテがダイエーを吸収合併することが決定的になった。UFJなどダイエーの主力銀行3行は、本社業の再建に産業再生機構の活用と同時に、ダイエー球団の売却を要請していることが、6日明らかになった。ダイエー側は否定しているものの、1兆円を超える負債の削減がうまく進まない現状では売却は避けられない状態。ロッテはすでにダイエー球団を吸収合併するため100億円の買収金額も提示済み。九州に本拠を置くメリットも多いため「福岡ロッテ・ホークス」となることが濃厚だ。

 以前から「身売り」がうわさされたダイエーに対して、球界の再編問題が起こり、ロッテとの合併が表面化した。合併に積極的なロッテがすでに100億円の買収額を提示したという情報もある。ダイエーは福岡ドームを所有する米投資会社、コロニー・キャピタルと本拠地を30年間動かさない契約を結んでいるため、本拠地は福岡を維持することになるが、この点についてもロッテは容認するどころか、韓国に近いこともあり、むしろ歓迎の方針。ロッテがダイエーを吸収合併することが濃厚になった。

 パ・リーグで近鉄・オリックスに続く新たな合併が行われることで、プロ野球は10球団になる。様々な議論が交わされているが、10球団となれば1リーグへの方向性がさらに強まりそうだ。

 ダイエー本社・高木邦夫社長「3行様(UFJ、三井住友、みずほ)から(産業再生機構に支援要請する)話はない。私どもの次期再建計画については、3行様と協議しながら策定中です。理解や支援、ご協力を頂くのが仕事だと思っています」

 ロッテ・濱本英輔球団社長「ダイエーサイドの話ではないでしょうか。当方としてのコメントはありません」

 ◆産業再生機構の支援 有用な経営資源を持ちながら過大な債務により身動きがとれない企業を対象に、非主力銀行が持つ債権をまとめて買い取り、主力銀行と協力し企業を再生する。思い切った事業の売却や人員削減などのリストラも進め、3年以内に企業再建にめどをつけ支援企業などに債権を売却する。債権の買い取り期間は2005年3月末まで。支援決定までに3、4か月かかることから、逆算すると今年11月末が申請のタイムリミットとなる。

◆「福岡ロッテ・ホークス」韓国に近い本拠に利点

 韓国にもプロ野球球団を持つロッテが、福岡をフランチャイズとするメリットは大きい。韓国から飛行機で1時間という近距離にあり、国民的打者・李承ヨプが在籍していることから大きな集客を見込むことができる。台湾を含めて3か国のアジアリーグをかねてから提唱していたのもロッテだが、福岡に本拠を持てばその両国がより身近になる。

 本社にもメリットもある。日本ではお菓子メーカーのイメージが強いが、韓国ではホテル、テーマパークの事業なども展開し大財閥のひとつに挙げらている。日本でテーマパーク事業案が持ち上がったときは、約4000億円の予算がつけられたという。ホテルやアミューズメントもそろっているホークス・タウンをロッテの事業として展開することも不可能ではない。

 千葉を本拠地として10年が経過したが、完全に地元に定着したとは言い切れず、本拠地移転に大きな支障はない。重光昭夫オーナー代行は「(合併したとしても)千葉に残りたい」と話していたが、同時に「近鉄・オリックスの経緯を見守りたい」とも話しており、千葉と福岡のダブルフランチャイズという選択肢を捨てていない。


当時球団職員だった横山氏の証言からも、経営陣から職員に対して合併と移転が通知されていたことがわかります。




しかし、ロッテとダイエーの合併は実現しませんでした。
巨額の赤字に苦しむダイエーに対して政府は産業再生機構を立ち上げ、国主導による再生を目指したものの、当時のダイエー経営陣はあくまでも自主再建にこだわり、産業再生機構の支援を受け入れるかどうかを巡っての交渉が難航したからです。
産業再生機構はダイエーの球団保持を認めなかったため、産業再生入りするかしないかでロッテによる吸収合併の方法も変わってきます。
ダイエーが産業再生機構の支援を拒否し続ける一方で、NPB経営者側はストライキを経て方針転換。新規参入による12球団維持を認めたため、ダイエーとロッテの合併は不要となりました。

千葉ロッテマリーンズは、ダイエーの悪あがきによる時間切れに救われる形で、なんとか生き延びることができたのです。

このようなファンの心情を逆なでする記事をアップした週刊ベースボールは、記事が炎上したとみるやすぐさま当該記事を削除。
以後だんまりを続けています。
質問状を送った方がベースボールマガジン社から回答をもらったそうですが、事実上のゼロ回答です。



読者の気持ちに寄り添えない記事を配信したことに対する謝罪、ファンの思いを配慮する視点が欠けていたこと、謝罪文を出す予定はないことが書かれています。

犬企画マンホールというライターに問題があるというよりも、あのような記事を掲載してしまったしベースボールマガジン社のチェック体制、会社としての在り方に問題があるのですよ。
ファンの気持ちに寄り添えないのなら、ファン向けの雑誌などやめてしまえばいいのです。
紙媒体のメディアの終焉とはこういうことなのか。
非常に残念です。

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